秋山文和です。日本共産党を代表して
第110号議案「埼玉県5か年計画の策定について」原案、及び修正案
第36号議案「埼玉県男女共同参画基本計画の策定について」の修正案、
第39号議案「埼玉県環境基本計画の変更について」の修正案、
第40号議案「埼玉県産業元気・雇用アップ戦略の策定について」の修正案、
第41号議案「埼玉県第4期科学技術基本計画の策定について」の修正案
について反対討論を行います。
はじめに、第110号議案、知事提出の原案についてです。
上田知事の基本姿勢、県の最上位計画全体を貫いているのは、国言いなりの福祉や中小企業支援の不十分さ、農業の切り捨て、他方大規模公共事業への執着と、競争教育の導入です。この計画策定の趣旨には「将来にわたる持続的な発展を実現する」とありますが、安倍政権のもと大企業優先・農業切り捨てに突き進む国政に抗して、悪政の防波堤とならなければ、持続的発展は望むべくもありません。上田県政に決定的に欠けているのは、この地方自治体としての独自の姿勢です。
以下、具体的に反対理由を述べます。
第1は、高齢者福祉について、これまで目標としてきた基盤整備目標をとりさげ、75才から79才の要介護認定率を施策指標としたことです。
要介護度判定基準は、厚労省のさじ加減で調整が可能であり、このような不明瞭な目標を指標とすべきではありません。県民が切実に求めているのは、特別養護老人ホームの待機者約10000人の解消、在宅でも24時間安心して介護を受けられる仕組み整備など、遅れている介護基盤の整備です。党県議団はこのような趣旨から修正を提案いたしましたが、受け入れられませんでした。
第2に原案は中小企業の支援として経営革新計画の承認件数を施策指標としております。事業主が経営を革新して、新たな成長を勝ち取る上では資金調達の支援が欠かせないと考えますが、10年前に比べて本県の制度融資件数は半減しております。低利子・無担保無保証の融資で小規模事業を支援すべきであり、施策目標を県制度融資件数とする修正を提案いたしました。
第3に、農業支援の施策指標が、農業法人数や担い手への農地集積率とされており、農業の集約を進めるばかりでは、未来はありません。小規模な家族経営も含め、すべての農家を視野に入れて支援すべきです。そこで農業就業人口をこれ以上減らさないという施策指標を提案させていただきました。
第4に安定水利権100%獲得つまり八ッ場ダム推進を最上位計画の施策指標と位置付けているからです。当初2110億円だった八ッ場ダムの建設費は、その後4600億円に膨れ上がり、さらに昨年5320億円へと計画変更されたことは、記憶に新しいことです。安定水利権100%獲得を目標にすることは、ダム事業へのさらなる協力を余儀なくされることになります。もとより党県議団は、八ッ場ダムという大規模公共事業に対して反対してきましたが、この点からも、最上位計画の施策指標とするべきではないと考えます。県水道水の供給量は年々減少しており、巨額な債務を人口減少社会に課すより、節水型の社会形成を促進すべきと考え修正提案しました。
第5は全国学力・学習状況調査の平均正答率を初めて施策指標としたことです。
全国学力テストは、一般のテストと違い、返却も半年後と、子どもたちの学力の弱点を知り、授業を改善する役目を果たしません。一方で都道府県・市町村を競わせ、学校を競わせる手段となっています。教育の目的は、ペーパーテストの点数ではなく、人格の形成です。テストの点数で自治体や子どもの評価が決され、一喜一憂するような状況は学力向上・人格形成に有害です。本当にゆきとどいた教育を実施するためには、少人数学級をはじめとした教育環境整備を急ぐべきと考え、修正提案を行いましたが否決となりました。
第6は、主な取り組みとして「同和問題解決のための教育・啓発活動の実施」が盛り込まれていることからです。国の同和対策特別事業の終結から14年が経過し、社会問題としての部落問題は基本的に解決された到達点にあります。個々の人権問題の相談、教育、啓発活動は憲法に基づき一般施策で行うべきです。
次に第110号議案修正案についてですが、以下の点から反対するものです。
第1は、安定水利権獲得を1年前倒しとする点です。
第2は「固定的な性別役割分担の意識は十分解消されておらず」という文言を削除したことです。内閣府の28年9月の意識調査においても「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成の方は4割います。事実として性別役割分担意識は十分解消されていないことから、削除に賛成できません。第36号議案修正案も同様です。
第3は、「太陽光発電」や「温暖化」などこれからのエネルギーや環境政策の中心となるべき文言が削除されていることからです。第39号議案修正案・第41号議案修正案も同様です。
第4は「北部地域振興拠点の検討・推進」が削除されていることです。基本的に同振興拠点整備は北部地域から求められていると考え、削除には賛成できません。第40号議案修正案も同様です。以上です。