12月22日、12月定例会閉会日に、日本共産党埼玉県議団は、令和4年度一般会計と公営企業会計を不認定としました。伊藤はつみ県議が、以下の討論を行いました。
日本共産党の伊藤はつみです。党県議団を代表して
第106号議案「令和4年度埼玉県の一般会計及び特別会計決算の認定について」
第107号議案「令和4年度埼玉県公営企業会計決算の認定について」
不認定とする討論を行います。
党県議団は、令和4年度予算に対し、児童相談所・一時保護所の整備や特別支援学校の新設や増築などを評価し、賛成をしています。しかし、この度の決算特別委員会における審査を経た結果、看過できない問題点が浮き彫りとなりました。そこで、あえて決算不認定と判断したものです。以下その理由を述べます。
不認定の理由の第1は、失われた30年ともいわれる長きにわたる経済の停滞により、労働者の実質賃金は96年のピーク時から年64万円も下がる中で、県民の厳しい暮らしに心を寄せるどころか、もっとも困窮を極めている方々への冷たい対応が明らかとなったことです。
一つは、第2期埼玉県国民健康保険運営方針のもと、市町村の一般会計繰り入れ解消をすすめるとともに、一人当たりの保険税必要額を6134円ひき上げたことによって、22自治体の保険税が引き上げとなりました。党県議団は、運営方針による一般会計繰り入れ解消の押しつけは、必ず保険税の引き上げにつながると指摘してまいりました。2017年度の都道府県化以来、53自治体が保険税を引き上げており、懸念が現実と化しております。国保運営方針は撤回し、公費負担の増により保険税引き上げをストップすべきです。
2つは県営住宅の平均応募倍率が2.8倍であるのに、5069戸もの空き室を出していることです。住宅に困窮する低所得者のために空き室のメンテナンスにかかる予算を増やし素早く県民に提供すべきです。
第2は、市町村の意見に全く耳を傾けず、結論を押し付ける県立高校統廃合の手法が地方自治の主旨に反しているからです。県教育委員会は「第2期魅力ある県立高校づくり」に基づき、12校の高校を6校に統合すると決定しました。党県議団は、地元の意見を丁寧に聞き、説明することを繰り返し求めてきました。しかし県教委は鳩山町議会の反対の意見書に対して、なんらの対応もせず、鳩山町は現在にいたっても新校準備委員会に参加しておりません。鳩山町といえば幸福度ランキング1位であり、これはコミュニティバス整備など並大抵ではない町の努力の結果です。県立高校を無理やり統合するということは、町の努力をふみにじるようなものです。
第3は、「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」について検討着手すらされておらず、性の多様性尊重条例が円滑に執行されていないからです。令和4年度に議員提案で成立したこの条例にLGBTQのみなさんは大きな期待をもっています。条例審議の場で党県議団は、「この条例の成立によってパートナーシップ・ファミリーシップ制度は果たして整備されるのか」と質問しましたが、提出者の答弁は「パートナーシップ、ファミリーシップ制度をあえて例示列挙させていただいた趣旨は、これらの制度の必要性が特に高いということを示すためである。執行部も、趣旨を踏まえて、今後、制度の制定を進めていくものと考えている。」というものでした。一刻も早い、制度整備を求めます。
第4は、民間企業には許されていない過酷な職員の長時間勤務が野放しにされ、一向に改善の兆しもなく、これでは民間企業の労働法違反を質すなど県の役割を果たすことは不可能だからです。
令和4年度に月200時間以上の時間外勤務を行った職員は13人です。令和3年度は14人でした。令和3年度に党県議団が一般質問で、月200時間もの時間外労働をなくすよう求めた際に、知事は「職員にこれほどまでの時間外勤務をさせてしまっていることについては、大変心苦しく思っています」と答弁し、改善を約束されました。それにもかかわらずあまり減っていなかったことは非常に残念です。
続いて、第107号議案公営企業会計についてです。
第1に下水道料金の引き上げに連動しかねない下水道負担金の引き上げが古利根川流域で行われました。第2に企業局経営5か年計画の水道用水の財政シュミレーションの中で示しているイメージは、水道料金引き上げへの世論を誘導するものだとして、党県議団は撤回を求めてきましたが、撤回されていません。
以上の理由により、第106号議案、第107号議案は不認定といたします。