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埼玉県庁は、現在地で建て替えを
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下水道老朽化対策を国に求めよ―知事と懇談
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埼玉県の基地周辺住民の安全をまもれー安全基準超える飛行中止もとめ要望
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近年の医療の発達は著しく、特に、「新生児医療」の分野の発展は、目を見張るものがあります。
以前であれば、産まれても直後に亡くなってしまうことがほとんどであった先天的疾患をもつ子や早産による超未熟児の子どもたちも、適切な医療措置によって助かるケースが増えてきました。
誕生を心待ちにしていた我が子を、なんとか助けてほしいと思うのが、親心。
しかし一方で、命は助かったものの、日々の生活で“医療的ケア”を受けなければ生きていくのが困難な子も増えています。
医療的ケアとは、生きていくのに必要な医療行為、生活援助のことで、日常的な医療的ケアを必要としている子どもたちのことを、「医療的ケア児」といいます。
医療的ケアの代表的なものとしては、
・自発呼吸が困難な場合につける「人工呼吸器」
・飲み込む力が弱い場合に唾液や痰の排出を助ける「唾液・痰の吸引」
・口から食事を摂れない場合に、栄養を直接胃に注ぎ込む「経管栄養」や、手術で胃に直接穴をあけてカテーテルで栄養を注入する「胃ろう」
・排泄に関係する神経系に障害がある場合に尿道にカテーテルを入れる「導尿補助」や、「排便管理」
などがあります。
医療的ケアは、医療従事者や家族(もしくは研修・指導を受けた保育者)しか処置できないため、日々のケアの負担は家族に大きくのしかかります。
しかし、医療の発達のスピードに、病院施設だけでなく行政や地域の支援サービスの拡充等が追いついておらず、介助する家族の肉体的・精神的負担の増大が大きな問題となっています。
医療的ケア児とその家族の置かれている状況で、一番深刻な問題は、「受け入れ先がきわめて少ない」ことです。
先述のとおり、医療的ケアは医療従事者と家族(と一部の研修・指導を受けた保育者)しか対応ができないため、医療的ケアをできるスタッフが十分に配置できておらず、安全性を確保できない、との理由から、一時的にでも預かってもらえる施設が、限りなく少ないのです。
さらに、「重症心身障害児」に認定される児童、および障害福祉サービスを提供する事業者へは、十分(とは言い難くも)国からの補助が用意されていますが、「医療的ケア児」は現在「重症心身障害児」と認められていません。
そのため、家族は十分なサポートを受けられず、サービス事業者は専門的スタッフが必要にもかかわらず補助の少ない「医療的ケア児」を、事業運営の厳しさから受け入れることができないのです。
障害の程度の認定は「軽度」の方と同じ程度で、補助・サポートは少ない。
にもかかわらず、地域支援サービスでは「専門的」として受け入れてもらえない。
そんな、国・行政の認定と、受け入れられない現状のはざまで、“受け入れ難民”となってしまっている医療的ケア児とそのご家族が、少なからず存在しています。
「少しでいいから、休ませてほしい」
それが、ご家族の本音です。
「大切な我が子のために自分たちがやるのが当たり前」と、日々献身的に介護、見守り対応しているご家族であっても、24時間つきっきり、睡眠時間も断続的にしか取れず、日々の肉体的疲労の蓄積から、精神的にも追いつめられてしまっている方も、すくなくありません。
実際、厚生労働省の調査でも、医療的ケア児の介護者の約8割が「負担感」を感じており、約3割の方が「断続的」にしか睡眠をとれていない、という結果が出ています。(表参照)
日本共産党埼玉県議団では、この状況を早急に変えなければならないと、先日医療的ケア児のお母さま3名とともに、厚生労働省に要望書を提出し、「医療的ケア児」を「重症心身障害児」として認定し、必要な補助が受けられるようにすること、医療的ケアができる医療従事者の確保のため、障害者福祉サービスの単価を改善すること、医ケア児を受け入れられるサービス施設を拡充すること、などを求めました。
医療の目覚ましい発達により、医療的ケア児は、今後も確実に増え続けます。
現在の制度、サービスでは、ご家族の負担がますます増えるだけでなく、医療的ケア児にとっても発達機会の損失ともなります。
医療的ケア児とそのご家族が、一刻も早く笑顔で過ごせる日常を取り戻せるような社会になることを、願ってやみません。