近年、文部科学省の方針で学級人数を減らす少人数学級化がすすめられています。
平成22年に文部科学省が実施した「今後の学級編制及び教職員定数の在り方に関する国民からの意見募集」によれば、6割が26~30人の学級規模を望ましいと考え、教職員の定数改善を希望する声が多く挙がっています。
この方針に基づいて少人数学級化に取り組んだ各自治体からの報告によれば、不登校の減少や欠席率の低下、学力の向上、生活習慣の形成などの効果があったことが読み取れます。
コロナ禍で少人数学級を実施せざるを得なくなった
また、最近の調査としては教育新聞が2020年8月に実施した少人数学級に関する意識調査があります。
この調査によれば、回答した公立教員の96.6%が少人数学級の実現を求めている、となっています。
これは、コロナ禍の分散登校で一時的に少人数学級を経験したことからそのメリットを感じているといえる結果です。
など、時間的余裕をメリットとして挙げる教員が多く見られました。
デメリットとして挙げられた内容のほとんどは、教員や教室の確保といった財政面に関する問題で、これらの問題点さえクリアできれば少人数学級にはメリットしかないといった現場の声が感じられる結果です。
少人数学級化を進める上での問題点
しかしながら、埼玉県においては人口の多さが少人数学級化の大きなハードルになっている面もあります。
少人数学級化を進めれば、同じ数の子どもたちを今よりも多くのクラスに分けなければならなくなりますし、教職員の加配を進める少人数教育とともに、必然的に必要な教員数が増加します。
教員の不足を急遽補おうとすれば、それは教員の質の低下につながる可能性も高く、子どもたちの学力の低下が危惧される事態になりかねません。
各自治体での少人数学級化が進められている
このような状況下ですが、行田市では、2006年度には中学校3年生へ少人数学級を拡大しました。中学校全体に少人数学級が導入されたのは全国初のことで、更に2015年度からは、小中学校全学年で少人数学級を実施しています。
その他、和光市、さいたま市などでも少人数学級化が実施されていますが、埼玉県全体としては小学校低学年及び中学校1年への少人数学級導入に留まっています。
各市町村の努力だけを求めるのではなく、県としてすべての学年での少人数学級の導入をはかるにはどのような計画が必要か考えることが求められています。