イギリスでは、生理用品が買えないことが原因で不登校となる女子生徒が一定数いることが問題視されています。
スコットランドが小中学校での生理用品の無償配布制度を導入した他、イングランドでは生理用品を必要とするすべての人への無償配布を行うという法案を可決したというニュースが記憶に新しい方もいるのではないでしょうか。
イギリス以外でも、ニュージーランドが無償配布を決定し、フランスは大学生への無償配布を決定するとともに、今後無償配布の対象を拡大していく方針です。
生理用品を買えない若者が存在する
生理用品を買えないなんて日本では遠い昔のこと、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、しかしこの話は私たちにとっても他人事と言い切ることはできなくなっているのです。
「生理用品を軽減税率対象に!」という署名活動を行っている「#みんなの生理」という団体が、高校生以上の学生を対象に行ったアンケート調査があります。
このアンケートには671件の回答があり、過去1年の間に「金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある」という人の割合が20.1%、「金銭的な理由で生理用品でないものを使った」と答えた人の割合が27.1%、「生理用品を交換する頻度を減らした」と答えた人の割合が37.0%という結果が得られたそうです。
アンケートの回答数内の数字ではあるものの、若者の5人に1人が金銭的理由で生理用品の購入に苦労したことがあるというのは、諸外国とほとんど変わらない数値です。
▼2017年にイギリスの慈善団体「プラン・インターナショナルUK」が行った調査
若い女性の約10人に1人が生理用品を購入できず、15%が購入に苦労し、19%がコストを理由に自分にあまり合わない製品に変更していると回答。
生理用品の代わりにトイレットペーパーを使ったり、服が汚れることを恐れて学校を欠席する女性も半数以上存在することが明らかになりました。
▼2018年にスコットランドの若者支援団体「ヤング・スコット」が女子学生約2000人を対象に実施した調査
スコットランドの学校や大学などに通う約4人に1人が、生理用品へのアクセスに苦労していることが分かりました。
貧困の中で生理用品の購入ができないという「生理の貧困」を抱えているのは発展途上国だけではないのです。
貧困のみならず、ネグレクトなどによって親から生理用品を買ってもらえないという経験談もSNS上で散見されています。
生理の貧困への対応が急務に
この「生理の貧困」は可視化されてこなかっただけで以前から存在していたものではありますが、長引くコロナの影響もあり、生理用品の配給や学校での備蓄が我が国でも急務となっています。
東京都多摩市は3月18日、市立の全小中学校26校で、希望する女子児童や生徒に生理用品を配ると発表しました。
女子トイレや保健室で、市が防災用品として備蓄していた生理用ナプキンを配るというものです。
同様の取り組みは豊島区や足立区でも行われ、声に出さなくても受け取りを申し出ることができるようなシステムづくりもなされています。
今後は文部科学省や厚生労働省などと連携し、国として「生理の貧困」へ対応していくことが求められています。