八ッ場ダム負担金で21年度から県水道料金の値上げか?

10月7日、埼玉県議会9月定例会において各常任委員会の質疑が行われました。

広域化後も市町村の国保繰り入れ認める

福祉保健医療常任委員会では秋山文和県議が埼玉県国民健康運営協議会の設置や埼玉県地域医療構想について質しました。
県国保運営協議会の設置に関わり、秋山県議は、都道府県が国保の運営主体となったあとも、市町村の一般財源の繰り入れは認められるかどうか質問しました。
県は「市町村の国保繰り入れは可能」と答えました。

地域医療構想策定に反対、県「構想は医療機関の自主的な取組で」

厚労省は2015年6月、地域医療構想策定にむけた「ガイドライン」にもとづき、2025年の病床総数を現状より20万床削減、30万人の入院患者を「在宅化」させる方針を示しました。全国的には埼玉県、東京都、大阪府など6都府県は病床増となるものの、その他の41道府県はすべて病床削減となります。秋山県議は、都道府県主導で病床の整理・淘汰を進め、入院患者の追い出しを図る政府の狙いは明らかであり、患者・家族はもちろん、医療現場にも多大な負担と苦難を背負わせるとして、「地域医療構想」策定そのものに反対しました。
また、県の地域医療構想では、全体としては2025年までに病床数を4,187床増やすものですが、機能別では高度急性期と急性期の病床を7,581床削減し、回復期などに転換させるものとなっています。
秋山県議は、「医療・介護総合法」によって医療機関に対する都道府県の指導権限が強化されたことに触れ、「県は指導権限に基づいて必要病床数の実現を推し進めていくのか」と県の姿勢を質しました。
県は「構想はあくまで医療機関の自主的な取組で実現していくべきものと認識している」と答えました。
さらに、審議のなかで、県は約90億円の地域医療介護総合確保基金の活用について、施設整備だけでなく、医師確保などソフト面での活用も認めました。

八ッ場ダムの影響で水道事業収支、4年後に赤字か?料金値上げも

産業労働企業常任委員会では、来年度からの県営水道の料金単価について審議し、水道料金への八ツ場(やんば)ダム負担金の影響が明らかになりました。
国は8月、八ツ場ダム建設の事業費を4600億円から5320億円に引き上げ、関係都県にも負担増を求めています。埼玉県の費用負担は88億円増の658億円になります。
八ツ場ダムが稼働する2020年度以降、水道事業に減価償却費や維持管理費で毎年23億円の支払い増が生じます。質疑のなかで、県は水道料金単価に直すと1立方㍍当たり3・7円に相当すると説明。さらに今回の引き上げで毎年1億円、料金単価では0・17円の負担増になると報告しました。
さらに県は、経営努力によって2017~20年度の4年間は水道料金を現行の1立方㍍当たり61・78円に据え置くと説明しましたが、20年度以降の収支は水需要の減少や老朽施設の更新費用の増加により、赤字に転ずる見込みであることを明らかにしました。
金子県議は、八ツ場ダムが利水上も治水上も役に立たない無駄なダムであると指摘し、水道利用者の負担増にならないよう県の努力を求めました。