知事提出議案への反対討論  秋山県議

%e7%a7%8b%e5%b1%b1%e6%96%87%e5%92%8c10月14日、9月定例会最終日の本会議で秋山文和県議が知事提出議案に対する反対討論を行いました。以下、全文を紹介します。

日本共産党の秋山文和です。

党議員団を代表して、知事提出議案
第92号議案 「平成28年度埼玉県一般会計補正予算」
第94号議案 「執行機関の附属機関に関する条例の一部を改正する条例」
第100号議案「財産の取得について(自治体情報セキュリティクラウド関係機器一式)」
第101号議案「財産の取得について(自走式照明設備一式)」
第104号議案「埼玉県地域保健医療計画の変更について」
第105号議案「八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に係る意見について」
に対する反対討論を行います。

まず、第92号議案については、トマトの水耕栽培と土耕栽培の栽培技術を実証し、県内農家に普及する「次世代技術実証・普及センター(仮称)」を埼玉次世代施設園芸拠点の隣に整備するために、総額1億4433万円あまりの補正予算が計上されています。
埼玉次世代施設園芸拠点の整備は、約10億円もの予算をかけて埼玉県農林総合センター内の5ヘクタールの事業用地を整備し、イオン系の大手企業に年額136万円あまりで貸し出すものです。わが党議員団は、県民の財産で特定の企業のみを支援する事業は認められないと反対しました。県内トマト農家の9割にあたる土耕栽培への技術支援の充実は当然ですが、特定企業のみを支援する整備事業を前提とした本予算には賛成できません。

第94号議案は、都道府県が国民健康保険の「保険者」となるのに伴い「埼玉県国民健康保険運営協議会」を設置するというものです。
国保の都道府県化は、低所得者が多く加入する医療保険でありながら保険料が高すぎるという制度上の構造的矛盾を何ら解消するものではないこと、むしろ都道府県が国保財政の元締め・市町村の監督役となって被保険者に一層保険料負担を増大させる恐れがあること。さらには、都道府県が「医療費適正化計画」の名のもとに、医療給付費削減の旗振り役を担い、国民・県民を十分な医療の提供から遠ざけてしまう恐れが大きいものです。このような国保の都道府県化を前提とする本議案は認められません。

第100号議案は、マイナンバー制度の運用を前提に高度な情報セキュリティ対策のための機器一式を購入するものです。
マイナンバー制度については、原則不変の番号で個人情報を照合できる仕組みは、プライバシー侵害などを常態化させること、初期投資だけで3000億円の巨大プロジェクトにもかかわらず、具体的なメリットも費用対効果も示されないこと、税や社会保障分野での徴税強化や社会保障給付削減の手段にされることから、わが党は導入に強く反対しました。
マイナンバー制度の運用にいったん踏み出せば、様々なサイバー攻撃に備えるためにセキュリティ対策費が雪だるま式に増えることは明らかです。このようなマイナンバー制度の推進を前提とした本議案は認められません。

第101号議案は、ミッドナイト競輪を行うために照明設備を購入するものです。
ミッドナイト競輪では、選手は誰一人観客のいない中、夜11時半まで走り、車券購入はネットなどによって行われます。県民の射幸心をさらにあおり、収益増のためだけに2億円もかけてギャンブル化を助長するミッドナイト競輪には賛成できません。

第104議案について、県の地域医療構想では、2025年の急性期の病床数が24,674から17,954に6,720減少していますが、日本一のスピードで高齢化が進むといわれる埼玉でこれは“ありえない”ことです。ここは現場の声を十分聴いて大幅に増加すべきです。このままでは地域医療構想調整会議の協議や基金の活用によって急性期病床が大幅に削減されかねず、救急患者の行き場がなくなる恐れがあります。よって、賛成できません。
国の試算では、2025年には全国で現状より20万の病床を削減し、30万人を「在宅化」する方針が示されました。給付費削減のために医療現場に多大な負担と苦難を背負わせ、「医療難民」「介護難民」を大量に生み出すことは許されません。

第105号議案は、約4,600億円の八ッ場ダムの事業費を720億円増の約5,320億円へと基本計画を変更することに同意するものです。埼玉県では、約88億円の新たな負担増となります。
2004年に事業費が約2,110億円から約4,600億円に引き上げられたとき、埼玉県議会は「これ以上の建設工事費を増額しないこと」などを内容とした決議を全会一致で議決しました。上田知事もこのときの増額について「4,600億円に不当に値上がりしたという考えをもっている。国土交通省においてもこの4,600億円を引き下げる努力をするという約束をしているので、その枠内で納める仕組みだと理解している」との認識を示しました。今回の増額は、まさに国の約束違反であり、到底同意できるものではありません。
わが党議員団は、ダム建設予定地の吾妻渓谷は地すべり地帯であり、岩盤が脆弱なため、建設費のさらなる増額の可能性を指摘してきましたが、まさにその通りとなりました。今後の試験湛水などで新たな問題が発生すれば、事業費がさらに膨らみ、県民負担がいっそう増える恐れがあります。八ツ場ダムが稼働する2020年度以降には、県営水道事業では、減価償却費や維持管理費として毎年24億円の新たな支払いが生じ、収支の赤字見通しから県水道料金の値上げの可能性もあります。八ッ場ダム建設によるさらなる負担増は県民の理解を到底得られるものではありません。

以上で、反対討論を終わります。