


八潮陥没の復旧費用、中川流域住民のみの負担とするべきではない

八潮道路陥没で申し入れー救出に全力を。復旧など負担は国と県の責任で

埼玉県庁は、現在地で建て替えを


2024年は記録的な猛暑で、稲の生育への影響に加え、稲の害虫、イネカメムシが大発生いたしました。なんらかの被害があったという水田は46%。特に県東部では被害が大きく、減収量は平年比で10アール当たり21キロで、被害は最大で収量の2割にも達している場合もあります。「もう稲作を続けられない」という農業者もいます。
伊藤はつみ県議は3月12日の予算特別委員会でこの問題をとりあげました。
伊藤県議は「これ以上、稲作農家を減らさないように、イネカメ虫被害に対しても埼玉県農業災害対策特別措置条例を適用させるように条例改正がまず必要だ」と条例改正を求めました。
これに対して農林部長は「この条例は、天災による災害によって、農作物に甚大な被害が発生した場合に、措置を講じるもの。イネカメムシの発生につきましては、出穂期頃に適切に防除することで、被害を軽減できる」として、条例の対象とすることは難しいと答えました。
埼玉県内のイネカメムシの記録は1978年の農業試験場での予察調査で、横瀬町、吉川町の記録があり、それから40年間の空白を経て近年大発生となりました。
埼玉県環境部による2018年のレッドデータブックでは絶滅危惧類として、ごく近い将来、絶滅の危険性が極めて高いと記されたそうです。
なぜその絶滅危惧虫が大発生したのか大きな謎です。
伊藤県議は「イネカメ虫の生態を調査して、なぜ絶滅危惧類であった害虫が大量発生したのか、早急に突き止める必要がある」と指摘。県病害虫防除所について「現在の病害虫防除所で緊急対応ができるような体制が整えられているのか」と質問しました。
これに対し農林部長は「発生状況調査については、病害虫防除所と兼務する農業技術研究センターの病害虫防除対策担当が実施している。研究所内でのプロジェクトチームとして、農薬の効果検証や水田における防除方法の研究の防除対策については、病害虫研究担当、農業革新支援担当において、関係する複数担当が連携して取り組んでいるところでございます。」と兼務と複数担当の連携だと回答。
伊藤県議は「イネカメムシ専門に調査研究している職員は結局は何人になるのか?」と質問しました。
農林部長は「3担当で計10人の常勤職員で従事している」と答弁しました。しかし兼務と連携という先の答弁からは専任なのかどうかは、よくわかりません。
伊藤県議は、調査・研究を急ぐために増員すべきだと指摘
農林部長は「複数担当が連携して取り組んでいる。引き続き関係者が連携してしっかり取り組む」とあくまで複数部署が「連携」するとして増員はしない方針でした。
最後に伊藤県議は、埼玉県植物防疫協会の江村薫氏の研究論文を紹介しました。
江村氏は2021年からイネカメ虫を調査・研究し、2023年秋には、利根川に隣接する加須市の大越昆虫館で開催された夜の虫観察会のときに、利根川沿い土手でイネカメムシを多数発見しました。カメムシが発見されたのは牧草でもあるジョンソングラフグラス(西播もろこし)です。
江村氏は、この西播もろこしが、カメムシの主要寄生植物である可能性が高く、川沿いの土手やあぜ道などに生育する西播モロコシを駆除する必要があると述べています。
このような研究者知見を積極的に取り入れ、共同研究チームなどを立ち上げる必要を感じます。