水道は黒字決算、それでも料金値上げー決算特別委員会(企業局・下水道局)

11月8日決算特別委員会が開かれ、企業局・下水道局の審査が行われました。城下のり子県議が質疑を行いました。

令和5年度は12億円の黒字。それでも県水23%の値上げ

今年7月、県は令和8年4月1日から水道用水の料金を現行の1立方メートルあたり、61.78円から76円(23%の値上げ)するとの方針を発表しました。

料金改定の説明資料によると施設の老朽化や物価高騰による電気料金の値上がりなどにより維持管理費が増加している一方で給水の減少により収入が減っている。令和5年度は12億3500万円の黒字となりましが、令和6年度以降は赤字が継続的に発生するとの見込みから料金改定を行うとのことです。

城下県議は物価高騰で県民生活は厳しさを増している。県民へのこれ以上の負担増は認められないとの立場から、「令和5年度は12億3500万円もの黒字決算。それでも料金改定を変更しないのか」と質問。企業局は「黒字だが料金改定に影響はない。12億3500万円は内部留保にまわし、将来の料金改定の際の引き下げに使う」と答えました。

値上げをしないために、内部留保の活用や一般会計からの繰り入れは決断すればできる

そもそも水道用水供給事業会計を見ると令和5年度末で約412億9000万円の内部留保があります。城下県議は「この内部留保の活用を検討しなかったのか」と質問。企業局は「現時点では引き下げに使うことは考えていない」と回答しました。

企業会計は独立採算が求められています。しかし地方公営企業法には「災害の復旧その他特別な理由により必要がある場合には一般会計または特別会計から補助できる」とされています。城下県議は「決断すれば一般会計からの繰り入れもできるという理解でいいのか」と質問。当初は「この規定では東日本大震災などの災害を想定しており、物価高騰による電気代の上昇は当たらない」と企業局は答えていましたが、城下県議が再々質問で、「その他とある。物価高騰も含まれるのでは」と追及。企業局は「その他に物価高騰も含まれる。企業局だけでは決められない。一般会計と相談したい」と答弁しました。

老朽化による修繕費、電気料、労務単価増、しかし国庫補助の内示率は年々減少

令和5年度は8つの流域下水道のうち荒川左岸北部流域(熊谷市、行田市、鴻巣市、桶川市、北本市)で1立方メートルあたり38円だったものが46円に。利根川右岸流域(本庄市、美里町、神川町、上里町)1立方メートルあたり83円だったものが105円に市町村の負担金単価が引き上げられました。

この負担金引き上げは市町村の下水道料金の引き上げるつながることから、城下県議は「引き上げとなった事態を把握しているのか」と質疑しました。下水道局は「令和6年4月から11月の間に4市町が、令和7年度3月に1市町が値上げを予定していると聞いている」と答えました。

城下県議は「負担金の引き上げ理由として、施設の老朽化に伴う修繕費の増加や電気料、労務単価がっ上昇している。単価の上昇に見合った国庫補助がされているのか」と聞きました。下水道局は「内示率が年々低下している。今後も要望していく」と答えました。

中川水循環センターではバイオガス発電で4億円の収入 バイオガス発電のさらなる拡大を

元荒川水循環センターと中川水循環センターでは汚泥からバイオガスを発生させ、それの民間事業者に売り、民間事業者がそのガスをつかって発電を行う事業を行っています。中川水循環センターでは令和5年度、3億円の収入を見込んでいましたが、4億円の収入がありました。こうした売り上げは負担金引き上げの緩和にもつながり、地球温暖化対策にもつながります。

城下県議はこうした事業は大いに拡大すべきとの立場から「事業の拡大について検討したのか」との質疑しました。下水道局は「タンクを置く場所を確保しなればならず、敷地が狭いところではできないので、すべての水循環センターでできるわけではない。現在、古利根川水循環センターへの導入と中川水循環センターの拡大を検討している」と答弁しました。