3月27日の定例会最終日、城下のり子県議は、埼玉県当初予算案に反対の討論を行いました。
討論内容(要旨)は以下の通りです。
日本共産党県議団を代表して
第1号議案「令和6年度埼玉県一般会計予算」
第8号議案「令和6年度埼玉県国民健康保険事業特別会計予算」第19号議案「令和6年度埼玉県水道用水供給事業予算」に対する反対討論行います。
初めに第1号議案についてです。
反対の理由の第1は、失われた30年と言われる実質賃金の低下、物価高騰で苦しむ県民生活に背を向ける負担の押しつけが多々あるからです。
まず、国民健康保険税の負担増を食い止める、県独自の施策がないことです。県が市町村に示した標準保険税率は全市町村で引き上げとなり、所沢市の場合 年収400万円の4人家族で、38万6千円と、昨年より4万円もの引き上げとなるものです。国保被保険者の4割が無職であり、平均所得は75万円であることを考慮するなら県として、国保会計に法定以上に繰り入れを行い、負担軽減を行うべきですが、そのような支援が見られません。
予算特別委員会の審議の中で「国において社会保険などと国民健康保険の1本化をめざすべきであり、その過程で一部に負担が生じるのはやむを得ない」という議論もありました。財界は一貫して、社会保険の事業主負担廃止を求めており、その中での社保と国保の一本化は、社会保険の重大な後退を招きかねず、国に対してこれを求めるべきではありません。国保は社会保障であり、国・県・市でしっかり支えていくべきです。
そのほか、今年度も県立高校タブレット購入費を保護者負担としたこと、さいたま芸術劇場の利用料金を10%引き上げたこと、私立学校父母負担軽減金を県外私学に通う生徒に不支給としていることなど県民への重い負担は認められません。
第2は地方自治法の主旨に反して、自治体の役務の提供において差別される県民が生まれているからです。免許センターや警察署におけるあらゆる手続きがキャッシュレスのみとなっています。カードやスマホ決済ができない県民は、NANACOを300円の手数料を払って買うか、出直しをして振り込みをするように案内されます。地方自治法10条2項は「住民は、(略)その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有す」とあります。県は直ちに是正すべきです。
第3は、アフリカ豚熱や鳥インフルエンザなど家畜の感染症に対する、さらなる警戒態勢を整えるべき時に、家畜保健衛生所を3ケ所体制から2ケ所体制に減らすからです。その結果、川越家畜保健衛生所の管轄は飯能市から久喜市、三郷市と広大に広がります。農家は現在も「もっと細やかに指導・援助をしてほしい」と望んでおり、中央家畜保健所は別の地域に立て直し存続すべきです。
第4は事業費が膨れ上がっている地下鉄7号線岩槻への延伸調査費をも計上していることです。総額860億円線路1キロ当たり123億円と指摘してきた事業ですが、物価高騰の中で昨年事業費が1300億円という試算結果が公表され、さいたま市は今年度鉄道事業者に事業要請しない方針とのことです。それでも県は今年度も調査費を計上しました。平成14年度から令和6年度までの調査費の総計は5億5千763万3千円に上っています。あまりにも重い負担であり県民は納得しません。
第5は、地元の意見に耳を傾けず、納得も得ないまま県立高等学校の統廃合を進めているからです。
次に、第8号議案国民健康特別会計については、すでに述べたとおりです。
最後に第19号議案「令和6年度埼玉県水道用水供給事業予算」についてです。経営5か年計画では、水道料金20%引き上げのシミュレーションが掲げています。昨年の決算審議でも「コスト削減に努める」との答弁でしたが、シミュレーション訂正が行われておらず認めることはできません。
以上を申し述べ反対討論とします。