9月定例会をふりかえって



10月13日、埼玉県議会9月定例会が閉会しました。閉会にあたって、城下のり子団長は以下のような談話を公表しました。

 

9月定例会を振り返って

一、埼玉県議会9月定例会は、一般会計補正予算をはじめ28件の知事提出議案と12件の議員提出議案を可決・同意しました。党県議団は知事提出議案1件議員提出議案1件に反対しました。

一、一般会計補正予算は補正額165億1100万円で、うち69億円余りが高齢者・障害者施設における新型コロナウイルス感染症対策の支援継続に係わるもの、73億円あまりが高齢者講習施設庁舎建設費の継続費の変更です。

この補正予算の高齢者・障害者施設における支援について、6日福祉保健医療委員会で城下のり子県議が前年度も実施されてきたこの制度について、申請率が高齢者施設で4割、障害者施設で6割しかないと指摘。手続きの簡素化などを求めたうえで賛成しました。

「第2期埼玉県まち・ひと・しごと創生総合戦略の変更について」の主な施策に「マイナンバーの活用による行政手続きの利便性の向上等を盛り込む」議案について、山﨑すなお県議は「個人情報の流出する危険があり、さらにトラブルが相次ぐマイナンバーの活用はいったん立ち止まり、位置づけることはやめるべき」と本会議で反対討論をしました。

また、自民党提出の「オンライン本会議の本格実現を求める意見書」(案)はオンラインによる県議会本会議出席を可能にするよう国に求めたものです。党県議団はオンラインの出席を認めれば議員同士が相互に確認しあうことができなくなり、結果として多数者の権力乱用につながりかねないとして反対しました。

一、県民から提出された「インボイス制度中止の意見書をあげることを求める請願」は産業労働委員会では自民・公明・民主フォーラム・県民会議など参加委員すべての反対で不採択となりました。「健康保険証の存続を求める請願」については、城下のり子委員が採択を主張しましたが不採択とされました。党県議団は本会議での討論を要求しましたが、認められませんでした。

一、自民党提出虐待禁止条例改正案が10月4日県議会に提出されましたが、10月13日自民党により取り下げられ、県議会はこれを認めました。

「下級生のみでの登下校の禁止」「下級生のみで公園で遊ぶ」「住宅に9歳以下のこどもを残し外出(すぐに駆け付けられない状況では)」すべて禁止という同条例案は、児童の養護者の事情いっさいを考慮することなく、児童の放置を禁止し、養護者たちに過度な精神的・肉体的・経済的負担を強いる異常なものでした。

同条例案の本会議、福祉保健医療委員会での審議の中で、その内容が明らかになればなるほど、県内はもとより全国へ反対の声が広がっていきました。「これではほとんどの保護者が虐待者になってしまう」「もう埼玉県から引っ越します」「次の子どもを産むのはやめます」などの声が党県議団にも多数寄せられ、SNSでは「#虐待禁止条例」がトレンドとなり、さいたま市PTA協議会は反対の意見書を提出しました。取り下げは、こうした児童の養護者をはじめ県民・国民の運動の巨大な成果です。

 本条例案は、9月28日に議会運営委員会への提出により、各会派に説明が始まるまで、一切その詳細は公表されていませんでした。その後10月4日に提出、6日に委員会採決と、県民的議論、会派間の審議期間はわずか1週間にすぎず、あまりに拙速でした。党県議団は、参考人招致や公聴会の提案も行いましたが、受け入れられませんでした。自民党議員団には今回の教訓として、条例提案の際に広く県民の声に耳を傾け、他会派間で十分議論を尽くせるよう、今後は議会として双方向の政策立案プロジェクトチームを作るなどの取り組みを求めます。

 放置による悲しい死亡事故は一刻も早く根絶しなければなりません。しかし、それは養護者を「放置禁止」で縛ることでは解決しません。国と自治体と地域社会が児童養護者を全力で支援し、温かく地域ネットワークで包み込んでこそ虐待は解消へ向かいます。必要なのは、保育所・学童クラブ・障害児預かり施設の整備やベビーシッター・ファミリーサポート、訪問看護の充実、深夜まで父親が帰宅できない現状を変えるための長時間労働の規制、育休制度の抜本的拡充など多種多様な子育て支援制度や労働規制強化などです。日本共産党埼玉県委員会と党県議団は、この立場でこれからも全力で虐待根絶に向け頑張る決意です。

 本日の議会運営委員会を経て、本会議で同条例案取り下げは採択されました。党県議団伊藤はつみ県議は議会運営委員会において同案取り下げに同意したうえで「今後議員提出議案作成にあたって超党派での作業グループの設置、公聴会・参考人質疑などを検討するのか」と質問。これに対して自民党の小島信昭県議が「取り下げに異議を申し立てるのか」と色を成す場面もありましたが、細田議運委員長により「検討することになっている」と納められました。

これまで埼玉県議会では、自民党の多数を頼んだ独善的な議員提案が長年にわたって続いてきました。同条例案めぐる一連の出来事の教訓として、全会派と県民参加による議員提出条例づくりに転換を図るべきです。

以上