インボイスは中止しかないー秋山もえ県議が反対討論

10月14日、閉会日に秋山もえ県議は議員提出議案に対する反対討論を行いました。

討論内容は以下の通り

「日本共産党を代表して議第32号議案「適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入に当たっての適切な措置を求める意見書」案、議第33号「地方公共団体情報システムの標準化に関する意見書」案に対する反対討論を行います。

議第32号議案は、来年10月実施予定のインボイス制度について、シルバー人材センターと小規模農業者のみに特例的な措置を講ずるよう国に求めるものです。インボイス制度によって経営に深刻な影響を受けるのは、シルバー人材センター、農業者のみではありません。同意見書に反対するのは、日本の小規模事業者を経営危機のどん底に突き落とすインボイス制度は中止しかないと考えるからです。

この制度が実施されると、今まで「小規模」ゆえに消費税の納税を免除されていた年収1000万円以下の事業者が、元請けなどから、課税業者になることが求められます。売上高にかかわらず納税義務が発生しますが、中小企業・小規模事業者は仕入れや経費に含まれる消費税を価格に転嫁することは困難です。小規模事業者は、コロナ禍で疲弊している上に、円安、物価高騰にさらされ、そのうえインボイスが実施されるなら事業者の倒産や、廃業が相次ぐのは必至です。よって中小企業・小規模事業者の事業存続と再生、ひいては日本経済振興のためには、インボイス中止しかありません。今はこのことを強く国に求めるべきだとして、同意見書案に反対するものです。

議題33号議案は地方公共団体の持つ国民健康保険、後期高齢者医療など主要20業務の情報を、令和7年度までに国のガバメントクラウドの標準システムに移行する、いわゆる「地方公共団体情報システムの標準化」の実施に当たって技術的・財政的支援や、保守・運用の支援などを求めるものです。反対する理由は、「地方公共団体情報システムの標準化」のリスクははるかに深刻であり、このような支援では根本的解決につながらないからです。

国のガバメントクラウドに集積される個人情報は、多種多様膨大なものであり、今回の標準化によって地方公共団体の保有する個人情報までが集積されます。その20種の中には児童手当、選挙人名簿管理、地方税、戸籍、生活保護、障害者福祉、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療、国民年金などが含まれます。国のデジタル関連法は、情報の活用を主要な目的としており、もはや私たちには自分のどのような情報がだれに引き出され活用されるのか、全くわからない状態となります。日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)について、専門家が厳しく警告しているのは、急速なDX推進の一方で「自己情報コントロール権」が確立されていないことです。個人情報の収集には本人同意の条件など収集の制限、収集目的の明確化、目的外使用の禁止が必要です。どんな個人情報があり、何に使い、だれが管理するか、明確にすべきです。そして、自分に関する情報の有無確認、内容開示、消去、修正要求ができなければなりません。このような権利の確立の点からみれば、改定された個人情報保護法は、全く不十分です。

 また、システムの標準化は地方自治体の業務内容を国のシステムに合わせることによって、独自性を失わせる可能があり、地方自治の侵害につながりかねません。

したがって、地方公共団体情報システムの標準化にあたっては、「自己情報コントロール権の確立」「地方の独自の政策判断の保障」は絶対条件と考えます。これらを国にまず、求めるべきだと考え、同意見書に反対するものです。」