12月9日秋山もえ県議は一般質問を行い、気候変動問題や太陽光発電による乱開発問題を取り上げました。
地球温暖化対策、国が計画示したのち、県の方針きちんと示す
菅首相が、所信表明で2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするとしました。これはすでに120カ国以上で掲げているものです。エネルギーをはじめ従来の政策を、根本から転換することが急がれます。
昨年の台風第19号により、県内河川の氾濫や崖の崩落、堤防の決壊などで深刻な被害を受けました。温暖化による気候変動は、私たちのくらしの土台を揺るがしています。県は、「埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)」を策定していますが、2030年度までの計画であり、これでは2050年度までにゼロ目標は達成できません。
もえ県議は、県レベルで初の「気候非常事態宣言―2050ゼロカーボン宣言」を発表した長野県のヒアリングの内容を紹介し、長野県のゆるぎない姿勢によって、県内全市町村が県の宣言に賛同を表明したとして知事のゼロカーボンの決意を質問しました。知事は、ゼロ宣言はしないとしながらも、「今後、国の基本計画やエネルギーミックス等がでてくるので実効的な道筋というものをしっかりと打ち立てさせていただく。その上で、埼玉県が例えばいついつまでにとか、あるいはこれこれこうするといった方針をきちんとした形で示させていただきたい」と答弁しました。
太陽光発電による乱開発が丘陵地帯を虫食いに
今、時代は再生可能エネルギーの発展を求めていますが、そのためにも悪質な太陽光発電事業者の規制は避けて通れません。太陽光発電事業者による乱開発が、埼玉県の丘陵地域を虫食い状態にしています。
嵐山町志賀の太陽光発電施設が、10月13日に崩落し、東武東上線の線路まであと20mの地点まで土砂が迫りました。ここではこれまでも小規模な土砂崩れが繰り返されています。
嵐山崩落教訓に―県の林地開発基準の強化を
もえ県議は、林地開発許可のための県の審議会が、太陽光発電施設について「(疑問はあるが、許可基準は満たしているので)やむを得ない」とたびたび答申していることを指摘。太陽光発電による崖崩れなどを防止できるように、県の開発基準を見直すこと、その際、嵐山志賀をはじめ、林地開発を許可したにも関わらず崩落したような案件を調査し、県の基準見直しに生かすべきと質問しました。これに対して強瀬道夫農林部長は「太陽光発電に関しては、県が把握している限りでは工事完了後に生じた崩落は嵐山の件が初めて。林地開発許可を行った区域において崩落が生じたことについて、重く受け止めている。詳細な発生原因の究明を行っている。調査の結果が明らかになり次第、結果を踏まえて専門家の助言もいただきながら更なる許可基準の改正を含め、審査の在り方について点検する」と答弁しました。
県内唯一炭鉱跡地、小川町飯田の林地開発許可慎重に
また、もえ県議は「小川町飯田区内では、県内唯一といえる明治以来の炭鉱跡地に太陽光発電施設が計画され、炭鉱の保存と崩落の危険性の両面から反対の署名が市に提出されている。この計画について、林地開発の許可申請がされた場合、開発地の歴史的遺跡保護や過去の落盤事故の経過などが、十分に審査されるべき」と追及。農林部長は「過去の落盤事故の経過など災害の防止に関係する項目については、現地の状況を確認した上で、必要な対策が講じられているかについて十分に審査する」と答弁しました。