9月定例会を振り返って

記者発表

2020年10月14日

日本共産党埼玉県議会議員団 団長  柳下礼子

 

 

 

9月定例会を振り返って

 

 

10月14日、9月定例会は、新型コロナウイルス感染症対策を中心とした「令和2年度埼玉県一般会計補正予算など11件の知事提出議案と7件の議員提出議案を可決・同意し、閉会しました。。

新型コロナウイルス感染症対策の補正予算、約1300億円可決

県一般会計補正予算は3本提出され、総額は1300億円を超えます。中でも65歳以上の高齢者のインフルエンザワクチン接種費用の自己負担分を補助する予算については、急施議案として9月24日の開会日に審議、全会一致で可決されました。また、そのほかコロナ対策として、コロナ患者を受け入れる空床補償について5万2千円程度から7万1千円に引き上げる、コロナ専用医療施設の整備費37億円余りなどが補正予算に含まれており、この部分については全会一致で可決されました。

知事や県議等の報酬削減議案、自民党単独で否決

知事提出の第100号議案「知事等の給与の特例に関する条例」は知事・副知事・教育長などの給与を3割から1割程度削減するというものでしたが、自民党が単独で否決しました。これに伴い、自民党は第99号議案一般会計補正案に対して修正案を提出し、これも自民党のみの賛成で可決されました。知事提出議案は、新型コロナウイルス感染症の影響のもと「現下の厳しい社会経済情勢に鑑み」知事や教育長などの給与を削減するというものですが、これに対して自民党は、①削減額が明確な調査に基づいておらず、論理的でないとして、県人事委員会の民間給与調査に基づいた勧告を参考にすべきだ②知事等の給与削減分が寄付金等でまかなわれている基金に繰り入れられることは寄付行為とみられかねないなどの理由で否決しました。しかし、人事委員会勧告は労働基本権を制限された一般職公務員への代替措置であり、特別職には関係がありません。一般会計からコロナ基金への積み立ては寄付行為ではありません。

第100号議案への賛成討論で、前原かづえ県議は「新型コロナウイルス感染拡大の影響による持続化給付金支給人数が346万人、完全失業者は205万人に上り、会社から仕事を休業させられた人も216万人と言われています。コロナ対策の最前線の看護師ですら、医療機関の減収により、ボーナスも減額されている状況です。政治家がこれらの方たちの状況にわがこととして寄り添うべきです。知事や副知事給与の減額と、その分を一般会計からコロナ基金へ組み入れる行為は当然認めるべきです。」と述べました。

一方、県民会議は党県議団や民主フォーラムなどと事前に協議の上、議員報酬と期末手当を20%削減し、コロナ基金へ繰り入れる議案を提出。しかし自民党のみの反対で否決されました。

 

自治体デジタル化などの意見書案3本に反対

党県議団は3件の意見書案に反対しました。特に「地方自治体のデジタル化の着実な推進を求める意見書案」に対して、秋山もえ県議は「障害者や高齢者など情報弱者へのサービスが後退する懸念、自治体クラウド促進によって、システムに対し行政の仕事内容をあわせる状態が進行し、地域の実情に合わせて多様であるべき自治体行政サービスの画一化が進むことへの懸念などリスクの側面を一切かえりみることなく、自治体デジタル化に突き進むものであり認められません」と反対討論しました。(他会派の賛成で可決)

一般質問で、保健師増員など実現

柳下礼子県議が、一般質問を行い「新型コロナウイルス感染症の収束のために」「ひとり親家庭への支援強化を」「少人数学級の推進について」「豪雨災害対策・複合災害対策について」などを取り上げました。特に、柳下県議は、狭山保健所の視察調査の上で、「コロナ蔓延期、この狭山保健所で最大の時間外勤務をした保健師は、過労死ライン100時間を超える過酷な状況でした。」「ニューヨークでは、感染者の接触者追跡を行うトレーサーの配置基準を設け、人口10万人当たり最低30人としています。狭山保健所に当てはめたとしたら、240人以上の保健師が必要です」と体制強化を求めました。「狭山保健所管内には、飯能、所沢、狭山保健所と3つの保健所があり、2005年度には95人の職員がいました。それが、2つの保健所が廃止され職員は57人となっています。これでは、過労死ラインを超えるような状況は避けられません」と厳しく指摘し、3保健所体制復活を求めました。

これに対して、知事は「平成6年の地域保健法の制定以来、国策として保健所の再編が進められてきた。今回の感染症対応で保健師の負担が過重なものとなっていたことはご指摘の通り」と認めました。そして「保健師の増員を図った上で、今後の保健所体制の整備について、しっかりと検討する」と約束しました。

コロナ対策特別委員会提言で「少人数学級進める」

新型コロナウイルス感染症対策特別委員会が6月定例会後、閉会中審査が行われ、秋山もえ県議が参加してきましたが、提言がまとめられました。この中で、党県議団の主張である「少人数学級については国に要望するとともに、県独自でも進めていくこと」「保健所体制強化」なども提言の中に取り入れられました。

議会改革検討会が非公開に

田村琢実議長の発案による非公式の「議会改革検討会」が立ち上がりました。一般質問における一問一答方式の導入・オンライン委員会・ペーパーレス議会システムの導入などが検討事項です。党県議団からは守屋裕子県議が参加します。第1回検討会では、守屋県議はじめ、民主フォーラムなどから公開を求める発言がありましたが、自民党は業者の利害関係を理由に非公開としました。

福島原発汚染処理水の陸上保管求める請願、不採択に

県民から提出された「福島第1原発事故による多核種除去設備等処理水の陸上保管を求める意見書の提出を求める請願は、「政府が地元関係者から意見を聴取しているところであるので政府が判断を下した時に決定すべき」という理由で自民・公明・県民により不採択となりました。党県議団は本会議での討論を求めましたが、認められませんでした。  以上