議員提出議案に対する反対討論

3月27日、本会議で前原かづえ県議は議員提出議案に対する反対討論を行いました。以下全文です。

日本共産党前原かづえです。党議員団を代表して、議第10号「刑事被告人の保釈に関する制度等の改善を求める意見書案」の反対討論を行います。

議第10号議案は、昨年末の日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の国外逃亡事件を受けて、「逃亡を抑止し得るような適切な保証金額を設定することに加え、財産面以外のより効果的な抑止方法を採用することなど、保釈を許す場合の要件を見直すこと」を求めています。昨年末の事件のような逃亡事件があいついでいることが、この意見書の提案動機と考えられます。もとより、国外逃亡などはあってはならないことです。他方、近代刑事裁判では、すべての被告人は無罪と推定をされるものであり、有罪が宣告されるまで、自宅等、自己が選択した場所で自由に過ごす権利を有し、身体を拘束されるのは、例外的な場合に限られるべきです。『疑わしきは被告人の利益に』これが原則です。

刑事訴訟法第89条は、保釈の請求において、証拠隠滅をすると疑う相当の理由があるときや、証人などへの危害を加える、あるいは畏怖させる行為を疑う相当の理由があるときなどは、保釈は認められないとしています。さらに同90条には、「逃亡するおそれの程度」について、所在不明となる具体的・現実的な可能性があるのかという観点から検討されなければならないとしています。このように現行法を厳格に実施すれば逃亡を充分に防げるため、保釈の要件の見直しは必要ないと考えます。

被告人が否認していると保釈を認めず、長期に勾留するという現在のやり方は、公正な裁判を害するものです。保釈について、刑事訴訟法の規定通りの運用を求めるべきです。