党県議団は6月2日、さいたま市内の彩の国さいたま芸術劇場を視察しました。
役者が縦横にかけまわる=小ホール
写真は小ホールです。舞台と座席が稼動式です。実際の舞台では通路を自在に役者さんが走り回り、観客と一体となります。
そのため、最大でも346座席しかつくれず、採算は度外視です。これも、公立の劇場ならではと言えます。
「この劇場のかなめの部分」=小ホールに併設された工房
舞台で使う大きな装置は、他所で制作して持ってきますが、様々な装置を臨機応変にここで作ってしまいます。これこそ創造型劇場の心臓部=かなめの部分といえます。
創造型劇場さいたま芸術劇場は、ゴールドシアターやシェークスピアシリーズなど、意欲的に制作してきました。
しかし竹内文則理事長は、「地域の劇団やサークルのために、もっと開放したいが、自主制作がそれを邪魔している。」と語ります。
創造型劇場と貸館型劇場、この矛盾の解決法は、もっと各街に劇場が作られるしかありません。
自慢の音=音楽ホール
音響効果が考え抜かれたホール。
奥がはるかにかすんで見える=1300㎡の大舞台
オペラもミュージカルも、バレエも上演できる大ホール。今立っているこの場所は、オーケストラボックスにもなります。奥の舞台は1300㎡もの広さがあります。視察に先立ってみたシェークスピアの「尺には尺を」では、舞台が奥の深いお城の廊下に見えました。これだけのホールの客席は776席。「オペラは絶対にサイサンがとれません」とのことでした。
見学後、理事長さんと懇談しました。蜷川幸雄芸術総監督の死に関連して「監督の形のあるレガシー(遺産)も大きいが、トップの若い役者もそうだが、蜷川組の職人たち=100人以上のスタッフたち、形のないレガシーもしっかり残っている」と、その遺志を引き継ぐ決意を語りました。
村岡幹事長は、今回の視察の問題意識について、県議会2月定例会における特別委員会における、芸術劇場の採算性についての議論を紹介し、「公立文化施設を収益というものさしだけで見ていいのか、違うのではないか。芸術は生きていくうえで必要な力ではないか」と語りました。
芸術劇場のスタッフの正規職員化について
スタッフの処遇について聞かれ、竹内理事長は「13年前就任当時は、65人のスタッフ中38人が短期の契約職員だった。信念として、職員はノウハウを持った人でなければならないと思っている。専門職でなければと、5年務めた契約職員を正規職に近い待遇にしてしまった。その後労契約法の改正にあたって、全職員を正規職とした」と語りました。