予算特別委員会の部局別審査が続いています。11日の農林部では、柳下礼子県議が1月の雪害対策、TPPの影響調査を取り上げ、14日の産業労働部では、村岡正嗣県議が先端産業プロジェクトの推進、労働法の周知徹底について質しました。
1月の雪害 被災農家のハウス再建に補助を
柳下県議は、1月18日の大雪によってトマトなどの農業用ハウスが倒壊した問題で、2年前の倒壊ハウスがようやく再建したのも束の間、ふたたび被害をうけた小鹿野町の農家の深刻な実態を紹介。無利子の農業災害資金の融資など県の支援策は不十分だと批判し、「雪害で一つの農家も廃業させない」との強い決意で県独自の補助事業を実施すべきだと迫りました。
農林部長は、農業災害を前提に農業共済の加入を促進してきたとして、補助事業を拒否しました。
柳下県議は、農業共済への加入率が県内農家の3分の1ほどと低く、加入しても再建費用が十分まかなえないと指摘し、せめて関係自治体が無償で撤去を引き受けるよう強く求めました。
農林部長は農業共済で撤去費用も対象となったとして無償撤去を行わないことに理解を求めました。
TPPの県内農業影響額 8~14億円
また、柳下県議は、TPPによる県内農業への影響試算を群馬県や千葉県が公表するなか、いまだに影響額を明らかにしない埼玉県の姿勢を厳しく批判し、一刻も早く公表すべきだと求めました。さらに、深刻な影響が生じる県内農家を対象としたアンケートをただちに実施すべきだと質しました。
農林部長は答弁のなかで、県内の影響額が約8億~14億円であることを初めて明らかにしました。TPP対策について県内2か所で国とともに説明会をしたとして「アンケートを行う考えはない」と答えました。
農林部への質疑議事録(県議団作成)平成28年2月予算柳下 0311農林
地産地消による地域循環型経済を
村岡県議は、産業振興の基本に地産地消による地域循環型経済をと繰り返し提案してきたこととして、県が進める次世代住宅産業プロジェクトについて質問しました。県産木材を利用した木質系断熱材や構造用パネルの開発については、「(木材利用の)川上から川下を結ぶモデル事業になりうる」と評価。地中熱ヒートポンプについても、「地中熱を利用したエネルギーはある意味無尽蔵と言える」として、それぞれの商品化に向けた今後の支援や事業見通しを質しました。
県は「平成29年度に市場に出せるように支援していきたい」と答えました。
労働法出前講座を私立高校などに拡大
村岡県議は、「労働法」等の周知に関わり、事故による修理代など、何かあるたびに自己負担とされている運送業の方、時給780円、最低賃金以下で働かされている人など、労働相談員から聞き取った深刻な実態を紹介。事業者側も労働者側も「労働法」等についての理解がなさ過ぎるとの相談員の指摘にふれ、労働セミナーや出前講座、手引書の配布など周知徹底がまだまだ不十分だとして、今後の県の対応を質しました。
産業労働部長は、若者向け出前講座を県立高校だけでなく、私立高校や専門学校にも拡大する考えを明らかにしました。
ブラック企業 労働法冊子への記述検討
また、村岡県議は県の労働ハンドブックにブラック企業の記述が絶対的に少ないと指摘し、冊子の記述の充実を求めました。
産業労働部長は「ブラック企業は非常に許し難いと個人的には思う。若者労働連絡会議の意見交換の内容をハンドブックに反映できるよう検討していきたい」と答えました。
産業労働部への質疑議事録(県議団作成)平成28年2月予算村岡 0314産労