知事提出議案に反対討論ー水道用水・工水料金引き上げ撤回を

12月20日、伊藤はつみ県議は県水道用水引き上げなどの知事提出議案に反対討論をしました。

以下、討論の全文です。

 

日本共産党の伊藤はつみです。日本共産党を代表して

第132号議案「埼玉県工業用水道料金徴収条例の一部を改正する条例」、第133号議案「埼玉県水道用水料金徴収条例の一部を改正する条例」、第141号議案「指定管理者の指定について」、第145号議案「荒川左岸南部流域下水道の維持管理に要する経費の関係5市の負担額について」、第146号議案「荒川右岸流域下水道の維持管理に要する経費の関係13市町の負担額について」、第147号議案「中川流域下水道の維持管理に要する経費の関係15市町の負担額について」、に対する反対討論を行います。

初めに第132号についてです。本条例案は、県工業用水道料金の基本料金・特別料金・超過料金のいずれも35.3%引き上げるものです。反対の理由は、厳しい経営環境の中なんとか頑張っている県内中小企業に打撃をあたえ、受水事業者の撤退や廃業に伴う契約水量の減少に拍車をかけ、結果として健全経営の確保が難しくなるからです。

1994年に1億1116万8240㎥であった年間契約水量は2024年には6千684万1541㎥へと半減し、このままでは今後の経営の見通しはありません。この度の料金引き上げが倒産・廃業など招いては、本末転倒です。今回は引き上げを見送り、公営企業という独立採算を基本とする制度の見直しも視野に検討すべきです。

第133号議案は2026年度から県水道用水料金を21%引き上げるというものです。以下反対の理由を述べます。

第1は水道法が定める、生活に欠くことのできない水を低廉な料金で供給するという県の役割が果たせないからです。物価が高いという県民の声がうずまき、内閣総理大臣はじめ知事までも、給与改定を辞退するような状況の中で、県水道用水の引き上げの決定はどれほどの県民を苦しめるのか想像がつきません。2023年度に経済困窮で給水を止められたのは3万9千件ですが、2021年度から2年の間に4千件も増加しているのです。現在県水転換率が7割を超えている自治体が大都市を中心に40自治体となっております。県水の引き上げは必ず市町村水道料金の引き上げにつながります。

第2の理由は、過大な水需要計算にもとづく八ツ場ダム・思川開発などの県の政策ミスの責任を県民に押し付けるべきではないからです。

まず知事は一般質問で、令和元年大豪雨でのダムの治水効果を強調されていましたが、この時は上流の多数のダム群で貯留したのであって、八ッ場ダムのみで防いだというわけではありません。八ッ場ダムの洪水最大流量削減率は3%、栗橋地点で17センチのわずかな水位低減にすぎません。

利水面でも、知事が一般質問で計画の根拠としてあげた長期水需給計画は17年前のもので、それから給水実績は2787万㎥も減少しています。県は「渇水・渇水」と水利権獲得が不可欠だといいますが、民主党政権により八ッ場ダムが凍結された際に、ダムは中止しても水利権は獲得できる機会がありました。全国にはその時期中止し水利権を獲得したダムが2つあります。中止の可能性はあったにも関わらずその時点で、将来推計をせずに計画を復活させたのは、県の判断ミスです。

第3の理由は、料金を引き上げればまた節水対策を促し、水需要が減少するという悪循環に陥り、結果として経営安定化が遠のくからです。企業局が市町村に説明した資料には、2026年度に料金を引き上げても、2030年度からまた赤字に転落すると示されています。このままでは、未来はありません。党県議団は、第1に国からの重点支援地方創生臨時交付金をはじめとした一般会計からの繰り入れを行うこと、第2に昨年度企業局の節減の努力で黒字を生み出したように、黒字化に努めること、第3に国に対し設備投資への補助割合を大幅に拡充することを強く求めること、第4に将来的には公営企業経営を見直し、直営として水道法の使命を守ることを提案します。

次に第137号議案は県営住宅家賃滞納者に明け渡し及び滞納家賃請求の訴訟を提起するというものです。反対の理由は県と市福祉担当の連携が不十分だからです。党県議団の調査では、訴訟対象者は長期に生活保護を受給してますが、収入申告も市による代理支払い手続きもできずにきています。市による特別な支援の必要な方であり、県は訴訟以前に市ケースワーカーとさらに緊密に連携し、早急に家賃引き下げ・市による代理支払い手続きを行い、滞納支払いの相談を行うべきです。

次に第141号議案に反対の理由は、西部地域振興ふれあい拠点施設の指定管理について、利用料金を大幅に引き上げる提案をした事業者を指定しているからです。

西部ふれあい施設は多目的ホールと会議室3つを貸し出しています。多目的ホールは1時間200円の引き上げ。会議室は1時間100円から400円引き上げます。多目的ホールを1日かりると2600円の上乗せとなり大幅負担増です。そもそも現行の多目的ホール、会議室の利用料金自体が高すぎます。1日多目的ホールを借り切ると最大40万6800円にもなり、委託料を引き上げてでも、料金引き下げるべきです。

第145号議案から147号議案は一括して討論いたします。荒川左岸南部、荒川右岸及び中川流域下水道の維持管理に要する経費について関係市町の負担金を引き上げるものです。本議案に反対する理由は、今これ以上県民に負担をおわすべきではないからです。

市町村に対する負担金ではありますが、多くの自治体がこれに連動して下水道料金を引き上げることは必至であり、影響は合計で31市町506万2千人、県民の7割に及ぶ深刻なものです。決算質疑でも、昨年度の負担金引き上げが9市町中4市町の料金引き上げにつながっています。

物価高騰における県民の困窮はすでに申し上げました。今、この時に県民への負担増は認められません。