城下県議の知事提出議案に対する反対討論ー議員報酬引き上げにつながる議案は認められない

12月20日城下県議は、党県議団を代表して決算認定はじめ知事提出議案に対する反対討論を行いました。

以下討論の全文です。

 

日本共産党の城下のり子です。日本共産党を代表して、第95号議案「一般会計及び特別会計の決算の認定について」、第96号議案「公営企業会計決算の認定について」、第126号議案「埼玉県手数料条例の一部を改正する条例」、第134号議案「埼玉県公安委員会等が行う事務に関する手数料条例の一部を改正する条例」、第158号議案「特別職の職員の給与及び旅費に関する条例及び埼玉県教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例」議第41号「埼玉県拉致問題等の早期解決に向けた施策の推進に関する条例案に対する反対討論を行います。

 

まず、第95号議案一般会計及び特別会計決算の反対の理由の1点目は、個人情報が流失する危険があるマイナンバーカードについて、県は十分な対策もなく、普及を推進してきたからです。決算特別委員会の要求資料では給付金を他人の交付金受け取り口座に振り込むなど重大なトラブルがあったとあります。委員会での「研修や自己点検で個人情報の漏えいや紛失は防げるのか」との質疑への答弁は「これだけやれば大丈夫というものはない」と、無責任なものでした。国の個人情報保護委員会は昨年6月、「マイナンバーに関連する個人情報の紛失などの重大事態は前年の4倍に増えた」と報告しており、増加の理由について「対象範囲が広がったことが影響した」としています。対象範囲が広がればさらに重大事態が広がる可能性があります。普及を推進するなら十分な対策を行うべきです。

2点目は証紙の廃止により、免許の更新などの手数料の支払いがキャッシュレスのみとなり、自治体の役務の提供において差別される県民が生まれているからです。地方自治法10条2項は「住民は、(略)その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有す」とあります。県は直ちに是正すべきと考えます。

3点目は国民健康保険税が34市町で引き上げられたからです。一人あたりの保険税必要額は上がり続けています。しかし国保税の負担増を食い止めるための県独自の施策がなく、さらに県は運営方針で一般会計からの法定外繰り入れをやめるよう市町村に働きかけています。国保税の引き上げは命にかかわる問題であり、認められません。

4点目は地域保健医療計画の地域医療構想で高度急性期・急性期病床2345床過剰とし、国の補助によって回復期・慢性期病床への転換に誘導しているからです。病床が転換されれば、看護師の配置数が減らされていきます。新型コロナ感染症蔓延期には、コロナ病床つまり急性期への移行が急激に行われ、現場は看護師不足で大混乱しました。そうした新型コロナの教訓が生かされていません。

続いて第96号議案公営企業会計決算です。

反対の理由の1点目は、思川開発の総事業費が増加しているからです。思川開発の総事業費は令和4年度と比較し200億円増、県負担も22億円増であり、今年も負担が増えています。こうした負担増は水道用水料金に跳ね返ります。事業費増は認められません。

2点目は令和5年度、荒川左岸北部流域下水道の維持管理負担金を38円から46円に、利根川右岸流域下水道の負担金を83円から105円に引き上げたことです。

質疑でこの引き上げにより、9市町のうち、4市町で料金改定があり、令和7年にはさらに1市町で改定が行われることが明らかになっています。水と排水は生活に欠かすことのできないものです。地方創生交付金の活用などで負担軽減をはかるべきです。

126号議案は一般旅券発給手数料について、現行、書面申請でも、オンライン申請でも2000円だったものを、書面申請は300円の値上げ、オンライン申請は100円の値下げを行うというものです。反対の理由はオンライン申請できない方もいる中で書面申請者とオンライン申請者で料金に差をつけることは認められないからです。

オンライン申請は書面申請よりも申請にかかる経費を削減できるため手数料を下げるとの議論もありますが、本県においては以前から書面申請もオンライン申請も同じ手数料であり、ここにきて差をつける理由がありません。行政サービスにおいて、格差を持ち込むことは許されません。

第134号議案は来年3月からマイナンバーカードと運転免許証の一体化が行われることから免許の新規取得や更新時の手数料などを改定するものです。反対の理由はマイナ免許証のみは手数料をさげ、従来の免許証のみは手数料をあげることでマイナンバーカード取得に誘導しているからです。

さきに述べた通り、マイナンバーカードに免許証が追加されれば、個人情報流失などの重大事態がさらに増える可能性があり、誘導することは認められません。

第158号議案は副知事、公営企業管理者、下水道事業管理者などの特別職の期末手当の年間支給割合を0.05月分引き上げるというものです。

反対の理由は、特別職の期末手当とそれに連動する県議会議員の期末手当引き上げは物価高騰に苦しむ県民の理解が得られないからです。

国においては内閣総理大臣や副大臣などすべての閣僚は当分の間、据え置くとしています。据え置く理由として林官房長官は「物価上昇や賃金の動向といった経済状況等の現下の諸情勢を総合的に勘案し、国民の幅広い理解を得ることが必要という観点から、当分の間据え置く」と会見で述べています。

しかし、今回の提案は知事の期末手当のみ据え置くものです。本定例会には上下水道の値上げなど物価高騰に苦しむ県民へ新たな負担を求める議案も提案されています。そうした中で特別職、県議会議員の期末手当引き上げは県民の理解が得られません。

 

続いて議第41号「埼玉県拉致問題等の早期解決に向けた施策の推進に関する条例案」に対する反対討論を行います。 

国際的な無法行為である拉致の問題解決には、日朝双方が必要な努力を尽くし、日本と北朝鮮の国交正常化への道筋を開かねばなりません。拉致問題や北朝鮮による核・ミサイル開発、日本による植民地支配などの過去の清算といった、日朝間の諸懸案を包括的に解決することをめざした「日朝平壌宣言」(2002年)に基づいて、対話による問題解決を目指すべきです。また、北朝鮮の核問題にかかわる6カ国協議の共同声明(2005年)は、日朝国交正常化への支持も明記しており、この6カ国協議の枠組みも活用し、日朝の交渉を追求すべきです。

本条例案に反対する理由の第1は、拉致問題の解決は、このように外交努力によって実現すべきですが、本条例案は、県や県民に責務を負わせるものであり、この基本的解決の在り方から外れているからです、

第2に、第7条は学校教育活動において、努力義務をさだめていますが、12日の本会議における自民党議員の「『アニメめぐみ』を見ていない学校がある」などという、学校の授業内容までを監視するような教育介入発言を見る限り、本条例成立によって、政治的介入が横行する可能性が非常に高いと懸念するからです。

よって、本条例案に反対します。