12月定例会で伊藤はつみ県議が一般質問し、保育所の保育士確保対策、障害児加算の廃止問題を取り上げました。
保育士不足がますます深刻です。党県議団はふじみ野市内の私立保育園を訪問し、園長先生に保育士確保のご苦労をお聞きしてきました。大学訪問、大学向け求人サイトへの掲載、ハローワークへの届け、保護者や新聞折込によるチラシ配布など努力をしているけれど、少しも反応がないといいます。
現在の保育の公定価格は人事院勧告に準拠していますが、国が示した令和6年人事院勧告は驚くべきものでした。この人勧にもとづき保育所への公定価格を試算すると、伊藤県議の住むふじみ野市は現在12%ですが、8%とさがります。これでは隣接する東京都との格差解消どころか、施設運営自体が不安です。ふじみ野の4%の引き下げによる運営費(90人定員)収入の影響額は284万円にのぼります。(人件費自体があがるので、来年度は減額はないとみられます)
県内市町村では、独自に人件費に上乗せする処遇改善費を支給して頑張っているところもあります。ふじみ野市では正規職員に月額14400円、所沢市では月額28000円を支給しています。全県27もの市町が独自の改善費を制度化しています。
伊藤県議は「県では保育士確保策として、就職準備金の貸し付けや宿舎借り上げ補助の県独自の上乗せ、奨学金返済支援事業をおこなっている。処遇改善費とは違って、保育士に直接届くと説明するが、一時的であったり、一部の保育士だけを対象にしたものであり、効果は部分的」と、県の支援は不十分だと指摘しました。
そのうえで「ふじみ野市・所沢市のように、すべての保育士給与上乗せを目的とした処遇改善費を県として、行ってほしい」と求めました。これに対して知事は「保育士への最善の処遇改善は、国が定めている給与の原資となる公定価格の見直しであり、まずは国に対し、あらゆる手段を尽くして働き掛ける。その一方で、国への要望が実現するまでの間、県独自に保育士自身に直接支援が届く支援を行っている」として、給与への上乗せ措置を拒否しました。
令和8年度から県の障害児保育補助事業を廃止する方針が示されました。担当保育士を加配するよう、障害児1人に対し4万円加算されていましたが、県負担分の2万円は減額となります。その代わりにすでに交付されている地方交付税を財源として独自措置を実施するように市町村担当に説明されています。
伊藤県議は「交付税は平成30年度から、ふじみ野市の場合障害児1人年間150万円ほど措置されている。県は、交付税措置が保育現場に還元されているのか、各市町村の活用状況を把握されているか」と質問。これに対して福祉部長は「地方交付税が措置されている、そういう制度となっているので、当然市町村においては、それを活用していただいているものと思う」として、県として把握していないことを認めました。
伊藤県議はかさねて「県は、市町村の状況をしっかりとつかみ、施策を後退させる自治体がでないよう、丁寧に指導すべき。福祉部長、どのように指導を徹底するのか?」と追及。部長は「今後も直接市町村を訪問するなど重ねて働き掛けを行い、着実な実施及び充実に結び付ける」と約束。知事も「市町村が確実にこのような補助事業を行うよう、今後県としての働き掛けを強める」と約束しました。