11月11日、決算特別委員会が開かれ、環境部と保健医療部の審査が行われました。城下のり子県議が質疑を行いました。
持続可能なまちづくりの推進のため、市町村が抱える課題を支援するとして県は埼玉版スーパー・シティプロジェクトを行っています。令和5年度は17市町がエントリーしました。
埼玉版スーパー・シティプロジェクトは「コンパクト」「スマート」「レジリエント」の3つの要素を兼ね備えたまちづくりプロジェクトに補助を出すもので、市町村によっては公共施設の集約化などのプロジェクトにも使われることがあります。公共施設の集約化は市民活動の衰退や街の空洞化をまねきかねず、注意が必要です。
一方、上下水道、橋梁などを含む公共施設・設備の耐震化、公共施設への太陽光発電・蓄電池の設置、デマンド交通による高齢者や障がい者等の外出促進などのプロジェクトに使っている自治体もあり、そうした取り組みが自治体間で共有されることが大切です。
城下県議は「長瀞町の移動販売車を活用したオンライン健康相談や空き家等の利用などの取り組みは重要。そうしたそれぞれの取り組みはどのように共有されているのか」質問しました。
環境部は「ホームページで公表、先行事例セミナーの開催、会議、企業を含めての交流会などでも共有している」と答えました。
また城下県議は「エントリーしたプロジェクトの完了後、企画のブラッシュアップや新たな取り組みの追加は支援対象となるのか」と質問。環境部は「対象となる」答えました。
航空自衛隊入間基地、アメリカ空軍横田基地の航空機騒音の問題について、城下県議は「令和5年度の騒音発生状況、騒音測定の結果はどうだったのか」と尋ねました。環境部は「8カ所測定のうち7カ所は基準以下、1カ所で基準を超えている」答弁。城下県議は「これはあくまで平均値であって基地の近くはかなりの轟音が響くこともある。しかし国は基準値を下回っていることを理由に学校のエアコン更新費用の打ち切りなどを行っている。県はその実態を把握しているのか」と追及。環境部は「基地対策協議会の要望で把握している」と答えました。
城下県議はさらに、「県測定は12地点から8地点に減っている。基地周辺住民から増やしてほしいとの要望が出されているが、可能か」と聞きました。環境部は「専門家にも意見を聞きつつ、必要と判断すれば増やすことありうる」と答えました。
令和5年度国保運営協議会は第3期の国保運営方針を審議しました。第3期運営方針にはこれまで「今後検討する」としていた収納率までの完全統一の期限を令和12年度までと、突如明記しました。収納率は大都市部で低く、市町村格差があります。完全統一の期限を決めて無理やり目指すなら、今以上に収納対策が強化され、差し押さえなどが横行しかねません。
城下県議は「パブリックコメント後に完全統一の期限を入れるなど、県民への説明は不十分ではないか」と質問。保健医療部は「国保運営方針の第1期の段階から完全統一を目指す方針は掲げていた」と説明。城下県議は「県民は収納率強化につながりかねない完全統一など望んでいない。県民に丁寧に説明していく責任はあったんじゃないですか」と追及。保健医療部は「収納強化にならないよう6年間の猶予がある」と答えました。
城下県議は看護専門学校の閉校が全国で相次いでいることから、埼玉で状況を聞きました。保健医療部は「北部の地域や学校が偏在しているところで定員割れを起こし、令和5年度6課程が廃止になった」と答えました。城下県議は「運営費の助成は足りているのか」と質問。保健医療部は「赤字のところに1校当たり1600円の補助を行っているが、充分ではない」と答えました。
看護学生への奨学金は貸与制の奨学金制度しかありません。城下県議は「2023年全日本民主医療機関連合会がおこなったアンケートでは8割の学生が返済に不安を感じており、奨学金を申請しなかった一番の理由は将来、返済できるか不安だったとの回答だった」と紹介して、「人口10万人あたりの看護師数が全国最下位の本県で看護師を確保していくために給付制の奨学金制度が必要ではないか」と質問。保健医療部は「令和4年度看護学生へのアンケートで埼玉県に就職するかどうかを聞いた際、8割が県内に医療機関に就職すると答え、返還不要の奨学制度があれば利用して県内に就職すると答えた学生は3%に過ぎず、誘導は限定的と考えている」と回答。さらに「奨学金は看護師として勤務していれば返せる」と答えました。
地域医療構想は現在の病床数と比較して、高度急性期が651床過剰、急性期は1694床過剰、一方回復期は2551床不足、慢性期は1491床不足としています。
県は急性期病床から回復期病床などへの転換を行った医療機関に対し、補助金を出して誘導しています。
城下県議は「策定した地域医療計画でも新たな感染症対策について位置づけている。またコロナの教訓から急性期病床を減らすべきでないと考えるがどうか」と質問しました。保健医療部は「国はコロナの教訓も踏まえて新な地域医療構想をつくるとしている」と答え、急性病床からの転換をやめるとは言いませんでした。