埼玉県農民運動連合会は1月25日、県に対し予算要望を行い、その後懇談しました。村岡県議が同席しました。
要望書は「ミニマムアクセス米の輸入中止を国に求めること」「県は独自に来年度作付けにむけた種苗代の補助」「畜産農家が経営を継続できるよう、抜本的な経営支援」「国の遊水地計画の中止または変更を国に求めること」など33項目を求めています。
ミニマムアクセス米の変更は可能
米の在庫が余って米価が暴落しています。米を作っても赤字になる状態が深刻化していることからミニマムアクセス米の輸入中止を県から国に求めてほしいと訴えましたが、県の担当者は「政府はガット・ウルグアイ・ラウンド合意に基づき77万トンを買っています。国は『変更は困難』と述べています。県としては米価暴落に対し、有効な措置を行うよう国に要望しています」と答えました。
これに対し、農民連からは「変更は困難というけれど、できない規定ではないですよね」「実際、韓国では国内状況から買う量を減らしている。それでも他国から非難されてはいない。変更はできるんですよ。県は変更不可能という見解なんですか」と問われ、県の担当者は「変更は不可能ではない」と答えました。
「子どもには継がせられない」との切実な訴え
米農家が営農していくために種苗代の補助を求めましたが、県は「現在の米価暴落は米が売れないことが原因と考えております。そこで県として米をかってもらうキャンペーンを行っています」と回答。
米作りをしている農家から「かつては10町やっていれば食べていけたのに、今は20町やらないと食べていけない。しかし20町で稲作をやろうとすると1人では無理。5人から6人の人員がいる。しかし人を雇えば経費が増えて食べていけなくなる。政府も県も稲作からの転換を言うが、例えば大豆やトウモロコシなどに転作しようとしても設備投資しないとできない。その設備投資は1000万では足りない。そのことをちゃんと考えているのか。補償もないのに、転作しろと言われても困る」「会社員で60歳を過ぎてから農家を継ぎ、野菜と米を作っている。米は赤字。野菜の収益は年間200万から300万。妻と2人でやっていて、時給に換算すると200円から300円になってしまう。子どもがいるが、子どもには『農家にはなるな。自分の子どもを大学に行かせることはできなくなるぞ。どうしてもやりたいなら定年退職してから』と言っている」「県は売れるようにするんだというけれど、根本的に農家を支援する種苗代補助など行わなければ、農家はどんどん離農する。食料を自国で賄うこと安全保障上も必要なこと」との訴えがありました。
4000戸あった畜産農家が425戸に
県は粗飼料高騰緊急対策、採卵鶏農家経営安定緊急対策を決めましたが、畜産農家からは不十分との声が上がりました。
農民連は懇談には参加できない畜産農家からの「県も粗飼料の高騰対策などやってくれたがそれでも足しにしかならない。国も対策というけれど融資のことしか言わない。自助努力ではどうにもならない。貯蓄を取り崩している」という訴えを紹介し、「かつて県内に4000戸あった畜産農家が425戸になっている」「県の農業予算はかつて2%あった。しかしいま1%になってしまっている。この予算を抜本的に増やし、農家への支援を行ってほしい。」と訴えました。また鳥インフルエンザが猛威をふるっていることから家畜保健衛生所や農林部の職員の増員を求めました。
遊水地について反対しているわけではない。しかし農地を残してほしい
2019年台風19号による越辺川の氾濫は坂戸市周辺に甚大な被害をもたらしました。越辺川の氾濫対策として遊水池建設を計画しています。この遊水地建設予定地に原農場の田圃38ヘクタールがこの遊水池計画内に含まれています。
原さんは「うちは近隣の農家がもう耕せないと託された農地を引き受けてきた。自分は父母の農作業を見て育ってきた。父母が守ってきたものをつないでいきたいと思っている。計画に反対するわけではない。でも位置をずらすことなど、様々な方法を考えてほしい。それを県から国に言ってほしい」と訴えました。
村岡正嗣県議は「農家のみなさんから本当に切実な訴えがありました。県職員のみなさんはこの切実な訴えを受けとめていただき、すこしでも予算に反映させるために全力をつくしてください」と訴えました。