9月定例会を振り返って

10月14日、埼玉県議会9月定例会が閉会し、柳下礼子県議は談話を公表しました。

 

一、本定例会は、令和4年度埼玉県一般会計補正予算など20件の知事提出議案と7件の議員提出議案が可決・同意され閉会しました。党県議団はそのうち1件の知事提出議案と2件の議員提出議案に反対をしました。

一、総額1765億7200万円の補正予算は、福祉施設やトラック運送事業者、農業者など原油価格・物価高騰の影響を受ける事業者への緊急支援、生活困窮者等への支援や自殺・ひきこもり対策をはじめ、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための検査・医療機関の体制強化、自宅療養支援センターの体制強化や、福祉施設の職員の抗原検査キットのための予算が計上されています。

党県議団は、一般質問で生活困窮者への支援について、学校給食の無償化や高等学校のタブレット端末の公費負担を求めました。また、コロナ対策について検査の重要性を強調し、福祉施設の職員の月2回3ヶ月分の予算から大幅に回数、規模、学校や保育所など対象者を拡大するよう求めました。答弁は、原案通りの補正予算としたいというものでしたが、必要な予算であることから、党県議団は賛成しました。

一、建て替えの予定されている県営川口飯塚団地の住民 2名に対し明け渡しと損害賠償請求を行う議案「訴えの提起」に対して反対し、守屋ひろ子県議が討論しました。

県は、対象者が入居期限が過ぎている・契約者だった親が亡くなったなどの理由により、資格を失ったにもかかわらず退去しないことから、提訴の対象としたいとのことですが、両名は高齢者、ひきこもりの方、それぞれ極度の生活困窮状態にあり市の支援を受けています。

公営住宅法は、県営住宅の目的を「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与すること」と明記しております。この2名はまさに住宅に困窮する低所得者です。県は、建て替えに当たって、このような困窮者を裁判にかけるのではなく、市のケースワーカーと協力して、納得をもとにした移転支援を行うべきです。(党以外の賛成で可決)

一、自民党から提出された「適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入に当たっての適切な措置を求める意見書」案などに反対しました。インボイス導入に当たり、シルバー人材センターや農業者への特例措置を求めるものですが、インボイス制度は中止しかないという立場から反対し、秋山もえ県議が討論しました。 

一、本定例会では、前原かづえ県議が一般質問を行い、若年被害女性支援事業の本県での実施や、児童相談所職員の欠員補充、不登校モデル校、高等学校統廃合問題などを取り上げました。

前原県議は、知事の国葬出席・半旗掲揚について、国葬が憲法違反であると指摘し、理由を質しました。知事は「閣議決定された国の行事であり、出席要請を受けた」と答弁しました。また、警備や出席のための県民負担額の報告を求めましたが、知事も県警本部長も明らかにしませんでした。

 知事が本年度も統一協会関連団体のイベントにメッセージを送っていたことから、今後の対応方針を質しました。知事は「私の名前でメッセージがでたことで、この団体が信用にたるというような印象を受けた方がおられるとすれば、誠に申し訳ない」「今後一切関係を持つことはない」と改めて謝罪しました。

 県は国の方針通り、新型コロナの感染者全数把握方針を見直し、65歳以下など一定の条件の人を医療機関からの届け出対象外としました。県は8月の専門家会議で「発生届が出ない方には療養証明書が出なくなる」「届け出のない人の入院措置判断は難しくなる」など4点の課題を指摘していました。前原県議は「これだけ問題点を指摘していたのだから、国に撤回を求めるべきだ」と質問。知事は「全国一律の制度の改正」なので「課題の多くは解消した」と答弁しました。

また、性の多様性尊重社会づくり条例について、同性パートナーシップ制度の整備を求めましたが、知事は「同制度は法律的根拠や裏付けをもたらすものではない」と拒否しました。一方で、県の制度や手続きを改正していくことが解決方法だとして、取り組みを約束しました。

県立高等学校12校を6校に統廃合する計画について、秩父1市4町から撤回の意見書が提出されていることから、白紙に戻して地元と話し合うべきだと質問し、教育長は「地元の理解を得ながら進めていく」と答弁しました。

一、埼玉県議会議員定数・選挙区等検討協議会が開かれ、村岡正嗣県議は党県議団の案を説明しました。県議団案の主な内容は①1票の格差をすべて2未満に抑える②人口の多い選挙区の定数が人口の少ない選挙区の定数より少ない「逆転現象」解消③県民の多様な民意がより反映できるよう政令市を含め1人区をできる限り見直す④秩父地域の特例措置終了に伴い、北1区と北2区を合区し、定数2とする⑤人口増に応じて定数を105とする。というものです。県議会議員定数・選挙区割りは12月定例会で決定されます。

一、県民から提出された「原発推進方針の撤回を求める意見書の提出を求める請願」について、党県議団は採択を求めましたが、環境農林委員会では「安全性確保は前提」として自民・公明・民主フォーラムなどの反対によって不採択とされました。秋山文和県議は本会議での討論を求めましたが、議会運営委員会で「原則討論しないこととなっている」(自民党・田村琢実県議)として認められませんでした。

以上