9月30日前原かづえ県議が一般質問を行い、県性の多様性尊重条例の全面実施や児童相談所体制強化についてとりあげました。
宣誓制度は法的根拠、権利の裏付けない
先の6月議会で「性の多様性尊重条例」が可決され、メディアでも話題になりました。埼玉新聞はパートナーシップ宣誓制度を埼玉県に求めるネット署名が始まっていると報道しています。9月24日時点署名数は363人に上っているとのことです。この間、同制度について知事は「市町村で検討すべきもの」という姿勢でした。前原県議は「こうして条例ができ、署名活動もすすんでおり、いよいよ県として制度導入へ踏み出していただきたい」と求めました。
これに対し知事は「宣誓制度は婚姻とは異なり、法律上の効果は生じず、受領カード等も法的根拠や権利を裏付けるものではなく、制度をもたらすものでもない」として導入は考えていないと答えました。一方で「制度や手続きの改正こそが当事者の不安定な地位に置かれることへの解決方法として大切だと考える」と強調しました。
病院でのパートナーの手術同意や情報提供は可能
これをうけ前原県議は、県立病院がパートナーの手術同意や情報提供を認めていることを積極的にHPで知らせることや医師会にも認めるよう働きかけること、DV被害相談窓口や里親制度についてLGBTQに開かれていることをわかりやすいHPで広げることなどを求めると、知事はそれぞれ取り組むことを約束しました。
また、前原県議は条例上の基本計画策定の時期について質問し、県民生活部長は来年夏をめどに、埼玉県性の多様性に関する施策推進会議の意見を伺いながら検討を進めていくと答弁しました。前原県議は、条例を解説するパンフレットの作成と広範囲への配布も求めましたが、県民生活部長は「HPで広報する」との答弁でした。
児相の37人の欠員補充を急げ
本県の児童虐待相談件数は昨年度1万7606件と10年前から3.6倍化しています。この間児童相談所児童福祉司が6年で2倍化されたことは大変評価できますが、今年4月時点で定数に対して34人の欠員があり、9月にはさらに37人と増えています。
児相は、通報後48時間以内の児童安否確認を一部民間団体に委託しています。48時間以内に児相職員が子どもの顔をみて確認するというのは、埼玉県の児相が全国に先駆け始めた優れた実践です。この要の部分を民間にまかせるべきではありません。前原県議は「早急にこの37人の欠員を埋め児相の体制を強化すべき」と求めました。
福祉部長は「平成29年度からは新たに社会福祉士などの 有資格者を対象にした児童福祉司の採用選考を開始し、令和3年度からは 受験資格者の対象年齢を59歳に拡大した。これからも児童相談所職員の確保に全力で取り組んでいく」と答弁しました。
ジュニアアスポート拡充へ
埼玉県内では生活困窮世帯への生活・学習支援活動(アスポート)がとりくまれています。学習教室の運営は250教室、中学生は全市町村、小学生は19市16町に広がっています。彩の国子ども・若者支援ネットワークによると、事業開始以来12年間最も効果的だったのは、個別の家庭訪問だそうです。また近年子ども・若者支援ネットワークが始めている支援対象児童等見守り強化事業は小学生から未就学児にまで対象を広げて訪問を行い、虐待や自死、不登校などを未然に防いできました。前原県議は、小学生のアスポートの拡充と見守り強化事業を全県に広げるよう求めました。福祉部長は、「ジュニア・アスポート事業では、学習支援に加え、 生活支援や社会体験活動を通じて生きる力を育んでいる」とアスポートの取り組みの重要性を認め、事業拡充を図ると答弁。見守り強化事業も全県へ広げるよう積極的に取り組むと答弁しました。