東日本大震災から10年が経ちました。
未曽有の被害を出した震災以降も、地震や台風など、自然災害が各地で発生しています。
災害時に女性たちが直面する困難
災害発生時には多くの被災者が避難所で過ごすことになるわけですが、過去の大災害において、女性たちは、生理や授乳といった面における必要な物資の不足や、女性への配慮の欠けた避難所運営、性別によって役割を分担することで起きる負担の増大、性暴力被害の発生など、さまざまな深刻な問題に直面してきました。
これまで災害時の避難所では男性がリーダー役を担うことが多く、生理や授乳に関する物資が不足していても、男性相手にはなかなか声を上げづらかったり、声を上げることで避難所に居づらくなっては困るという思いから諦めてしまったりということが多くありました。
女性たちが避難所で困難な思いをすることがないようにするためには
このような過去の災害時の実態を受けて、国の災害対策にも徐々に男女共同参画の視点が重要視されるようになってきました。
第4次男女共同参画基本計画では「男女共同参画の視点に立った防災・復興体制の確立」として、防災・災害復興のあらゆる段階で男女どちらもが参画することが非常に重要であるということが確認されました。
それでは、過去の防災・災害復興の過程において、男性の視点に偏りがちだったことで起こった問題を次の災害で繰り返さないためには、どのような備えや取組が必要とされているのでしょうか。
一番に重要なことは、女性被災者が何を必要としているのか、といった要望を声に出しやすい環境を整えるために避難所のリーダー役に女性が参画することです。
実際に、東日本大震災や熊本地震では、女性リーダーがいる避難所は、女性のために専用スペースや更衣室・授乳室が設置されるなど、女性たちの生活に配慮された環境が素早く整えられました。
災害時だけではなく常日頃からの土壌づくり
しかし、災害時の混乱の中で、普段行われていないことを突然に実行することは大変難しいことです。
ですから、防災・災害復興についてはもちろんですが、日常的に地域の様々な面において、女性たちが主体的に参画し、それを受け入れる土壌がなければなりません。
上述の東日本大震災や熊本地震においては、日常から男女共同参画の取組に力を入れている地域では、避難所で女性たちのニーズが生かされやすかったという事例が報告されています。
このような男女共同参画の土壌を作り上げていくとともに、防災用品の一部として生理用品など女性のための物資をきちんと確保しておくことが求められています。