12月18日、秋山もえ県議は決算特別委員会で、平成30年度一般会計及び特別会計の決算と平静30年度埼玉県公営企業会計決算の認定に反対し討論しました。
以下、討論要旨です。
日本共産党の秋山もえです。党県議団を代表して、第91号議案「平成30年度埼玉県の一般会計及び特別会計の決算の認定について」と第92号議案「平成30年度埼玉県公営企業会計決算の認定について」反対の立場から討論を行います。
まず、第91号議案「平成30年度埼玉県の一般会計及び特別会計の決算の認定について」主な反対理由を述べます。
◆第一の理由は、不要不急の水資源開発3事業の治水部分に対し、16億8018万9000円の予算が執行されたからです。
台風第19号の際、「八ッ場ダムが利根川の決壊を防いだ」というような話がネット上に飛び交いました。しかし、実際は、堤防まで余裕高が2・6メートルあり、まだ十分な余裕がありました。八ッ場ダムの治水効果については、国交省が行った詳細な計算結果があり、それによれば、八ッ場ダムが貢献したのは水位たった17㎝を引き下げただけであり、八ッ場ダムがなくても利根川中流部が氾濫する状況ではなかったということです。
むしろ、利根川の水位が計画高水位の近くまで上昇した理由のひとつとして、適宜実施すべき河床掘削作業が十分行われでいない、という問題があります。
もしも、河川整備計画に沿った河床面が維持されていれば、今回の洪水ピーク水位は70㎝程度下がっていたと推測されます。八ッ場ダムの小さな治水効果を期待することよりも、河床掘削を適宜おこなって河床面の維持に努めることの方がはるかに重要です。
八ッ場ダムの総事業費は約6500億円にもなりますが、もし八ッ場ダムをつくらず、この費用を使って利根川本川支川の河道整備を進めていれば、利根川流域全体の治水安全度は飛躍的に高まっていたはずです。治水上、不要不急なダム計画であり反対です。
◆第二の理由は、重度心身障害者医療費助成制度に、平成30年度は所得制限を持ち込み、平成31年1月から3月までの三か月間だけ見ても所得制限となった方が85人いらっしゃいます。また、年齢制限により対象とならなかった方が6068人です。制度が継続できなくなるからとしながら所得制限を導入したわけでありますが、毎年、助成決算額が減り続けており、所得制限を導入する必要はありませんでした。
◆第三の理由は、学力の「伸び」を見るということのみに軸を置いた「世界でも類を見ないような」県の学力学習状況調査、いわゆる県独自の学力テストに2億円以上投入しているからです。こうした学力調査の対象となるのは、学力の一部であると文科省もみとめているところであります。児童生徒の学力の一部の伸びを見るためだけに、これだけの税金を費やすならば、むしろ現場の教員が望む、少人数学級への支援を進め、教師の定数を増員して、先生方が余裕をもって子どもたちに向き合えるような教育環境を整えていくことこそが、政治の責任であると考えます。
◆第四の理由は、県主導で個人県民税対策強化を行われているからです。県が行っている税対策強化は、市町村から徴収業務を引き受け、それにより、市民の生活実態や背景について丁寧さを欠くことにつながっているのではないでしょうか。税を滞納している方の背景にある生活困窮、SOSを受け止め、滞納している方の生活再建に力を入れるという考えが欠落してしまうことにつながるものと考えます。
◆第五の理由は、平成30年度から国保の広域化がスタートし、県の国保運営方針にもとづき、国保税の値上げが誘導されたからです。県が示した2方式への変更は、「均等割」増のような多子世帯の負担増にもつながりました。また、県は保険者努力支援制度で約30億円の市町村への配分を、こともあろうに国保税の収納率が高いところに傾斜配分されたとのことですが、本来ならば国保の保険事業にかかわる部分で力を入れている市町村にこそ配分されてしかるべきであります。
国からの十分な国庫投入は行われえず、市町村の中には法定外繰り入れを無くすことができるだけの財政的支援が保障されない中で、国保税を値上げした自治体が22自治体あったということですが、このままでは、制度の持続可能以前に、国保加入者の暮らしが壊されてしまいます。
続いて第92号議案「平成30年度埼玉県公営企業会計決算の認定について」です。
水道用水供給事業会計決算ですが、八ッ場ダム、霞ケ浦導水事業、思川開発の3つの水資源開発施設にかかわる利水部分へ、85億9703万1000円の予算執行が行われました。人口減少、水あまり社会を前に、利水上においても不要な水資源開発に、莫大な税金を投入すべきではないことから反対です。