記者発表
2015年7月10日
日本共産党埼玉県議会議員団 団長 柳下礼子
6月定例会をふりかえって
一、本定例会には、一般会計補正予算を含む知事提出議案14件 意見書・決議を除く議員提出議案2件が提出され、知事提出議案13件が可決、1件が継続審査、議員提出議案は1件が可決、1件が継続審査とされた。
党県議団は、知事提出議案8件に賛成し6件に反対した。議員提出議案については、2件とも採択を求めた。
安保法制=戦争法案は廃案に
一、安倍内閣が提出した安全保障法制=戦争法案が、国会を延長し審議されている中で行われた定例会であり、党県議団は、秋山文和県議の初の一般質問でも、最初に取り上げ「日本を海外で戦争できる国へと変えるこの法案は廃案にすべき」だと主張した。これに対して、上田知事は、「安全保障は国の専管事項」として答弁を避け、「幸い(国会)会期が大幅に延長され」たと評価して、今国会での慎重な審議を期待するとだけ表明した。
同時に、憲法9条の意義について質問された知事は、戦後日本の平和に対して9条が果たしてきた役割を評価しつつ、「我が国の平和は憲法9条だけで守られてきたわけではない」と自衛隊や日米安保条約などの役割を強調した。これは、自衛隊を軍隊として認め、憲法9条を改定すべきとする知事の持論に基づくものである。
国民の懸念を反映して、戦争法案の慎重審議・廃案を求める請願も4本提出された。いずれも、自民党・公明党などによって、「安全保障は国の事務である」として不採択とされた。
最終日にわが党とともに県民会議、民主党が、これらの請願採択を求める討論の希望を提出したにも関わらず、自民党は「国政にかかわる問題である」として討論機会を封殺した。県内でもさいたま市はじめ13議会で、関連の意見書が採択されている。戦争法案の慎重審議を求める声は、県民の多数派である。この声を封殺する自民党のやり方には厳しく抗議するものである。
マイナンバー制度関連議案等について
一、本定例会に提出された国のマイナンバー制度関連議案については、①国民一人ひとりに原則不変の個人番号を付番し、個人情報をこれによって容易に照合できる仕組みをつくることは、プライバシー侵害やなりすましなどの犯罪を常態化する恐れがある②共通番号システムは、初期投資3千億円ともされる巨額プロジェクトにもかかわらず、その具体的なメリットも費用対効果も示されないまま、新たな国民負担が求められ続ける③税や社会保障の分野では、徴税強化や社会保障給付の削減の手段とされかねない、との理由から反対した。
秋山県議の初の一般質問
一、党県議団が5人に躍進したことによって、6月定例会での一般質問が実現した。秋山県議が質問し、乳幼児医療費助成制度の対象年齢拡大や幼稚園の保護者の父母負担軽減補助の来年度からの復活を求めた。知事は医療費の高い乳幼児のみへ支援したいと対象年齢拡大を拒否した。幼稚園の負担軽減は今年度中に幼稚園の耐震化事業が終了できないとして、来年度からの復活を表明しなかった。
一方、この4月から実施された介護報酬削減の影響調査を求めた秋山質問にたいして、福祉部長が調査を約束するなど貴重な成果も得られた。党県議団が繰り返し求めてきた埼玉県内への夜間中学の設置問題については、検討準備会議を立ち上げたことが明らかにされた。
費用弁償見直し条例について
一、無所属県民会議提出の「埼玉県議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する」条例は、県議会の招集によって、議事堂に登庁した場合に支払われる費用弁償を定額から一般職職員の旅費支給の例によるとするものである。県議会から10キロ未満に居住する議員にも、1回につき6000円もの金額が支払われる制度は、あまりに実態とかけ離れている。自民党と公明党は、付託委員会の議案審議の場で、1問も質疑もせず問題なしとしながら、採決の場で突如、「議員の処遇にかんすることは、各会派代表者会議を経て、自主的な協議機関で一定時間をかける慣例」として継続としてしまった。
わが党は、費用弁償については、委員会視察等に支払われる日当も、歳費の2重払いであると考え、廃止すべきと考えている。しかし、各会派の一致点を大切にするという観点から、可決を求め、よって継続に反対した。
請願の意見陳述と本会議での討論について
一、本定例会において、初めて委員会での請願提出者による意見陳述の機会が認められた。企画財政委員会では、陳述人が待機していたにもかかわらず、請願審査が午後にされたことによって、本人の都合により陳述が不可能となった。事前に意見陳述の時間を明確にし、陳述人の意見陳述を保証すべきである。
また、2011年以来認められてこなかった本会議における請願についての討論が、「基地対策行政の拡充を求める請願」についてのみ認められ、党県議団の金子正江県議が請願採択を求める討論を行った。
わが党は引き続き、請願に対する本会議討論を例外なく認めるよう強く求めるものである。
以上