シンポジウムで埼玉県政のこれからを語り合う

9月8日、民主県政の会は県政シンポジウムを開催し、約80人が参加しました。

コーディネーターは柴田泰彦特別代表が努め、3人のシンポジストが貧困家庭の問題、子どもの医療や教育、貧困対策、行政の役割などについて発言しました。

日本共産党埼玉県議団からは前原、金子、秋山各県議が参加しました。

 

子どもが成長していくための財源保障が無い日本

最初に、埼玉県保育問題協議会の金子貴美子事務局長は今、県の保育が抱えてる問題点を報告しました。金子氏は、まず国が2018年骨太方針として保育無償化を打ち出しているが、保育料が高い0~2歳児保育料の大半はそのまま有料、給食の食材費は無償対象外等の問題点があると述べました。

「ドイツは保育の無償化を法的に保障している。日本は子どもが1人の国民として大切にされ、育つための財政的保障が無い。そもそも保育園に入れない子がいる事がおかしい」と指摘しました。

保育士の問題では「多くの保育師が夢や希望を抱いていたのに過重労働や安い給料のために2~3年で辞めていく」「東京都は年間217億円、千葉県は12億円、予算に上乗せし、処遇改善をしている」と指摘しました。その上で「保育士のやりがいと生活を行政が支えて、楽しく働きやすい職場を後押ししていくことが、子どもたちの成長にもつながっていく」と述べました。

 

子どもの貧困と学力の密接なつながり

次に「彩の国 子ども・若者支援ネットワーク」の白鳥勲氏が子どもの貧困の実態と学習支援活動の様子を発言しました。

県が貧困家庭への教育対策として進めているのがアスポートセンター事業で白鳥氏の同ネットワークもその一つです。

白鳥氏は貧困問題の現状にふれ「貧困線以下・平均所得40パーセント以下の世帯で暮らす子どもは7人に1人、13・9%に上っている。統計では世帯所得が低いと子どもの学力テストの成績も低いし、不登校になったり、いじめを受ける割合も高い」と述べ、「さらにこの貧困は連鎖していく」と強調しました。

そして、多くの貧困世帯の置かれている状況、経済、精神、時間の余裕の無さが、子どもの成長(他人と応答する能力など)に大きな負の影響をもたらす実例を紹介し、すべての子どもたちに対して貧困世帯の所得を上げる、健康で文化的な生活習慣を身につけられるようにするなどの支援が急務だと述べました。

こうした子どもたちに寄り添い、学習意欲やコミュニケーション力を高めていくのがアスポート事業で、白鳥氏の同ネットワークが行なっている教室では、子どもが集まる夕方から退職教員や学生の力も借りて宿題や授業の復習を支援し、その後で食事タイムをとって楽しく交流しているといいます。

学習教室に参加していた子どもたちからは「安心できる場所になった」「人と目を合わせて話せるようになった」などの声が寄せられています。

白鳥氏は「どうやって貧困世帯に接して、呼びかけていくのが必要なのか」として、「子どもたちが何よりも 暖かさや支え合い、公平さに接することが重要」「子どもたちは公平さ等に接することによって世の中捨てたもんじゃ無いと思うことに直結する」「学校は遅れていて子どもたちを受け止められていない」と述べました。

「貧困問題を解決していくためには税を誰から取って何に使うか、そこに公平性が担保されなくてはいけない」と結びました。

 

“コンクリートから人へ”の行政の取り組み

次に十文字女子大学客員教授の須田健治氏が市政運営の経験について語りました。須田氏は6期24年、2016年に退任するまで新座市長をつとめていました。須田氏は「当時、バブル崩壊後に市長に就任した。イデオロギー対立では無く、いかに市民に寄り添って命と暮らしを守っていくか、市政運営を考えてきた」と述べました。

その中で、「コンクリートから人」を念頭に、「少子化対策、子どもの貧困対策として、子ども医療費や保育士への補助を進めてきた」「貧困世帯への支援として民生委員にも協力してもらい細かいサポートを心がけた」と述べました。

さらに「国の助成も活用しながら、高校生までの子ども医療費無料化、校舎の耐震工事、学校トイレの様式化、エアコンの設置を進めてきた」と苦労話も交えながら語りました。

シンポジウムの最後に荻原初男共同代表が「憲法13条では国民が幸福を追求する権利が保障されている。その権利を保障する自治体が求められている。より良い県政を目指していきましょう」と閉会の挨拶をしました。

会場からの意見や要望も交えながら、会の政策を豊かにするシンポジウムとなりました。