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6日、埼玉県教育委員会が県立伊奈学園中学校の歴史・公民教科書を育鵬社版とする採択案に決定した問題で、日本共産党埼玉県議団は21日、県教育委員会に対して採択案を撤回するよう申し入れました。申し入れは以下の通りです。
埼玉県教育委員会
委員長 高木康夫 様
教育長 関根郁夫 様
県立伊奈学園中学校の歴史・公民教科書を育鵬社とする採択案の撤回を求める申し入れ
埼玉県教育委員会は6日の定例会で、2016年度から県立伊奈学園中学校で使用される歴史・公民教科書について、各委員の無記名投票で育鵬社版とする採択案を決定しました。
育鵬社版の歴史・公民教科書の採択については、県内の教育団体や法曹団体から県教育委員会に対し採決に否定的な請願・要請など6件が提出されました。教育と自治・埼玉ネットワークは、「日本国憲法を軽視し、歴史の真実を歪め、過去の戦争を美化・肯定するような教科書(育鵬社、自由社)を生徒に押し付けないでください」と採択しないよう要請しています。また、自由法曹団は法律家の立場から「育鵬社版の公民教科書では、憲法の三原則である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を正しく学習できない」と指摘しています。県民、各界から強い批判のあるこのような育鵬社版教科書を採択案として決定すべきでありません。
また、わが党の秋山県議が6月定例会の一般質問で指摘したとおり、ユネスコの「教員の地位に関する勧告」では「教員は生徒に最も適した教具及び教授法を判断する資格を、特に有しているので、教科書の選択にあたって・・・・主要な役割が与えられるものとする」とあります。県教育長も「我が国ではこの勧告が尊重され、50年にわたり教科書採択が行われているものと受け止めている」と答弁しています。今回、教育委員会に提出された日本弁護士連合会の意見書も「教科書採択においては、子どもの学習権の保障のために、教師および学校の意思を十分に尊重すること」を求めています。教科書採択は、なによりも現場教員の意見を尊重して行われるべきです。
しかしながら、県教育委員会は2011年と同様に、伊奈学園中学校の教員が使用したい教科書を提案するというやり方は採用せず、教育委員が採択案を投票で決める方法をとりました。これは現場の声を無視する採択手法です。一方で特別支援学校は、学校ごとに生徒の実情に応じて教員から案が提示され、それが教育委員によって検討の上採択されました。障害児の学校にとどまらず伊奈学園中学校においても、同様の手法がとられるべきです。
よって、県教育委員会においては、現場教員の声を無視し、県民の願いに背く今回の採択案を撤回するよう強く求めます。