「荒川調節池工事事務所は9月30日、2030年度の完成を目指す荒川第2・第3調節池の整備計画をまとめた」(埼玉建設新聞)
この報道も受け、11月5日国会内で同計画のヒアリングと、党関係議員の意見交換を行いました。
荒川調節池は河川敷内に作られる構造物
戸田市、さいたま市の荒川河川敷にはすでに第1調節池が2003年に完成しています。
河川敷を掘りさげ、常に飲み水をためている箇所は「彩湖」と呼ばれています。
その周辺に囲ギョウ堤という堤を建設し、増水時には水を引き込み一時的に貯水を行う治水機能を持たせています。
ヒアリングでは、この囲ギョウ堤は荒川堤防内の河川敷に作られる構造物であることが確認されました。
事業費は1670億円 直轄事業負担金、埼玉県分は31%
第2、第3調節池の全体事業費は約1670億円。うち埼玉県にかかる直轄事業負担金割合は約31%です。すでに負担金は平成30年度から発生しています。
確認されたことは、こうした事業費が、昭和45年の単価で決まっていることです。
調節池が、堤防内の構造物である以上、流量ピーク時間をずらす機能しかないためその効果は、調節池下流域に限られます。荒川調節池については、効果のほとんどは東京都のみで埼玉県には及びません。
村岡県議は、昭和45年から単価は大きく変化しているし、埼玉県の3分の1という負担割合には疑問もある。一切見直しがないというのはおかしいと指摘しました。
第2、第3調節池は、囲ギョウ堤を建設するだけ
また、第2・第3は第1調節池と違い、河川敷にある囲ギョウ提の内側を掘削はしません。完全に河川敷の中に堤を建てるだけです。この囲ギョウ提の土はどこから持ってくるのか?確認されたことは、荒川の掘削で出た土のほかに、「外の事業で出た土を持ってくる」ということです。荒川の外から土を持ってきて盛り上げるのでは、河道面積が狭まるではないか!という声が続出しました。
囲ギョウ堤より、JR鉄橋部分の堤防のかさ上げを優先して
荒川調節池に対する市町村首長の意見は、ほぼ促進です。しかし、上流部からの意見は特に出されてはいません。ただし、川越市長は、荒川の河川敷に囲ギョウ提という構造物を作ることに懸念をもっているということを、党川越市議団はあきらかにしました。
特に、荒川の川越市部分には、JR川越線鉄橋という堤防が低くなっている部分があります。調節池計画には、調節池建設と同時に川越線部分の堤防かさ上げを行うとあります。川越市議団からは「囲ギョウ提とJR鉄橋のかさ上げとどちらを先に完成させるのか」と詰め寄る場面もありましたが、担当者は「どちらもできるかぎり早期に行う」と、明らかにしませんでした。これに対し、川越市議団からは「囲ギョウ提が先完成し、JR鉄橋の低い部分が残された状態で豪雨がきたら、埼玉県に甚大な被害をもたらす。まず、JRの部分のかさ上げをすべきだ」と指摘がありました。
堤防内の構造物だとは知らなかった
党さいたま市議団は「これまで、促進という態度で来たが、堤防内の構造物だということは知らなかった。もう一度検討する」と発言しました。
河川敷に囲ギョウ提が設置されることによって、豪雨時には荒川事態の流れは加速することも確認されました。
党県議団としても、中流域の河川敷に大きな構造物が作られることが、上流や中流域にどのような影響を及ぼすのか、十分な研究が必要だと感じています。
第1、第2、第3、 調節池のどこから貯留は始まるのかという質問に対し、「地権者との関係で公平性が必要。すべての調節池に平等に流していく」という答えでした。
第1調節池周辺の内水被害は効果ない
荒川第1調節池が、昨年の台風19号の際にどのような効果を発揮したのかという説明も受けました。調節容量3900万立法メートルに対して、昨年は3600万立法メートルの貯留を行ったと説明しました。
第1調節池には、鴨川が流れ込み、豪雨時に第1調節池への貯留が始まると鴨川の水は受け入れがストップします。昨年は上流であふれ、そのことによる鴨川の氾濫は発生しませんでした。昨年発生した戸田市の浸水被害については「第1調節池の役割とと内水被害軽減は別。内水対策は独自に講じてほしい」とのことでした。
第1調節池は、利水と治水の併用調節池です。述べてように、平常はおおむね1060万立法メートルの水が彩湖と呼ばれる部分にためられています。大変な豪雨が近づいてくる場合、早急にこの利水部分の水を放流すればより治水効果が高まります。この点について質問がありました。国土交通省としては事前放流できるよう、これから検討していくとのことでした。
埼玉県への調節池の効果わかる資料つくる
国土交通省の担当者は、「埼玉県のみなさんに、調節池の効果があまり実感されていないようだ」として、「埼玉県への効果がわかる資料を検討している」と発言。早急に資料作成をしてほしいと感じました。