(2010年3月26日)
日本共産党の柳下礼子です。日本共産党議員団を代表して、討論を行います。
最初に、第20号議案は、手数料条例及び証紙条例の一部を改正する条例ですが、今回の手数料改定には、建築確認申請手数料の引上げが含まれています。建築基準法の改正に伴う確認審査の項目が大幅に増え、審査時間が伸びていることなどが引上げの理由でありますが、書類上の整合性のみを優先する審査の在り方に対しては、設計者からの批判の声が多く、事務量の増大は設計者にも審査する側にも多大な負担を強いるものです。今日の建設不況の中で、事務量の増大を理由に申請手数料を引き上げ、建築主に負担増を強いる今回の条例改正には賛成できません。
次に、第21号議案の職員定数条例の一部を改正する条例と第38号議案の教育委員会事務局職員の定数条例の一部を改正する条例は、関連しておりますので一括して討論いたします。
いずれの議案も定数の改定を内容としたものですが、知事部局の一般職員では実質170人の削減、教育委員会事務局職員では11名を削減するものとなっています。それぞれの職場では、職員のたび重なる削減で多忙を極め、疲弊しており、新行財政改革プログラムの目標達成のみを優先する職員削減には賛成できません。
次に、第23号議案の本人確認情報の利用及び提供に関する条例は、住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報の利用及び提供に関し必要な事項を定めるものですが、住民基本台帳ネットワークシステムについては、個人情報の漏えいの懸念が消えておらず、本人確認情報の利用及び提供に関する事務をこれ以上増やすことには反対です。
次に、第31号議案の看護師等育英奨学金貸与条例の一部を改正する条例は、看護師等に対する修学資金貸与制度を育英奨学金貸与制度に統合するとともに、奨学金の貸与の額を改定するものです。しかし、今回の改定によって、貸与対象人数も予算も削減される上、200床未満の県内中小病院に5年間勤務した場合、返還が免除される制度が廃止されることになり、看護師の確保や経済的負担の軽減に逆行する内容と言わなければなりません。よって、第31号議案に反対です。
次に、第50号議案は、県立大学の中期目標を定めるものですが、県立大学については、医師確保対策の一環として医学部の設置も検討項目に挙がっているように、今後の県の医療政策上、重要な位置付けを担っています。我が党は、大学の法人化には反対しましたが、大学の自主性、学問の自由の追求、政策上の位置付けから考えても、大学の経営分野に数値目標を設けることはなじまないと考えます。
次に、第51号議案、第52号議案及び第55号議案は、関連しておりますので一括して討論します。
第51号議案は県営土地改良事業、第五十二号議案は水辺再生事業、第55号議案は急傾斜地崩壊対策事業について、それぞれ市町が負担すべき金額について議決を求めるものでありますが、新年度当初予算案に対する反対討論でも指摘したとおり、県が実施する事業については、市町村の負担を廃止すべきであります。よって、いずれの議案にも反対です。
次に、第65号議案は、地域保健医療計画の変更に関する議案ですが、福祉保健総合センターの廃止や保健所の統廃合により、所沢と越谷の保健所を廃止・移転し、分室もすべて廃止するという内容を含んでいることから、反対するものです。
続いて、請願についての討論に移ります。
最初に、議請第3号「八ッ場ダム建設予定地上流のヒ素について国の保有しているすべての情報を関係自治体に公開するよう求める請願」について、委員長報告では、国は既にホームページで公開しているなどとして不採択にしていますが、我が党は採択を求めるものです。
「週刊朝日」の記事が明らかにしていますが、このヒ素問題公表のきっかけは内部通報であり、国土交通省は公表に抵抗した末、嫌々資料を国会議員の求めに応じて提出したのです。こうした経過からも、ヒ素に関するすべての情報が明らかにされたと考えるのは早計であります。請願者の不安は当然であり、本請願を採択の上、政府に対し徹底した調査と結果の公表を求める意見書を提出すべきであります。
次に、議請第4号「八ッ場ダム建設を中止し、地元住民のための生活再建、地域再生を求める請願」について、委員長報告では、水道水の安定供給に必要な水源を確保するため、また、利根川の洪水から県民の生命、財産を守るために、八ッ場ダム建設事業は早期に完成すべきであるとして不採択としていますが、我が党は採択を主張いたします。
3月16日の衆議院国土交通委員会において、八ッ場ダム建設問題に関する参考人質疑が行われました。地元出身者や有識者が意見を述べておられますが、治水に関する有識者の見解は、八ッ場ダム建設の根拠である国土交通省の整備基本方針の高水流量が過大過ぎる点で、自民党推薦者を含め一致しておりました。また、利水について、公明党推薦の参考人として意見陳述した有識者は、利水と治水併用の八ッ場ダムは、洪水期である夏場の利水効果が低いことを指摘して、計画の見直しを提言しております。このダム建設の根拠となっている整備基本方針が説得力を失っていることは、参考人である有識者の共通認識と言えます。
したがいまして、政府においては、破たんした整備基本方針を撤回し、ダム建設中止の方針をより明確にした上で、速やかに地元住民の生活再建事業の推進に取り組むべきであります。
次に、議請第5号「県政調査費の領収書全面添付を求める請願」について、委員長報告は、領収書等証拠書類の提出を要しないとする平成17年11月10日の最高裁判所の決定を根拠にして不採択としていますが、我が党は採択を求めるものです。
平成17年の最高裁判決は、調査研究報告書とその添付書類については、専ら内部の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書を前提としているものです。しかし、本請願が添付を求めている領収書は、あらかじめ提出が義務付けられているという点で、全く判決内容とは条件を異にするのです。
また、判決は、調査研究報告書に添付された各文書には、調査研究に協力した第三者の氏名、意見が記載されている蓋然性があるとしています。しかし、本請願が求めている領収書には、第三者の氏名や意見が記載されるケースは非常にまれです。我が党は、6年前から領収書等の公開に踏み切っていますが、明らかにされてはならない個人名が領収書に記載されたケースは1件もありませんでした。既に領収書の全面添付に踏み切っている他県でも、特段の問題が生じているというニュースはどこからも聞こえてきません。よって、本請願で求めている領収書の添付によって、看過しがたい不利益を生ずるおそれは想定されず、本請願については採択すべきであります。
次に、議請第6号「消費税の増税は完全に中止し、くらしにかかる消費税の緊急減税を行うよう、政府に意見書提出を求める請願」について、委員長報告では、税率引上げは行わないという三党連立合意がなされている、また本請願が時宜を逸しているとして不採択とされていますが、我が党は採択を求めるものです。
三党連立合意があるというのが不採択の理由ですが、消費税増税論が連立政権の中から次々と飛び出している現在、請願者の憂慮は当然のことです。また、本請願は、県民の厳しい暮らしや営業の実態を踏まえ、緊急に食料品にかかる消費税の減税を求めていますが、これこそ、正に時宜にかなったものではないでしょうか。よって、本請願については採択するよう強く主張するものです。
また、議請第1号及び議請第2号は、いずれも委員長報告では採択ですが、我が党は不採択を主張いたします。
以上で私の討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)