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福祉保健医療委員会における柳下礼子議員の質疑(要旨)

(2010年3月)

 

◆保健医療部関係

 

Q柳下委員

1 第31号議案について、今回、看護の2つの貸与制度を統合するということだが、それぞれの貸与制度の趣旨について伺いたい。

2 平成21年度の貸与枠については、看護の2つの貸与制度を合わせて150名、統合後の平成22年度が130名となっている。貸与見込みについて、どのように考えているのか。

3 平成21年度予算では、看護の2つの貸与制度を合わせて1億2,995万6千円であったが、平成22年度予算では9,601万2千円と、3千万円以上の予算削減になっている。今回の条例改正により、どう予算に影響しているのか。

4 従前の看護師等修学資金貸与制度では200床未満の病院に5年勤務した場合に免除されたが、統合により修学資金貸与制度がなくなると、大病院志向が強くなっている中で、200床未満の病院では、看護師確保が難しくなるのではないか。新しい貸与制度では県内で確実に就業することを貸与条件としているが、200床未満の病院への誘導はどのように考えているのか。

 

A医療整備課長

1 看護師等修学資金貸与制度は県内への誘導・定着を目的としている。育英奨学資金貸与制度は経済的に修学が困難な者への支援である。

2 平成21年度予算では、新規分の貸与枠は150名であったが、実際には修学資金を55名、育英奨学資金を40名の計95名に貸与した。また、継続分として135名に貸与したので計230名に貸与した。平成19年度は230名、平成20年度は246名に貸与したので、ここ数年概ね200名強に貸与している。平成22年度予算の130名は新規の貸与者数である。

3 平成22年度予算では前年度比約3千万円の減額となっているが、この貸与制度の財源は、返還金と一般財源で賄っており、平成22年度は返還金の減少が見込まれているため、減額となったものである。

4 中小病院の看護師の誘導・定着には、従来から実施している離職防止、復職支援の充実に加え、選ばれる病院づくりを支援していくことが重要であり、そのために新人看護師研修や指導者の育成などに努めていく。

 

Q柳下委員

 200床未満の病院に勤めることを貸与条件としていたのは、中小病院で看護師が集まらない状況があったからだと考える。また、経済的に大変だからという理由で貸与を希望する者もいるはずで、仕事に就けば返せるとは言っても、定着すれば免除する制度は残す必要があるのではないか。

 

A医療整備課長

 200床未満の病院に限らず、大病院の特定分野でも看護師確保は厳しいと考えている。このため、看護師確保の全体を見据えた総合的な対策が必要である。中小病院の支援は、院内保育所の充実などの就労環境の改善、就労意欲を喚起するような研修体系の整備、ワークライフバランスの配慮など、個々の病院の実情に応じた魅力ある職場環境の創出により中小病院の看護師確保を積極的に応援していきたい。

 免除制度については、一定の効果はあると感じているが、修学資金については、来年度100名程度しか貸すことができない状況にある。借りられる者、借りられない者の不公平感が一部に指摘されていることもあり、限られた財源を有効に活用させていただくという見地から制度を見直したものである。

 

Q柳下委員

 借りられる者、借りられない者の不公平感があるという理由は、免除要件をなくした理由にはならないと考える。

 そもそも返還金を貸与原資とする制度で、免除により原資が不足し、貸せない状態になっていくというのは,支援制度として不十分である。県として財源的な手当をして増やしていく必要があると思うがどうか。

 

A医療整備課長

 不公平感の話については、一部の学校関係者から指摘をもらっているものであり、この点については、県としてしっかり受け止め、見直す必要があると考えたものである。

 また、貸与の財源については、現在、貸与者の4割程度が200床未満の病院に就業しない等で返還となっており、時代の変化とともに、金銭給付による誘導の効果については大きく変化してきていると考えている。

 

Q柳下委員

 時代の変化と言うが、今までやってきたことは意味がなかったということか。自ら、制度の行政効果を否定するのか。

 

A医療整備課長

 修学資金貸与制度については、昭和38年から実施している。かつては看護師施策も今ほど十分ではなく、人の動きも限定的であった時代には県内定着に大きな役割を果たしてきたと考えている。しかし、現在では、人の動きも活発になり、県外に勤める人も多く、価値観も多様化してきており、実質的な金銭給付による県内誘導には一定の限界があると考えている。

 

Q柳下委員

1 第37号議案について、精神医療センターの回復期病棟はどのような目的で整備されたのか。また、どのような成果と実績があったのか。

2 医療観察病棟33床が整備されると、具体的にどのような影響が出てくるのか。

3 これからの精神医療センターの役割について、どのように認識しているのか。

4 回復期病棟は診療報酬上、点数が高いと聞くがどうか。

5 第65号議案について、二次保健医療圏の変更により、保健所の担当区域が変わり、市民サービス低下が心配されるが、これまで、どのような検討をしてきたのか。

 第66号議案について

6 給与費の減額内容は何か。

7 保健所等再編整備推進費の減額内容は何か。

8 後期高齢者の医療費が減ったとのことであるが、医療費の支払いが大変なので、高齢者が医療機関に行くことを我慢してるということはないか。

9 後期高齢者医療について、県は法定の範囲の支援しかしていないのか。

10 医師確保対策費及び救急医療対策費の減額内容は何か。

11 国からの予算も471億円から370億円と減額されている。診療報酬で考慮しているとのことであるが、医療体制の維持について、これで大丈夫だと考えているのか。

 

A経営管理課長

1 回復期病棟は急性期の状態が落ち着いた患者に対して社会復帰を促進していくための病棟である。ここ数年の利用状況を見ると、急性期患者も入院していた平成16年度は病床利用率が9割程度であったが、急性期病棟が独立した平成18年度以降は減少傾向となり、平成20年度の実績は38%となっている。

2 国では全体で720床を整備する予定であり、そのうち320床については、地方自治体で整備を担うこととされている。本県では、対象となる医療機関は精神医療センターのみであり、厚生労働省からの強い依頼もあり、整備することとした。平成17年7月の医療観察法施行後、平成21年8月までにさいたま地方裁判所が入院決定した人数は、累計で67名である。医療観察病棟の整備後は、さいたま地方裁判所の入院決定に基づき、33床が埋まるまで患者の入院を受け入れることとなる。病棟の規模は、厚生労働省の基準により、人口500万人以上の県では33床となっている。

3 利用状況の推移を見ると、急性期や依存症の患者は年々増加傾向にあり、これらの患者に対応していく必要がある。また、児童・思春期や合併症の患者への対応についても、県立病院として役割があると考えている。

4 平成20年度の患者1人当たりの入院単価は、病棟別の実績で見ると、5つある病棟のうち、回復期の患者に対応する第3病棟が一番低くなっている。

 

A保健医療政策課長

5 ゆとりとチャンスの埼玉プランで地域区分が見直され、二次保健医療圏との整合を図る必要があったことから、見直しを始めた。また、保健所については、二次保健医療圏を斟酌して設置することから、昨年1月に、県医療審議会で見直しを承認された。保健所の再編については、県民への十分な周知を図るため、昨年2月定例会で保健所条例の改正を行った。その後、医療計画の変更案について、県民コメントの実施、市町村等への意見照会、県医療審議会での審議など、必要な手続きを進めてきた。

6 給与の改定があり、期末勤勉手当が年4.5月から4.15月となり、0.35月分引き下げられたこと、定年退職に伴う退職者について、再任用職員として雇用することにより、給与費の総額が下がったためである。

7 保健所再編に伴う改修工事について競争入札で執行し、その入札差金が発生したためである。

 

A国保医療課長

8 後期高齢者医療広域連合への助成金は、最終的には高齢者が支払う保険料の減額が目的である。平成20年度の保険料は74,230円に対して平成22年度からの保険料は71,609円に減額となった。

9 平成20年度の決算で保険料について約89億円の剰余金が生じていることから、新たに助成制度をつくることについては、必要ないと判断した。しかし、平成24年度の保険料算出に当たって、新たに負担の必要が生じた場合は、後期高齢者医療の財政安定化基金の取り崩しも含めて、保険料引き下げのために新たな助成制度をつくることは、検討課題として認識している。

 

A医療整備課長

10 産科医に支給する分娩手当及び県内の救急救命センター、一定規模以上の二次救急医療機関の救急医に支給する救急医手当について、当初の見込みを下回ったためである。これは、医療機関の負担など経営上の問題や産科や救急以外の医師との不均衡が生じるなどの病院内の労務管理上の問題によるものと分析している。

11 医療政策の基本は診療報酬にあると考えている。診療報酬で賄えない部分については補助金などによる誘導が必要であり、今回、国の予算は総額として減額されているが、周産期や小児救急などの分野は増額されるなどメリハリのついたものでもある。県としては平成22年度予算において、国の補助制度を上手く取り入れて、周産期や小児救急医療の支援を重点・強化したところである。

 

Q柳下委員

1 精神医療センターの回復期病棟がなくなっても、回復期の治療を必要とする患者がいなくなるわけではない。回復期病棟の廃止後、地域の医療機関との連携をどのように図っていくのか。

2 県では来年度、県立大学への医学部の設置について検討していくこととしているが、中期目標に医学部設置に関する記述がない点について、どのように考えているのか。

3 医師不足、看護師不足の解消に大きく貢献していくことが県立大学の役割であると考える。短期的な目標だけで評価することは問題があると考えるがどうか。

4 平成22年度からの後期高齢者医療の保険料については、マイナス2,621円と全国トップの減額となったが、実際、これまで保険料が高すぎると何回も請願をしてきた。納められた保険料から89億円もの剰余金が発生しており、保険料を引き下げるのは当然である。県としても広域連合に対する更なるバックアップを検討してもらいたい。

5 二次保健医療圏の変更により、保健所の担当区域が広くなるところがある。例えば、所沢市は日高市と一緒の圏域となり、非常に広い地域となる。また、保健所の管内人口がかなり多くなるところもある。特に、救急医療については30分以内に救急搬送を行うとが求められており、距離が遠くなることで対応ができなくなるのではないか。

 

A経営管理課長

1 回復期病棟の利用率は38%である。新薬の開発などがあり、急性期病棟から直接在宅などへ移行するケースが6割に達し、回復期病棟に移る患者は1割以下となっている。民間の精神科病院の病床数は増えており、平成14年には12,704床だったのが、平成21年には14,420床となっており、病状が安定した患者は、民間の精神科病院で対応可能と考えている。精神医療センターでの治療が必要な患者については、引き続き、治療を行っていく。地域医療機関との連携については、県内にある40の精神科病院が加盟する精神科病院協会で情報交換をしているので、引き続き連携を図っていく。

 

A保健医療政策課長

2 医学部の新設は、約30年に渡り認可されていない状況にあり、国の方針も明確ではない。また、附属病院の設置や100名を超える病院スタッフが必要であることなど、設置に係る調整に多くの時間やコストを要することから、中期目標の中では医学部設置について記述をしていない。しかしながら、独自に医師を養成・確保することは大変重要であると考えている。平成22年度は、医師の養成や確保の責務がある県が主体となり、医学部設置の可能性を含めた幅広い研究に着手し、必要性や実現可能性が高まれば、中期目標を変更することなども検討していきたい。

3 法人化後も大学本来の目的は変わらない。必要な経費については、引き続き県が財政措置しながら、研究開発など大学の自助努力を求めていくということで、ゆるやかに6年間で1%程度の削減を求めていく。大学が自主性、自律性を発揮して魅力ある大学を作っていくことが法人化の目的であり、県の財政支出削減だけが目的ではない。

5 所沢保健所の担当区域の管内人口は約88万7千人で県型保健所では全国2位、越谷保健所は約85万3千人で全国3位の人口を担当している。再編により、所沢保健所については、狭山保健所に業務が移管された後、約78万人となり、越谷保健所も、春日部保健所と草加保健所に分割されることから、春日部保健所では約58万6千人と対象人口が大幅に減少し、よりきめ細かなサービスが提供できるものと考えている。

 救急医療圏と保健医療圏は別に設定されている。二次保健医療圏は医療体制や地域保健サービスを行う地域単位として日常生活圏を基本に設定している。二次救急医療圏は、入院治療を必要とする救急患者の搬送受入れを行う地域単位で、救急病院の輪番体制を維持する地域医師会の区分を勘案して設定している。救急については二次救急医療圏で対応することとしている。

 

A国保医療課長

4 今後、医療費が大幅に上がり、保険料も上昇するような状況であれば、基金の活用も含め、県からの助成について検討したい。

 

Q柳下委員

1 子どもの医療費に対する助成について、市町村では中学卒業まで拡大しているところが多い。県の市長会は、国に対し、国の責任で無料化にすべきと要望し、また、県に対しても、小学校卒業まで無料化するよう要望している。しかし、県は、平成20年度に福祉医療の助成制度を改悪し、財政力指数が1を超える自治体への補助率を2分の1から段階的に引き下げるなど、市町村の足を引っ張っているのではないか。各市町村の状況について伺いたい。また、子どもの医療費に対する助成については、本来は国の制度として取り組むべきと考えるがどうか。

2 市町村の国保税の滞納状況について、世帯数と割合はどれくらいか。

3 国民健康保険について、資格証明書の交付状況、短期被保険者証の交付状況、一部負担金の減免の状況はどうか。

 

A国保医療課長

1 乳幼児医療については、平成20年度から財政力指数が高い自治体の負担が大きくなった。県では、就学前までの子どもの医療費の助成を行っている。市町村では、小学校卒業まで入院、通院とも助成している市町村は3市3町1村、入院のみが3市3町である。中学校卒業まで入院、通院とも助成している市町村は7市12町、入院のみが21市7町である。乳幼児医療の助成については、様々な機会を通じ、国に要望しているが、国は個々の難病医療の中で助成していくとの考えに立っており、前向きではない。

2 国民健康保険については、滞納者が増えている。全体の約118万世帯のうち滞納世帯は約26万8千世帯であり、その割合は22.7%である。

3 資格証明書が交付されている世帯は、全体の約118万世帯のうち2,864世帯であり、その割合は約0.2%である。ピーク時は8,000世帯近かったので、大分減少している。また、短期被保険者証の交付状況は約3万2千世帯である。一部負担金の減免については、実施している市町村は少なく、12市町村のみである。この12市町村において減免を受けた方は63人、減免した額は約1,100万円である。この63人のうち、43人が所沢市であった。他の市町村では、減免制度があまり積極的に活用されていない状況にある。

 後期高齢者医療の対象である75歳以上については、資格証明書の交付は0件で、短期被保険者証を当初15件ほど発行していたが、現在は8件に減少している。平成21年4月からは、資格証明書交付世帯であっても、中学生以下の子どもには、有効期間6か月間の短期被保険者証を交付することとなっている。現在、国会で審議中の法案が成立すれば、平成22年7月からは高校生世代まで短期被保険者証を交付することとなる。これにより、短期被保険者証を交付されることになる者は、県内に96人いる。

 

Q柳下委員

 市町村が一部負担金の減免制度を使わないのはなぜか。県としても活用するように指導すべきではないか。また、国の補助金が減らされてきており、県は国保の運営について、国に対し、十分負担するよう働き掛けるべきではないか。

 

A国保医療課長

 市町村が一部負担金を減免した場合、県も特別調整交付金で、その一部を負担している。資格証明書、短期被保険者証、一部負担金の減免等については、明日、市町村の課長を対象とした会議を開催するので、減免制度の活用について、再度徹底したい。

 また、国保の運営については、毎年、国が負担を減らしてきており、国に対し、国の責任において行うべきことを要望している。要望の機会は年数回あるので、今後も引き続き要望していく。

 

Q柳下委員

1 所沢市民医療センターに小児救急医が県から派遣されるが、センターの医師と派遣される医師との給与に差が生じることから、その差を埋めることはできないか。

2 二次救急は輪番制の空白日が目立っているが、今後の見通しはどうか。

 

A医療整備課長

1 医師派遣については、給与費は全額県が負担するが、1日当たりの当直手当は、市も応分の負担をしてもらいたいと考え、関係各市と話し合いをしている。各市、各病院の事情は様々であり、県として手当額の統一を図ることは難しいが、基本的には当直手 当7万円を折半で負担してもらえるよう各市、各病院と調整している。

2 二次救急の今後の見通しについては、一次救急をしっかりすることにより、二次救急の体制を整備していくという基本的な考え方は変わらない。いくつかの病院では4月から輪番に復帰する話もある。引き続き、二次小児救急の空白解消に向け努力していく。

 

Q柳下委員

 4月から輪番に復帰する病院はどこの地域か。

 

A医療整備課長

 輪番を1日増やすのが1病院、復帰しそうな病院が1病院ある。医療圏は東部である。まだ最終的な調整中なので、病院名は御容赦いただきたい。

 

◆福祉部関係

 

Q柳下委員

 まず、第64号議案の埼玉県子育て応援行動計画について伺う。

1 本計画には、夫婦が理想とする子ども数に比べ、実際持つつもりの子どもの数が下回る理由として、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が第1位と記述されている。まさに経済的負担は子育て世帯に大きな負担としてのし掛かっている。この点で、国会で議論されている子ども手当は子育て世代の要望に応えるものとなっている。しかし、本計画に、子育て世代の経済的負担軽減策があまり書かれていないように思われるが、県として経済的支援をどのように考えているのか。

2 経済的支援の一環として実施されている乳幼児医療の助成制度は、県の助成により全市町村で実施されているが、来年度、助成対象が入院、通院とも中学生まで引き上げる自治体が増えている。一方で、いまだに入院は就学前までという自治体もある。自治体によって格差が生まれており、県として助成制度の充実とともに、自治体格差の解消を計画に盛り込むべきと考えるがどうか。また、国に対しては助成制度の創設を働き掛けるべきであると考えるがどうか。

3 経済不況の中で、保護者にとって幼稚園の保育料負担が重くなっている。現在、県と市町村の折半で1人当たり年間4,000円を負担軽減のため助成しているが、焼け石に水である。平成13年度までは6,000円を助成していた。段階的に引き上げる考えを計画に盛り込むべきではないか。

4 ワークライフバランスの推進を重点施策として掲げているが、残業時間の規制や労働者の保護のためには、法律による規制が不可欠である。県として実効ある時短法への改正や育児・介護休業法の改正を国に働き掛けていくことを計画に盛り込むべきと考え るがどうか。

5 学習と生活の両面からきめ細かな取組を推進するためには、計画にある少人数指導だけでは不十分である。県は小学校2年生までの35人学級など、少人数学級を実施しているが、段階的に更なる少人数学級を推進する計画を盛り込むべきと考えるがどうか。

6 計画の中に、児童館の記述があるが、目標値が設定されていないのはなぜか。

7 計画の中に「父子家庭への支援について検討」とあるが、どのような内容なのか。

8 子育てをしていく上で住環境の整備は大事であるが、県としてどのように取組を行っていくのか。

 次に、第66号議案の平成21年度一般会計補正予算について伺う。

9 保育所運営費が年度当初に遡って減額され、保育所がそれを返還しなければならない状況になった。運営費補助の減額の理由について伺いたい。

10 社会福祉施設生活環境改善事業費について、特別養護老人ホームの中には頑張っており、とても良い施設がある。その一方で、虐待があったり、すきま風が入って部屋が寒く、入居者が病気になったりしている施設があるとの話も聞く。県として、サービスを高めていくため、どのような対応をしていくのか。

11 介護職員処遇改善特別対策事業費について、県は介護職員の処遇改善状況について調査を行ったが、今後、どのように調査結果を施策に生かしていくのか。

 

A少子政策課長

1 計画においては、ひとり親家庭に対する支援、経済的負担の軽減や、乳幼児医療に関する助成金などを取り上げている。子ども手当は議論中のものであり、この計画に盛り込んでいない。

2 平成18年4月から所得制限額を緩和して助成対象範囲を子育て家庭の9割まで拡大するなど措置を講じている。平成20年1月からは入院、通院とも就学前まで助成が行われるよう対象年齢の拡大を図っている。現在、財政力が高い市町村については、補助率の引き下げを行っている状況にあり、対象年齢の拡大については、今後、総合的な子育て支援策を検討する中で、課題になってくるものと認識している。

4 育児・介護休業法が改正されたばかりであり、時短については政府において検討されるものと考えるが、県としても計画の中でワークライフバランスの推進を大きな項目として取り上げており、各種施策をしっかり推進していきたい。

5 少人数学級の更なる推進については、教育の在り方そのものに関わる問題である。教育に関する長期計画も別途策定されており、教育全体の推進を考えていく中で、検討されるべき問題であろうと考える。

6 県内で130を超える児童館が設けられており、新設は少なくなってきているのが現状である。既存の児童館の活性化のための対策を考えていきたい。

8 住環境の整備については、新しい住宅を購入する際のローンや賃貸の優遇策を講じているということで、計画にも取り上げさせていただいた。

 

A子育て支援課長

3 幼稚園の保育料軽減については、平成15年度より一般世帯4,000円、家計が急変した世帯については、新たに10万円を助成している。

9 保育所運営費の減額理由について、運営費に含まれる人件費部分は、国家公務員の給与を基準に算定されている。国家公務員の給与が人事院勧告により、4月に遡って引き下げられたことから、運営費の返還となったものである。

 

Aこども安全課長

7 ひとり親に対する支援は、母子家庭に重点が置かれているが、父子家庭にも悩みや経済的困窮を抱える家庭があることから、父子家庭への支援が必要である認識している。県では、母子家庭のみ支給されている児童扶養手当について、父子家庭にも支給されるよう国に働き掛けを行ってきたが、平成22年8月から父子家庭にも支給されることとなった。また、ひとり親支援策の中で父子家庭が対象外とされているものについても、父子家庭の実情を踏まえ、国とも協議しながら父子家庭への支援を充実していきたい。

 

A高齢者福祉課長

10 施設内の虐待はあってはならないことである。虐待の通報があれば、速やかに市町村に通報し施設指導を行う。また、施設職員に対し、虐待防止のための研修も実施している。老朽化した施設の修繕については、補助制度により対応していきたい。サービスの質を高めることについては、現場の声を聞いて、必要なものについては国へ要望していきたい。

 

A介護保険課長

11 昨年4月に介護報酬が3%改善されたが、県の調査結果では、介護職員の賃金アップは平均約6,000円程度にとどまっている。その理由としては、今回の介護報酬アップが報酬本体ではなく、加算制度の充実に重点が置かれたためである。そのため、加算ではなく、介護報酬本体の増額改定が必要であると考えている。また、介護報酬の増額分がきちんと職員に支払われるよう、事業者への義務付けを含め、仕組みの整備について国に要望していきたい。

 

Q柳下委員

1 特別養護老人ホームについてだが、施設が老朽化して寒いのではなく、施設の都合で設定温度を落としているために、施設内が寒く、利用者が健康を損ねたものである。利用者の声をきちんと受け止めて施設運営を行えるようにするため、施設職員だけでなく、人権意識など施設長の資質向上を図っていくべきではないか。

2 介護職員の処遇改善について、県の調査結果と国の調査結果に差があるがなぜか。また、介護報酬全体を引き上げると、利用者の負担が増えることになり、利用者が介護サービスを利用しにくくなる問題もある。人件費として直接、職員に行き渡る仕組みが必要と考えるがどうか。

3 人事院勧告を基準にすることにより、保育園のような福祉施設まで深刻な影響を与えるのは問題である。運営費が下げられたとしても、そう簡単に保育園では保育士の給与を引き下げることはできない。保育園は厳しい経営状況の中で、やりくりをしている。県は、こうした現状について把握しているのか。保育所の職員給与を引き下げることについて、どう考えているのか。

4 乳幼児医療費助成については、県としても市町村を応援する立場での対象年齢の引上げと、国の制度として実施するよう、要望してもらいたい。

 

A社会福祉課長

1 社会福祉協議会で、新任職員から中堅職員、施設長までの職員の階層ごとに研修を行っている。こうした研修の中で、人権意識の醸成も図れるよう指導していきたい。

 

A介護保険課長

1 施設長になる前に、倫理観や福祉の観念を身につけてもらうため、介護サービス事業者の管理者となる前の幹部候補職員を対象に、来年度からリーダー養成研修を実施する予定である。

2 国の調査では、約9,000円アップとの結果であったが、これは平成21年9月時点の対前年数値との比較であり、昨年4月時点のベースアップや定期昇給分が含まれているためである。県の調査は、昨年4月以降の介護報酬の引き上げによる賃金改定の内容を聞いたものであり、国の調査結果との差は、ベースアップや定期昇給分の差と認識している。

 また、介護報酬の引上げにより利用者の負担が生じるのは、その通りである。しかし、介護報酬を増額して、介護職員の処遇改善を図ることは不可欠であるので、なるべく利用者の負担として転嫁しないような仕組みを国には考えてもらいたい。人件費として職員に行き渡らせる仕組みについては、各事業者でキャリアパスを設定して、年齢、資格、経験に応じた昇給制度を事業者に義務付けていく必要があると考えており、これについても国に要望していきたい。

 

A子育て支援課長

3 保育所の運営費について、今回の改正は、国から県に1月28日に通知があり、2月3日に市町村へ通知した。既に支出している保育所については、運営が厳しいと聞いているところであるが、今回の運営費の引下げについては、保育所運営費の仕組みの問題であり、国に判断を任せざるを得ない。

 しかし、その他の保育事業として、病児保育事業についても年度途中に制度変更されており、県としては毎年、事業遂行に影響を与える改正については、いち早く情報提供してもらうとともに、周知期間を設けるよう国に要望している。

 

A少子政策課長

4 乳幼児医療については、市町村において県の助成を上回る助成を独自の施策として実施している実情があり、各市町村が切磋琢磨しながら施策が進んでいく状況もあるのではないかと考えている。医療については経済負担のみならず、周産期医療や小児医療の体制整備も重要なものであるので、厳しい状況の中で、こちらも進めていかなければならない。乳幼児医療費助成については順次改善されてきており、更なる措置は将来の検討課題であると考えている。

 

Q柳下委員

1 保育所待機児童対策として、来年度3,000人の受入枠の拡大を目指すとしているが、見通しはどうか。また、家庭保育室に対する支援の要望があるが、改善されないので、これらの見通しについて伺いたい。

2 大規模な放課後児童クラブを解消するためにクラブを分割する際に、指定管理者制度を導入して新たなクラブの運営主体を決める場合がある。市町村が決めることだが、県は指定管理者の導入に関して市町村に説明を行っているのか。

3 介護は高齢者だけの問題ではなく、若い人が認知症の親を介護しながら苦しい生活を送っているという相談も受けている。特別養護老人ホームの待機者は深刻な問題になっている。特別養護老人ホームについて、平成22年度末には22,491人分、平成23年度末には23,883人分整備されるようだが、実際の待機者や整備の状況はどのようになっているのか。

4 福祉介護現場では職員の定着率が改善してきてはいるが、今後の賃金アップの見通しはどうか。

5 児童虐待相談の急増を受け、職員の増員など児童相談所の充実を図ってきたことは評価できる。しかし、職員のバーンアウトという問題もある。来年度の職員増は、どのようになっているか。

 

A子育て支援課長

1 待機児童数については、昨年の4月1日現在、1,509人と4年ぶりに増加したところである。これは、景気の悪化の影響と考えている。幸いにも、安心こども基金が平成20年度に創設され、今年度についても認可保育所や企業内保育所などで、2,000人の目標を上回る2,500人の受入枠拡大を見込んでいる。更に、来年度、前倒しで3,000人の受入枠拡大に努め、平成21年度、22年度と大きな成果を上げたい。県では基本的に、認可保育所の整備を進めていく。

 家庭保育室については昭和47年から本県独自の単独補助を行い、待機児童解消に役割を果たしてきた。運用をみると、平成20年度までに県が補助した49市町村のうち、39市町村が県の補助に上乗せして地域の実情に合わせた補助をしていただいている。県では毎年、こうした地方単独事業に対する国庫補助の導入について国に要望しているところであるが、県でも基金を活用して前倒しで整備していきたい。

 

A少子政策課長

2 指定管理者制度は、施設の住民サービスの向上と効率的な運営を行うことを目的として導入された制度である。放課後児童クラブに導入するかどうかの選択は、市町村が制度の趣旨を踏まえて決めるべきものと考えている。県としては、どのような運営形態にするかは保護者にとって影響があるので、事前に保護者によく説明するよう市町村にお願いしている。

 

A高齢者福祉課長

3 特別養護老人ホームの待機者と整備についてであるが、県民の方々が安心して老後を迎えられるためにも、介護保険施設として中心的な役割を担う特別養護老人ホームを積極的に整備していくことが重要である。高齢者支援計画では平成23年度末までに22,928人分整備する計画となっている。待機者の調査は2年ごとに行っているが、直近の昨年7月の段階では14,648人になっている。また、今すぐ入所を希望する要介護度4と5の方は約4,600人になっている。

 県としては、平成23年度末までに約2,600人分整備する予定であるが、更に約900人分を上乗せして整備を進める。入所待機者の中には、要介護度1から2、3の方もいる。様々な要介護度に対応するため、特別養護老人ホームだけでなくグループホームや介護付き有料老人ホームなど多様な介護基盤の整備を進めていく。

 

A介護保険課長

4 介護報酬改定3%アップと異なり交付金は事業者から職員へ支給される仕組みとなっている。一人当たり15,000円相当額になるとしているが、常勤、非常勤など勤務形態により金額が変わってくる。4月以降に事業者から実績報告を提出させるので、賃金改善状況が把握できると考える。また、国では7月頃に処遇状況調査を実施するとしており、その結果が出れば全体の状況が明らかになると考える。

 

Aこども安全課長

5 児童相談所職員については、平成21年度も12名の増員を図り、年々増員に努めてきた。来年度も13名の職員を増員する。

  また、4月には、最大規模の管轄人口を有する越谷児童相談所については草加支所を開設する。

 

Q柳下委員

 児童相談所職員のバーンアウトという点では、どのように考えるか。

 

Aこども安全課長

 職員を年々増員してきてはいるが、一人前の児童福祉司等になるためには、10年位かかってしまう。そのため、中堅職員に負担がかかっている状況がある。平成21年度から福祉職を対象とした新たな昇任制度を設けている。こうした制度の活用により、中堅職員をスーパーバイザーとして専念できるようにしたい。

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