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予算特別委員会における山川すみえ議員の総括質疑

(2010年3月8日)

 

Q山川すみえ委員

 日本共産党の山川すみえです。

 早速質疑に入ります。

 通告の順番を入れ替えまして、最初に心身障がい者地域デイケア施設の県単補助の延長についてです。

 質問1、埼玉県は国に先駆け、心身障がい者地域デイケア施設のために単独で補助を行ってきました。しかし現在、県は国の制度である地域活動支援センターへの移行を施設に働き掛けています。平成23年度までにすべての施設を移行させる目標のようですが、なかなかすべてが移行するというわけにはまいりません。その理由の一つは、利用人数が10人未満の小さな施設は、地域活動支援センターの補助対象にならないからです。県単補助の要件は登録人数6人以上ですが、国の制度では実利用人数10人以上となるからです。私が伺いましたあるデイケア施設では、登録が20人です。実利用人数は平均8人ないし9人でした。心身障がいの施設利用者は、通院、リハビリ、介護ヘルパーの利用や高齢で虚弱など知的障がい者施設に比べてどうしても利用率が低くなります。この傾向はどの施設も共通でございます。つまり登録人数20人程度の施設では、国の制度への移行が難しいということなんです。

 そこで知事に伺いますが、このように規模が小さくて国の制度に移行できない施設は県内にどのくらいあるんでしょうか。平成23年度が移行の目標期限であっても、機械的に23年度で県単補助を打ち切るべきではないと考えますが、いかがでしょうか。障がい者団体が本当に心配しておりますので、明確にお答えください。

 

A上田清司知事

 心身障害者地域デイケア施設の安定的な運営を図るために、障害者自立支援法に基づいて法定施設であります障害福祉サービス事業や地域活動支援センターへの移行を県として支援しているところでございますが、数は後で部長に答弁していただきたいと思いますが、機械的に打ち切るというようなことだけは絶対いたしませんので、どうぞそれは御安心してください。

 

A武島裕福祉部長

 お答えいたします。

 平成18年9月に238施設ございました地域デイケア施設は、移行が進みまして現在158施設となっております。先月、この158の施設に対しましてアンケート調査を実施いたしましたところ、移行先が未定の施設が40施設、移行の予定がないと回答した施設は8施設でございました。

 

Q山川委員

 ありがとうございました。

 次に、地域活動支援センターの問題ですが、実は市町村もこの制度への移行は余り歓迎しておりません。と申しますのは、国の制度といっても国の財政措置は、市町村に1施設につき600万円交付税措置がされるだけで、これに上乗せされるA型840万円、B型630万円の重度加算は、県と市町村が半分ずつ助成するという仕組みになっているからなんです。特に国の600万円の交付税措置というのは、市町村にとっては大変不安定な財源です。

 そこで知事に伺いますが、この600万円について交付税措置ではなく、市町村に対する補助として交付するよう国に対して要望していただきたいんですが、いかがでしょうか。

 

A知事

 現在、地方分権をめぐる議論の中で、できるだけ個別の補助金をやめて一括交付金化することとか、あるいは交付税を充実するというこういう大きな流れの中で、いったん必要額が交付税措置されているものを補助金に変えろという議論というのは、なかなか私どものほうからはしづらい。市町村からそういう御要望があったときに考える課題なのかなというふうに思います。

 

Q山川委員

 ありがとうございました。

 市町村のほうからも、きちんとそういう要望をしていただくように私どもも働き掛けてまいりたいと思います。

 次に、大きな2番目の質問、行き過ぎた徴税方針をやめ、県民生活の援助をについて伺います。

 質問1、財政状況が厳しい中で税収確保対策は重要な課題です。しかし、徴税対策は、県民の生活を第一に考えて取り組まなければなりません。県は、昨年10月に初めて個人住民税市町村表彰を12市町村に対して行いました。この際、知事は戸田市の取組について、「組織体制の強化に加え、財産の捜索、インターネット競売、タイヤロックなどこれまで以上に工夫を加えた収入未済額の圧縮に積極的に取り組んでいくお考えを伺い、大変頼もしく思います」と評価されております。

 しかし、この戸田市で一体何が起こっているかといいますと、双子の障がい児を育てている女性が、昨年秋、住民税の滞納で児童手当と障害児福祉手当、重度障害者等福祉金が振り込まれる預金口座を100円単位で差し押さえると市の収税課から通告を受けたのです。当時は家族4人の収入は月20万円です。相談に行った女性は、住民税の分納、つまり月5万円を誓約させられました。その上、市の窓口は、「子供の手当だけは残してほしい」と女性が訴えたのに、通帳に入れば差し押さえると言ったそうです。そのとき女性は、子供の医療費が一番心配で、もう逃げ場がないと感じたそうなんです。分納の約束をさせた上、児童手当や障害児手当も差し押さえると通告した戸田市のやり方について、知事はどのようにお考えになりますか。見解をお知らせください。

 

A知事

 御質問の予告がございましたので、戸田市における具体的な事例としての問い合わせを照会したところですが、個人名が分からないこともあるのかどうか分かりませんが、事実関係そのものが確認できておりませんのでお答えができにくい、このように言えます。また、一般論としてですね、児童手当や障害児福祉手当などについては、法律によって受給権を差し押さえることは禁止されておりますので、当然そういうことは分かっておられるので、そういうことはあり得ないのかなというふうに思ったりしますが、今のところは戸田市に照会したところでは、事実関係について確認ができない状態であります。

 

Q山川委員

 それでは、事実が確認できないということですが、しかし、私ども共産党の市会議員が立ち会って税務課とも交渉いたしておりますので、なかなか個人情報ということですから開示されないのかもしれません。この戸田市の女性の場合ですけれども、共産党の市会議員と一緒に窓口で再交渉して滞納処分の停止が決まり、今後の家計状況を見守ることになりました。女性は、子供の手術が受けられたと大変喜んでいます。先ほど知事がおっしゃられたように、児童手当は差し押さえ禁止の規定もあるんですよね。ですから、そういう意味では、この収税課の方が知識がなかったのかどうか分かりませんが、こういうことでした。そこで結局、共産党の市会議員が行って御説明をして、家計状況を見守るということになったんですね。戸田市には県からも職員が派遣されていました。今はいらっしゃいませんけれども、今からでも遅くはありません。生活実態によって納税の方法があることなど、滞納者の相談に懇切丁寧に乗るように戸田市に対して助言、指導していただきたいんですが、いかがでしょうか。

 

A知事

 できるだけ御要請に応じて、そうした指導をさせていただきたいと思います。

 

Q山川委員

 次に移りますが、戸田市が発送した督促状、納税催告書の裏にはこんなQ&Aがあるんですね。「延滞金をまけてほしい」という設問に対する解答には「まけることはできない」と書かれ、「多額の負債があるが考慮してくれるか」の設問には「考慮できない」と書かれています。これでは相談する気にもなれないですよね。しかも法律の趣旨とも異なると思います。納税ができない場合には親身に相談に乗り、納税の猶予や分割など積極的に適用する、こういう配慮をすべきだというのが徴税法の趣旨ではないでしょうか。滞納している人に思い切って相談してみようと窓口に足を運んでいただくことが大切です。本当に財産がない、あってもそれを差し押さえれば生活ができないなどの事情がある場合は、徴収猶予という方法もありますよね。ですから、この徴収猶予、出された場合には採用、不採用というのは市のほうで決定するようです。申し出が出された場合、受け取りの拒否はできないと思います。徴収猶予の書類をきちんと窓口に置き、申請の速やかな受理を各市町村窓口に徹底するよう助言、指導していただきたいのですが、いかがでしょうか。

 

A知事

 マニュアル書がどういう形でどのようなときに使われるのか、ちょっと皆目まだ分からない部分がありますが、今御発言がありましたように、まずは分納の手続、そしていよいよのときには徴収猶予というような手続をですね、税務職員は基本的に教えることになっております。

 

Q山川委員

 それでは、行き過ぎた内容にならないように、県からも助言、指導していただくということですので、なお、徴収猶予の申請の受け取り拒否はしないということで確認をさせていただきます。

 次に、3番目を飛ばしまして、4番目の分納中の差し押さえについて伺います。

 志木市や和光市、そして戸田市などから、私どものところへ「分納している最中に差し押さえられた」という相談が寄せられています。これも戸田市で建設業を営む男性の例ですが、延滞金を含めて200万円の請求を受け、月7万円ずつ返済していたところ、突然、月35万円ずつ支払わなければ差し押さえると言われ、無理やり約束させられたというのです。ところが、3か月目には支払えなくなり、市にも相談したものの、数日後に届いたのは「自宅を差し押さえた」という通知でした。分納の最中、つまり納税の意思のある人に対してこれを無視して差し押さえるなどというのは、言語道断ではないでしょうか。例えば、隠し財産が見つかったという場合にはこういう差し押さえも考えられますけれども、事前の通告もなく差し押さえるなどというのは、許されることではありません。

 そこで知事に伺いますが、分納を約束している人への差し押さえは、本人に事前に通告するのはもちろんのことですが、慎重にすべきだと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 

A知事

 その戸田市の建設会社のケーススタディについてですね、よく承知しておりませんので軽々に答えられませんが、一般論で言うと、分納を認める場合には、納税者の生活状況とか財産、納税資力などを十分調査した上で判断することになっておりますし、また、分納に当たっては、納税の確保を担保するために、原則分納の計画を記した誓約書を提出していただいております。この提出は強制ではありませんが、一般的にはやっぱり極力出していただくようなお願いをするというふうにしております。そして、分納の計画どおりなされない場合、しかもですね、誠実な意思がない場合には、差し押さえする場合があるということになります。

 

Q山川委員

 先ほど申し上げましたように、本人に差し押さえの前にはですね、その方は2か月、35万払ったけれども、3か月目に払えなくなって相談に行ったと。そうしましたら、本人に差し押さえると言わないうちに差し押さえたというのが来たというのでびっくりしたわけです。ですから、本人が事前に分かるように知らせてほしい、こういうふうに思うんですが、知事はどうお考えでしょうか。

 

A知事

 山川委員のおっしゃっていることが正しいとすれば、そういうことになるんではないかというふうに思います。

 

Q山川委員

 ありがとうございました。

 時間がありませんので、次に多重債務の問題に移らせていただきます。

 私は先日、桶川市の取組を調べに行ってまいりました。ここでは、多重債務相談室と各課との間でネットワークができていて、国保税や税金などの滞納でその人が多重債務に陥っているようなケースは、窓口が多重債務相談室にお連れするようになっています。相談室が平成21年度に受け付けた相談件数は114件、そのうち他の窓口から回ってきたものは66件なんですね。正にネットワークが生きているんですね。相談に乗っている間は督促も控えているようですが、問題が解決するとほとんどの方が滞納分の市税などの支払いをしていくそうです。平成21年度の市税納入につながった金額は、1,188万円ということでした。多重債務の相談専門窓口を全県の市町村に作り、桶川市のような取組を広げるべきではないかと考えますが、知事はいかがでしょうか、伺います。

 

A知事

 桶川市のこの仕組みは、各市町村の納税等々のアイデア集の中でもですね、極めて特筆すべき内容だという形で、県としても関心を持っておりますので、御紹介をする段取りには多分なっているはず、あるいはもうしているのかもしれませんが、いずれにしてもですね、極めて優れた取組だというふうに評価しておりますので、何らかの形で、もうしているかもしれませんが知らせていきたいと考えております。

 

Q山川委員

 ありがとうございました。

 大変いい、皆さん熱心に研究をされていて、桶川市の相談室の室長さんにもお会いいたしましたけれども、大変熱心で、また、こんなに役に立つことはうれしいとおっしゃっていらっしゃいました。是非、全県にこういう取組を広げていただきたいというふうに思うんです。

 先ほど時間がなくて飛ばしました問題で、先ほど後ろからもお話がありましたように、国税徴収法で生活費はある程度差し押さえてはならないということがあるわけなんです。ところが、この金額は、例えば戸田市では145,000円です。こういうところが生活保護は17万円なんですね。ちょっと生活保護費と、それから国税法で生活費として認めているのが差があるように思うんですが、これはどのように知事はお考えでしょうか。私は是非ともですね、その方の生活実態に合ったような差し押さえをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。給料とか、それから年金など、今大変あちこちで差し押さえられていますので、よろしく御答弁ください。

 

A知事

 私は常々、日本国憲法に16の権利があり、九つの自由があって、義務は三つしかないと。納税の義務というのは極めて重要だと、そういう意味においてもですね、そして多くの国民を支える資源にもなるという意味でも、極めて納税の義務というのは重要だと思っております。ただ、先ほども御指摘がありましたように、ケース・バイ・ケースがいろいろありますので、今の時点でどのようなケースだったのかということで判断をしなきゃいけない場合が多いのではないかというふうに思いますので、生活保護の部分と、そしてまた所得の部分との兼ね合いについては、今すぐこれですねというようなことは、とても言えないような感じがいたします。国会などで議論がもっとされればいいんではないかというふうに判断いたします。

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