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議員提出議案に対する柳下礼子議員の反対討論

(2009年12月22日)

 

 日本共産党の柳下礼子です。
 日本共産党県議団を代表して、議第28号議案「選択的夫婦別姓法案提出について慎重な対応を求める意見書」、議第29号議案「永住外国人への地方参政権付与の法制化に慎重な対応を求める意見書」及び議第30号議案「改正国籍法に基づく国籍取得の厳格な審査を求める意見書」について、反対討論を行います。
 初めに、議第28号議案についてですが、選択的夫婦別姓は、女性の社会進出に伴い、結婚前と結婚後の姓が異なることによって不利益を受ける女性の救済策として、96年、法制審議会により導入が答申されましたが、前政権によって法制化されることはありませんでした。法制化を待って、相続上の不利益を受けながらも事実婚を10数年も貫いている夫婦もいます。最高裁は、姓も個人の人格権の一部と20年前に認めていますが、この10数年間の晩婚化や少子化の進展で、名前は私自身、夫も妻もどちらも名前を変えたくないという夫婦の思いは、ますます道理のあるものになっています。
 一向に民法を改正しない日本政府に対して、ついに国連女子差別撤廃委員会は、差別的規定が残る民法を2年以内に改正するよう勧告しております。条約批准国である以上、もはや選択的夫婦別姓導入は一刻も遅らせることはできません。
 意見書では、別姓が家族のきずなを損ねると決めつけておりますが、現在でも離婚と再婚の中で親と子が違う姓を名乗っている家族はあります。こうした家族は一体感を失い、きずなが損なわれているという科学的な検証でもあるのでしょうか。家族の一体感は、何よりお互いの愛情に基づき一緒に生活する中で育てていくものであり、姓でつながるものではありません。
 よって、本意見書には反対いたします。
 次に、議第29号議案の永住外国人に地方参政権を付与する問題ですが、本意見書にある「永住外国人に対し、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等を付与することは、憲法上問題がある」という記述は誤りです。平成7年2月28日の最高裁判決は、憲法が外国人の地方参政権を保障したものではないとしながらも、法律をもって地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解することが相当であるとしているのであります。
 また、先進8か国に限定すると、7か国が「永住外国人に地方参政権を付与していない」とも述べていますが、イギリス、フランス、ドイツは、近隣のEU市民には広く地方参政権を付与しており、アメリカは生地主義をとって、米国生まれの子供に容易に国籍を与えています。G8という狭い範囲でも、日本のように外国人を排除している国は、ほかにありません。帰化によって参政権を得ればという意見も、多くの外国人が日本と国籍のある国を行き来している現状では、二重国籍を認めないアジアの風潮からは現実的ではありません。
 意見書は、地方自治体も安全保障や教育など国家の存立にかかわる事柄に深く関与しているとして、外国人の参政権付与に慎重となるべきだとしていますが、日本国憲法94条では、地方自治体は「法律の範囲内で条例を制定することができる」としており、国会で定められた法律に反する条例は無効とされており、外国人地方参政権と国民主権は、矛盾することではありません。
 何より我が党は、地方政治は、すべての住民の要求にこたえ、住民に奉仕するために住民自身の参加によって進められなければならないと考えます。永住外国人を地方自治の担い手として迎え、日本国民と等しく参加する政治を実現することは、我が国の民主主義の成熟と発展につながるものであり、憲法の保障する地方自治の根本精神とも合致するものと考えます。
 以上の点から、永住外国人には一刻も早く地方参政権が付与されるべきであり、したがって本意見書には反対いたします。
 続いて、議第30号議案の「改正国籍法に基づく国籍取得の厳格な審査を求める意見書」ですが、国籍法の改正は、日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれた子供たちの日本国籍取得について、改正前国籍法が、憲法14条、法の下の平等に反するという違憲判決によって改正されたものです。
 国籍取得ができていない子供は30万人と言われます。憲法違反の人権侵害は、速やかに解消されるべきであり、DNA鑑定を推奨するなど新たなハードルをつくるべきではありません。偽装認知などの問題は軽視できませんが、最高裁も父母の婚姻を要件とした旧国籍法の規定が、偽装認知防止と合理的関連性を有するとは言い難いとしています。外国人を母親とする子供を認知する場合だけDNA鑑定を要請するとすれば、新たな差別を生むことになります。DNA鑑定は多額の費用がかかり、父親から検体を入手不可能な場合どうするのか、検体のすり替えの危険性、鑑定の正確性の担保など、様々な問題があることを法務省も認めております。
 よって、改正国籍法による子供たちの日本国籍取得は速やかに行われるべきであり、本意見書には反対するものです。
 以上をもって私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手起こる)

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