(2009年12月22日)
議請第13号及び議請第15号乃至議請第20号に対する反対討論
29番 山川すみえです。
日本共産党県議団を代表いたしまして、議請第13号及び議請第15号ないし議請第20号について討論を行います。
最初に、議請第13号「すべての子どもにゆきとどいた教育をすすめるための請願」は、委員長報告では不採択ですが、採択を求めます。
委員長報告では、第1項ないし第3項及び第5項について、厳しい財政状況の中、主要施策や新規事業に積極的に取り組むなど、様々な教育課題に対応した予算の確保に努めていることをもって不採択の理由としていますが、請願の趣旨も、県が何の努力もしていないと言っているわけではありません。
しかし、英語の必修化や学習指導要領の改訂に向けた学習内容の増加、発達障害の認知の進展などにより、38人ないし40人という学級規模では対応できなくなっていること、経済危機による生活苦で学習権を侵害される子供たちが多数生まれてきていることなど、子供の教育環境の大きな変化の中で、更なる県の取組を求めているのです。既に講じている措置が十分であるとして拒絶するのではなく、すべての子供たちに行き届いた教育をと願う32万人に上る県民の声にこたえて、教育予算の増額や学級規模の縮小、教育費の負担軽減などの対策を更に進めるべきです。
なお、私学助成の増額を求める第4項については、文教政策を考えれば、公教育を担う公私全体を検討するべきである、本請願第4項のみをもって審査にはなじまないという理由で不採択とされましたが、もともと公私一体の請願を委員会に分割付託したのは、議会の責任です。同様の趣旨の議請第14号については採択しながら、本請願第4項について不採択とするのは、全く道理がありません。
次に、議請第15号「選択的夫婦別姓法案提出の慎重な対応を求める意見書採択を要望する請願書」、議請第16号「外国人地方参政権付与法案提出の慎重な対応を求める意見書採択を要望する請願書」及び議請第17号「改正国籍法に基づく国籍取得に関する厳格な審査・条件の適応について国への意見書の提出を求める請願」は、いずれも委員長報告では採択ですが、我が党は不採択を主張いたします。
選択的夫婦別姓法案は、社会進出の進んだ女性の人格権を守るためのものであり、外国人の地方参政権付与法案は、日本に長期に暮らす外国人の人権を保障するものであり、改正国籍法は、外国人の親を持つ子供の人権を守るためのものです。いずれも国際社会の中で広く認知されてきた人権であり、速やかな法制化や法に基づく国籍取得などが求められております。
したがって、選択的夫婦別姓や外国人の地方参政権付与に関する法案の提出や、改正国籍法に基づく国籍取得に対して慎重な対応を求めた議請第15号ないし第17号については、不採択とすべきであります。
続いて、議請第18号「再生砕石のアスベスト混入再発防止対策(法)を求める請願」について、委員長報告では不採択ですが、我が党は採択を主張いたします。
委員長報告では、不採択の理由に、再生砕石へのアスベスト混入防止についての法的な仕組みとして、アスベスト適正除去が可能なマニュアルが既にあり、業者に対して指導を徹底する県の断固たる姿勢が確認できたことを挙げていますが、国の法律自体がアスベスト廃材の混入を想定していないのですから、法整備を求めるのは当然であります。また、県の断固たる姿勢が確認できたというのであれば、議会としても断固たる姿勢を公に示し、他県に先駆けてマニュアルを策定して、再発防止に努めるべきだと考えます。
続いて、議請第19号「県政調査費の領収書について全面添付を求める請願」について、委員長報告は不採択ですが、採択を主張いたします。
既に領収書の添付に踏み出している都道府県で、特段の問題が生じているという情報にはいまだに接しておりません。本請願で求めている領収書の添付について、看過しがたい不利益など生じるおそれは想定されず、本請願については採択すべきであります。
最後に、議請第20号「多くの問題をはらみ、地元住民に災害の危険性を押し付ける八ッ場ダムの建設を中止し、生活再建と地域再生のための対策を求める意見書を国に提出してください」は、委員長報告では不採択ですが、採択を主張いたします。
委員長報告では、品木ダムの石灰生成物は、国において適切に対応され、水質的な問題は発生していない。専門家からの助言などにより適切な地滑り対策工事を実施している。水源の確保及び利根川の洪水から県民の生命、財産を守るため、八ッ場ダム建設事業は継続すべきであるというのが不採択の理由です。
しかし、吾妻川の水質はもともと強い酸性で、中和施設において石灰水を流し中和しております。問題は、中和生成物が下流の品木ダムや中和生成物の処分場に大量に蓄積され、その中に大量のヒ素が含まれているという問題です。品木ダムのたい砂率は、中和生成物のたい積で平成19年度時点で85パーセントまで進んでおり、しゅんせつ作業がたい積のテンポに追いつかない状況にあると聞いています。県が2003年9月に設置した八ッ場ダム等の建設に関する基本計画変更に係わる懇話会に提出された国交省側の資料でも、品木ダムの現時点での課題として、中和生成物の処理が課題となっているとして、たい積物が総貯水量の7割を超過していること、中和生成物を脱水処理後、流域内に盛土処分しているが、恒久的な中和事業に対応するため、抜本的な対策が急務であるとしています。つまり、中和生成物の処分そのものが行き詰まっているというのが実情です。
請願者は、処分場が満杯になった場合、この汚泥の山が崩壊する危険性もあると指摘して、もし崩壊した場合は、健康被害の心配はないとは、とても言えないほどのヒ素が飲料水に混入するのではないかという危ぐを抱いています。
吾妻川上流のヒ素問題については、この問題を60年代から調査している上智大学理工学部の木川田喜一准教授が、現状でも品木ダム下流の吾妻川に毎年3トンのヒ素が流出しているという報告書をまとめており、住民が懸念を抱くのも当然であります。
なお、建設予定地の地滑りの危険性については、請願理由に述べられているとおりです。ダム建設による地滑りは、全国各地で頻発しています。奈良県の大滝ダムでは、試験たん水時に地滑りが起き、一つの集落が丸ごと避難生活に追いやられています。本県の滝沢ダムでも、同様に地滑り、陥没によって、08年の完成後、いまだに供用開始できないでいることは、皆さん周知のとおりです。
よって、議請第20号については採択を主張するものです。
以上で、請願に対する反対討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)