(2009年12月22日)
第128号議案、第129号議案、第135号議案、第138号議案、第140号議案乃至第142号議案及び第164号議案乃至第166号議案に対する反対討論
日本共産党の柳下礼子です。
日本共産党県議団を代表いたしまして、第128号議案、第129号議案、第135号議案、第138号議案、第140号議案ないし第142号議案及び第164号議案ないし第166号議案に対する反対討論を行います。
最初に、第128号議案ですが、我が党は決算の認定に反対いたします。
反対の第一の理由は、乳幼児医療、重度心身障害者医療、ひとり親家庭医療の福祉三医療制度に係る補助率を、財政力指数が過去3年間平均して1以上を上回る自治体に対して、従前の2分の1から12分の5に引き下げるなどして、7億円以上の負担増を押し付けたことです。財政力指数が1を超える自治体は、地方交付税の不交付団体であり、その上、県の補助金交付でも補助率に格差を設けることは、政策誘導というこの補助制度の性格に照らしても許されず、埼玉県市長会からもその是正が強く要望されているところです。
反対の第二の理由は、民間社会福祉施設のサービス向上を図るための取組を支援する社会福祉施設利用者サービス推進事業費について、一施設当たりの補助限度額を30万円から20万円に引き下げた結果、一施設平均約9万2000円、補助金が減額となったことです。この補助金は、民間社会福祉施設等職員処遇改善費補助が打ち切られたのに伴い導入されたものですが、民間の社会福祉施設は、厳しい経営環境の中で職員の確保やサービスの向上に大変苦労されています。県の補助金削減は、こうした民間の社会福祉施設の努力や苦労に報いるどころか、逆に足を引っ張るものです。
反対の第三の理由は、利水上も治水上もその必要性が薄れている八ッ場ダム建設に、引き続き県民の税金をつぎ込んでいることです。八ッ場ダム建設については、県企業局の負担分を含めて、平成20年度の投資額は36億4,000万円に上っています。しかし、一般質問でも指摘したように、八ッ場ダムについては、利水上も治水上もその必要性がなくなってきていると言わざるを得ません。
反対の第四の理由は、スーパー堤防の整備のために直轄事業負担金として23億1,000万円を負担しておりますが、スーパー堤防事業は、多数の家屋の移転と巨額の費用を要し、20年以上が経過しながら、いまだに計画の数パーセントしか進ちょくしていません。したがって、スーパー堤防事業については、国に対し見直しを求めるべきであります。
続いて、第129号議案「平成20年度埼玉県公営企業会計決算の認定について」は、水道事業会計に八ッ場ダム関連の事業費24億9,000万円が支出されていることから、反対するものです。
次に、第135号議案「平成21年度埼玉県一般会計補正予算(第4号)」についてです。
反対の第一の理由は、定住自立圏等民間投資促進事業費3億1,140万円が計上されているためです。定住自立圏構想は、将来の市町村合併と道州制の導入を視野に、中心市に権限を集中し、周辺自治体の自治権を奪うというもので、地方自治の理念に反するものです。今回の事業費は、秩父圏域と本庄圏域の拠点病院となっている民間医療機関に対して、救急医療機器や人工透析等の医療機器の整備に要する経費を助成するものですが、今、救急医療体制の整備や医療機器の整備が求められているのは、何も定住自立圏に限ったことではありません。しかも、医療の非採算部門を担っている公立病院に対する支援がないというのも問題です。
二つ目の理由は、全国瞬時警報システム整備促進事業費4億4,612万円が計上されていることです。これは内閣官房から送信される有事関係情報や気象庁から送信される気象関係情報を、人工衛星を利用して地方公共団体に送信し、行政防災無線を自動起動させるというものです。全国瞬時警報システムでは、武力攻撃時に関する情報として、弾道ミサイル攻撃や航空攻撃、大規模テロなどの通報を提供するとなっていますが、今日の世界で、いきなり他国による武力攻撃という事態は考えられず、むしろ国民の間に無用な混乱と不安をじゃっ起するだけであります。国民保護法は、あいまいな戦争規定のまま、有事の際の都道府県の24時間体制や、土地、家屋、物資の強制使用、運送業者の動員など強制動員の仕組みをつくっていますが、警報システムづくりや避難訓練などを通じて、戦争に備えるのは当たり前という雰囲気づくりに利用される危険性があります。防災情報の伝達という点では、全国7割の自治体で導入されているEm−Net、緊急情報ネットワークの拡充や消防力の整備こそ、今求められています。
以上の理由により、第135号議案には反対です。
次に、第138号議案及び第165号議案は、関連しておりますので一括して討論いたします。
第165号議案「市町の廃置分合について」は、加須市と北埼玉郡の騎西町、北川辺町、大利根町の1市3町を合併して、新たに加須市を設置するものです。
我が党は、市町村合併を進める上では、合併に関する情報を十分住民に公開し、住民の間や議会での議論を十分尽くし、住民の合意と納得の下に進める必要があると考えるものです。また、合併の是非について住民の意思を最終的に確認する民主的なプロセスとして、住民投票は欠かせません。
しかし、今回の合併は、昨年12月に合併協議会を立ち上げてからわずか9か月で合併協定の調印に至るなど、十分な議論も尽くされないまま、住民投票による意思確認もせず、結論だけ急いだという印象を免れません。
よって、第165号議案には反対です。
また、第138号議案の「知事の権限に属する事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」では、合併による加須市の設置に伴う規定の整備が含まれていることから、反対するものです。
次に、第140号議案ないし第142号議案及び第166号議案も、関連しておりますので一括して討論します。
これらの条例は、埼玉県立大学を公立大学法人にするための関係条例の議案ですが、我が党は、県立大学の公立大学法人化には反対です。埼玉県立大学は、1999年4月に、保健・医療・福祉の分野における幅広い高度なサービスに対応できる高い人材の養成や指導的役割が果たせる人材の確保、本県の保健・医療・福祉に関する教育研究の中核となって地域社会に貢献することを目的に設立され、今年で創立10周年を迎えました。県当局は、県立大学を公立大学法人にすることによって、今まで以上に自主的、自立的な運営が可能になるとか、大学運営に学外者も参加していただいたり外部機関による評価を受けるなど、公正透明な運営を確保できるなどとそのメリットを強調しておりますが、既に法人化された国立大学では、運営費交付金が毎年1パーセント削減され、財政ひっ迫による教育研究基盤の弱体化、基礎研究の衰退、経営危機といった様々な問題が浮き彫りになっています。また、法人化によって教職員が公務員でなくなるため、教職員の兼業や勤務時間の柔軟性、自由度が高まるとも説明されていますが、安定した身分の保障と必要な予算の確保こそが、自由な教育研究環境を保障するものではないでしょうか。
以上の理由から、第140号議案ないし第142号議案及び第166号議案には反対です。
最後に、第164号議案「指定管理者の指定について」は、これまで県が直営してきた大宮第二公園と大宮第三公園に指定管理者制度を導入し、公募によって選ばれた株式会社日比谷アメニスを指定管理者に指定するものです。
我が党は、多くの県民が利用する県立公園については県直営が基本で、たとえ管理運営業務を委託する場合でも、公共団体や県出資法人などの非営利団体に限るべきだと考えます。県民の貴重な税金で整備した公園や公園施設の管理運営を民間企業にゆだね、民間企業にもうける機会をなぜ提供しなければいけないのでしょうか。しかも、指定管理者の指定期間は3年ないし5年がそのほとんどで、もし次の機会に指定に漏れれば、そこで働いていた労働者は余剰人員となります。したがって、指定管理者制度においては、雇用の形態がどうしても身分が不安定な有期雇用契約にならざるを得ません。行政自身がワーキングプアをつくり出すような指定管理者の拡大ではなく、県直営を維持すべきであります。
以上で、日本共産党県議団を代表しての私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手起こる)