(2009年12月10日)
1 中小企業支援・雇用対策について (知事、産業労働部長)
2 失業者やホームレスの住宅確保対策について (福祉部長)
3 子どもの学習権の保障と県立高等学校の統廃合問題について (知事、教育長)
4 所沢保健所の廃止を凍結し、改めて所沢市と協議を (知事、保健医療部長)
5 小児初期救急医療体制の整備について (保健医療部長)
6 子どもの健やかな成長のために、待機児童解消と保育環境の改善を (知事、福祉部長)
7 男女共同参画社会の実現へ県は更なる努力を (知事、県民生活部長)
8 八ッ場ダム建設の中止について (知事)
中小企業支援・雇用対策について
Q 柳下礼子議員
急激な円高や物価の持続的な下落が日本経済を直撃しています。とりわけ中小企業や自営業者の間では、「仕事が蒸発してしまった」、「売上げが半減した」といった悲鳴の声が上がっています。県の直近の四半期経営動向調査でも、県内中小企業の経営状況は依然厳しく、経営上の問題点に「売上げの停滞・減少」を挙げた企業が約8割に上っています。
県は、緊急借換融資制度を作って中小業者の資金繰り改善に努めておりますが、小規模事業者ほど資金繰りや仕事の減少で経営危機に直面しているというのが実態です。その点で、中小企業、自営業者に対する金融面での一層の支援と併せて、仕事の確保も含めた県独自の対策が求められています。
そこで、第一に資金繰り支援ですが、中小零細業者が県制度融資を利用するに際しては、利子補給に加えて信用保証料の補てんを検討すべきではないでしょうか。また、セーフティー緊急融資については、貸付期間を10年に、据置期間を3年にそれぞれ延期すべきと考えます。
第二に、地場の建築業者などの仕事確保対策として、不足している公営住宅の新規建設や住宅の耐震化、リフォーム工事への補助など、県民生活に密着した公共事業に力を入れることです。公営住宅の建設に関しては、併せて用地費に対する補助金の復活を国に強く求めるべきではないでしょうか。
第三に、県施設や県立学校などの改修や修繕等の工事を地元業者に随意契約で優先発注する小規模工事希望者登録制度は、仕事確保対策として大変有効です。学校や県施設のトイレ改修やバリアフリー化といった事業費を増やし、中小業者の仕事確保に結び付けるべきです。
第四に、下請中小企業などでは、貸工場の家賃や機械設備のリース代などが大きな負担となっています。これらの固定費に対する補助を行い、廃業を食い止める手だてを講じる必要があります。国に対策を求めるべきと考えます。
以上四点について、知事よりお答えください。
次に、雇用対策ですが、厚労省の労働力調査によりますと、この10月の完全失業者数は344万人で、前年同期に比べて89万人の増加です。完全失業率は前月に比べて少し低下しているものの、5.1パーセントと依然高い水準です。このままでは、都心に昨年を上回る派遣村が出現しないとも限りません。仕事がないままの失業給付切れの防止、住居を失った人の住宅確保、失業給付を受けられない人や期限が切れた人への生活支援など、緊急に取り組む必要があります。
鳩山内閣は、10月に緊急雇用対策を取りまとめ、年末までに失業給付が切れる受給者の把握などを掲げていますが、これでは不十分です。失業給付の期限切れ問題では、失業給付の積立金4兆4千億円を活用して、雇用保険の全国延長給付を発動するよう国に求めるべきです。
また、職業紹介と生活支援を結び付けた「ワンストップ・サービス」が、11月30日にさいたま市など全国77カ所で施行されましたが、このような取り組みを埼玉労働局と主要自治体との協力を得て、県内でも年の瀬に向けて実施すべきです。
以上2点について、産業労働部長よりお答えください。
A 上田清司知事
まず、「中小企業支援・雇用対策について」のお尋ねのうち、保証料の補てんについてでございます。
現在、県制度融資においては、県信用保証協会の協力を得て、全国統一の保証料率基準から引き下げを行っています。
例えば、「小規模事業資金」の保証料率は、全国基準で最大2.20%となっておりますが、これを1.76%として、20%の軽減を行っています。
このように、中小企業者の保証料負担を軽減しているところですので、当面、信用保証料の補てんは考えておりません。
次に、「セーフティー緊急融資」の貸付期間と据置期間の延長についてでございます。
県制度融資は、県と各金融機関、信用保証協会などとの連携により融資を実施しております。
特に金利につきましては低利かつ固定の金利を実現しており、これを金利を上昇させずに、7年から10年に延ばすことは難しいものだと考えております。申し訳ありません。
「セーフティー緊急融資」の据置期間につきましては、県内中小企業の厳しい経営環境に鑑み、本年4月27日に、1年から2年へ延長しました。
この融資を実施する際に利用することとなる信用保証制度において上限が2年となっておりますので、これ以上の延長は困難です。
次に、「公営住宅の新規建設や住宅の耐震化への補助など県民生活に密着した公共事業に力を入れるべき」との提案であります。
もうすでに十分やってきております。
平成21年度の緊急経済対策として、民間の戸建て住宅を対象とした住宅ローン負担軽減事業を2千戸の規模で実施したことはご承知のとおりであります。
また、県営住宅につきましても、昨年度より99戸多い536戸の建て替えに着手することにしております。
21年度の工事費は約51億円であり、昨年度に比べ約20%増の予算を確保しています。
建て替えは新たな用地費を必要としないことから、「投資額のすべてがいわゆる真水となって建築事業者の皆さんの仕事確保につながるものでは」と思っています。
さらに6月補正予算で借り上げ県営住宅を40戸追加し、100戸とすることなど経済対策に十分配慮した対応をしているところでございます。
住宅の耐震化への補助についても、市町村に国庫補助金を活用した制度の創設を働き掛けた結果、21年度は新たに9市町増え、28の市町で制度が実施されています。
引き続き、市町村や民間とも連携して、地場の建築事業者の皆さんの仕事確保につながるような取り組みに力を注いでまいります。
なお、県では現在約2万7千戸の住宅を管理していますが、その3分の1が昭和40年代に建設されたもので、建て替えの時期を迎えておりますので、この建て替えを計画的に進めることにより戸数の確保を図っていきたいと考えております。
なお、新たな用地を必要としないため、公営住宅の用地費に対する補助金の復活を国に求める考えはございません。
次に、中小業者の仕事確保についてでありますが、小規模工事希望者登録制度は中小の工事事業者にとって仕事の確保につながるため有効な対策でございます。
県ではこれまで県有施設の小規模修繕については、市町村において実施しているこの制度の名簿を活用して、地元業者に随意契約で優先的に発注しております。
今後もこの制度を活用して、バリアフリー化事業などできる限り事業量を増やしていきたいと考えております。
次に、下請け中小企業などの固定費に対する補助でございます。
下請けの中小製造者につきましては、自動車産業を中心に急激に受注が減少する中で、困難な厳しい状況にございます。
そこで、緊急的な借り換え資金の創設による制度融資の充実や、経営相談、販路開拓など、下請け企業の経営支援に努めているところでございます。
また、企業の負担を軽減しながら雇用を維持するために、雇用調整助成金制度もより活用されるように進めているところでもございます。
お尋ねの企業の生産活動に直接要する費用について、基本的にこれは企業が自ら負担すべきものだと考えておりますので、そうした意味での補助は考えておりません。
A 浅賀康夫産業労働部長
まず、雇用保険の全国延長給付を発動するよう国に求めるべきとのお尋ねについてでございます。
厳しい雇用情勢の中、県内の雇用保険受給者は4万人を超えております。
雇用保険は、最長1年間給付を受けることができることとなっておりますが、この失業給付の期間中に新たな就職先が決まらない方が生じてきております。
こうした中で県としては、既に本年6月と11月に、雇用保険の適用範囲のより一層の拡大等について国に要望したところでございますので、今後も、国の動向を注視してまいりたいと思っております。
次にワンストップサービスについてお答えを申し上げます。
県では、本年3月、緊急求職者サポートセンターを開設し、生活相談から職業紹介までをワンストップで実施しております。
開設から11月末までに7,338人の求職者に利用されております。
お尋ねの11月30日の「ワンストップ・サービス・デイ」は、国の緊急雇用対策の一環として、試みに、ハローワークが行う就職支援と、自治体などが行う生活支援の相談などを1カ所で行ったものでございます。
県内では、埼玉労働局が、大宮駅西口のハローワークプラザ大宮において、県、さいたま市などと連携して開催したものでございます。
現在、国は年内の再度の開催について都道府県や市町村の意向確認をしながら検討しているところでございます。
県といたしましては、今後の国の方針決定を受け、埼玉労働局が実施する「ワンストップ・サービス・デイ」について、市町村の意向も踏まえ、できるだけの協力をしてまいりたいと考えております。
失業者やホームレスの住宅確保対策について
Q 柳下礼子議員
家を失った人々が、やむを得ず第二種社会福祉事業である無料低額宿泊所に駆け込んでいますが、この宿泊所の劣悪な生活環境などが入居者によって告発されています。
新座市にあるFIS新座の入居者の証言によると、一人一人の居室は6畳をベニヤに壁紙を張ったもので二つに仕切り、門限は夜9時、就寝後は外から鍵を掛けられる。
このような施設で、家賃4万7千円含む月々9万2,700円が徴収され、手元には月々1万9千円から2万1千円程度しか残らないとのこと。
生活保護費は現金書留で市から郵送され、施設が先に開封して、残金が手渡される。市から郵送されているはずの明細書は、ただの一度も見たことがない。国の無料低額宿泊施設等のあり方に関する検討チーム第2回会合における証言によりますと、川口市内のSSSという宿泊所の場合、食事は朝晩の2回、部屋は4畳半を二つに仕切ったもの、これで宿泊費4万7,700円で、文句を言えば「出ていけ」とどう喝されます。
これらから、無料低額宿泊所の多くで入居者が悲惨な処遇に置かれていることがうかがわれます。県は、これまでも年に1回、施設の立ち入り調査を行っているということですが、このような人権も守られていない状態が、なぜあちこちで放置されているのでしょうか。
現在、国では、あまりにひどい実態に法整備などを検討していると聞いておりますが、国としてこの種の宿泊所の最低基準を定め監視できるよう、法整備を国に要望していただきたい。
以上2点について、福祉部長よりお答えください。
ところで、こうした施設入居者に対して自治体や県福祉事務所のケースワーカーが定期的に訪問を行っています。それにもかかわらず、このような事態が放置されています。
先の新座の例をとると、宿泊所を出てアパートに引っ越したいという入居者の訴えに対し、ケースワーカーは、敷金、礼金をためなさいと指導しています。転居費用は生活保護費から支給されるはずですが、そうした情報を提供していないのです。結果として、入居者は無料低額宿泊所を出ることができず、長期にわたってとどまらざるを得なくなりました。川口の入居者も同様に転居できずにいたようです。
そこで、福祉部長にお伺いしますが、転居指導を行わない事例が多数あるのではありませんか。直ちに入居者の意向調査などを実施して実態を把握し、福祉事務所等への指導を徹底していただきたいと考えます。
A 武島裕福祉部長
まず、「県は宿泊所の立ち入り調査を行っているが、人権も守られていない状態がなぜあちこちで放置されているのか」についてでございます。
県内には、本年10月末現在、無料低額宿泊所が35カ所、約2,000人が入居しております。
県では、入居者の処遇の確保と運営の適正化を図るため、平成14年度に、防火設備、居室面積などの設置基準、食事や入浴に係る運営基準などに関する独自のガイドラインを定めました。
さらに、平成21年2月には、不適切な金銭の預かりが行われたことを踏まえ、金銭管理に関する規定も新たに盛り込んだところでございます。
このガイドラインに基づいて、県所管のすべての宿泊所に対して、市の福祉事務所とともに、年1回、訪問指導を行っております。
平成20年度の指導結果につきましては、設備面での指摘事項はございませんでしたが、運営面では、文書による同意がない金銭預かりが3施設、入居契約書の不交付が9施設でみられたことから、改善指導を行い、是正させております。
このほかにも、入居者から苦情を受けて、直ちに市の福祉事務所とともに宿泊所に立ち入って、実態を把握した上、改善指導も行っております。
今後も、宿泊所の適正な運営が図られ、入居者の人権が守られるよう、引き続き、厳しく指導してまいります。
次に、「宿泊所の最低基準を定め、監視できるよう法整備を国に要望すること」についてでございます。
宿泊所に対しては、ガイドラインに基づき、県としてでき得る限りの行政指導を実施しておりますが、強制力のない行政指導には一定の限界がございます。
このため、国に対して、平成17年度から毎年、届出制から事前の許可制とするなどの法整備を求めているところでございますが、引き続き、強く要望してまいります。
次に、「宿泊所からの転居について福祉事務所等への指導を徹底すること」についてでございます。
宿泊所の入居者に対しましては、ケースワーカーが定期的に訪問した際に、アパートへの転居の申し出に応じて、自立して生活できる状態にある入居者に対しましては、適切に転居を支援するよう、引き続き、福祉事務所に対して、指導を徹底してまいります。
子どもの学習権の保障と県立高等学校の統廃合問題について
Q 柳下礼子議員
今、県民の中で格差と貧困が広がっています。生活保護世帯数はこの15年間で約3倍、貯蓄ゼロ世帯も10年間で2.4倍となっています。
私は、10月にさいたま市内で開かれた子どもの貧困をテーマとしたシンポジウムに参加しました。そこでは、修学旅行のお小遣い1万円すら厳しいという中学生が報告に立ち、保育所に入所できなかった弟の面倒を見て学校にも行けず、勉強についていけなくて困ったと語りました。
教職員組合が行った高校生の実態調査では、昼食時間に弁当を用意できず図書館で時間をつぶす生徒、先生から授業料の滞納の話をされると翌日学校を休む生徒など、高校生の生活を取り巻く厳しい家庭環境が浮き彫りにされています。貧困に苦しむ児童生徒は、もはや、ごく少数の特別な存在ではなくなっているのです。
そこで、知事にお伺いしますが、こういった子どもたちが県内でも多数生まれている状況をどうお考えになりますか。
民主党の鳩山内閣は、公立高校の授業料無償化、私立高校への年額12万円ないし24万円の授業料補助を実施する方針です。これは歓迎すべきことですが、私立高校に通う生徒には依然として重い負担が残ります。また、公立高校も授業料は免除になっても、たくさんの負担が残ります。
そこで伺いますが、授業料の無償制度が実施された場合、今年度約11億3千万円を予算計上している県立高校授業料減免制度については、どのような扱いをするつもりですか。また、私立学校父母負担軽減補助については見直す考えはありますか。
私は、県立高校授業料減免制度の金額を私立学校の父母負担軽減に回して、補助対象者の拡大と低所得者の父母負担を実質無償にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、県の奨学金制度ですが、授業料が無償になっても、制服代や部活動費など保護者の負担はなくなりません。そこで、低所得世帯向けの給付型奨学金を創設すべきと考えますが、以上、知事よりお答えください。
教育局は、11月5日、県立高等学校の後期再編整備計画案を公表いたしました。今回の再編整備計画案では、全日制で事実上6校、定時制で5校をそれぞれ廃校にし、全日制を廃止する吉川高校については、昼夜間二部制の定時制課程に再編するとしています。
この統廃合計画案に対しては、吉川市やふじみ野市の市議会が反対の意見書を採択するなど、各地で反対の声が上がっています。吉川市からは、戸張市長をはじめ3万4,500人余の署名を添えて、廃止の再考を求める請願を提出されたということですが、県はこうした地元自治体や住民の声をどう受け止めていますか。地元の意向を尊重して、計画案の見直しも含めて対応する考えはありますか。知事ならびに教育長の見解を求めます。
次に、教育長に伺います。
まず、県教育局は、後期再編整備計画案を策定するに当たって、前期および中期再編整備計画の実施によって高校教育の活性化の上でどのような成果が上がったのか検証されているのですか。検証されていれば、その結果について明らかにしてください。また、後期整備計画案で名前が挙がっている全日制6校、定時制5校を廃校の対象にした理由や基準について明らかにしてください。
これまで県が行ってきた県立高校の統廃合によって、公立高校志願者の増加と相まって、今年度の入学者選抜では夜間定時制高校で35名の不合格者が出ています。公立高校を受けたくとも、やむなく私立高校を受験した生徒も少なくないと思います。
今度の後期計画案が実施されれば、廃校によって押し出された子どもたちが高校進学をあきらめたり、全日制を取りやめた生徒が夜間定時制に集中することも当然予想されるわけで、夜間定時制でさらに多くの不合格者を出すことになりかねません。夜間定時制は、さまざまな問題を抱えた子どもの最後のとりでです。そこからも排除される子どもたちが出ても仕方ないと教育長はお考えなのですか、お答えください。
民主党の鳩山政権は、高校授業料の無償化を打ち出していますが、せっかく授業料が無料化になっても、高校に進学できない子どもたちが出るような状況は、何としても避けなければならないと考えます。県立高校再編整備の後期計画案については、これらの状況も踏まえて撤回すべきと考えますが、併せて教育長よりお答えください。
A 上田清司知事
現在の厳しい経済情勢を見ても、格差が広がっていると私も認識をしておりますし、統計上も明らかであります。
全ての格差を否定することはできませんが、大切なことは、あらゆる人にいつでも、どこでも、誰でも、何度でもチャンスがある、そういう社会を作ることだと、私は思っております。
親の所得によって、修学意欲のある子供たちの教育機会が制約されることが、あってはならない。
従って、そのために本県では、私立高校生の保護者の負担を軽減するため、年間所得に応じて年額2万5千円から36万円を交付する父母負担軽減事業補助制度を実施しておるところでございます。
また、低所得者世帯の生徒の教育機会を確保する観点から、失業等の家計急変世帯などには授業料全額相当額の36万円を補助しています。
さらに、国公立高校は月額2万5千円、私立高校は月額4万円の全国トップレベルの奨学金も実施しており、これらを合わせるとかなり手厚い制度になっております。
一方、国では高校を実質無償化するため、文部科学省が「高等学校等就学支援金」など関連予算を概算要求しております。
この制度設計によっては、県立学校の減免制度や私立学校父母負担軽減事業補助制度に影響があります。
また、低所得世帯向けの給付型奨学金の創設についても、国の概算要求に盛り込まれております。
概算要求では、支給例として、年収350万円以下の世帯の生徒に対して、一定額を支給することが想定されています。
しかし、「高校の実質無償化」や「給付型奨学金」については、あくまで概算要求の段階での話でございます。
従いまして、国の動向を注視しながら、制度の詳細がより具体化した段階で、その時点で対応するしかないというのが、今の認識でございます。
次に、「県立高等学校の後期再編整備計画」についてでございます。
今、案の段階でありますが、県立高等学校の再編整備は、新しい時代に対応した魅力ある学校をつくり、県全体の教育環境を整えることを目的に計画的に進めているものでございます。
再編整備の対象校にはそれぞれの伝統があり、地域の皆さんとともに歴史を刻んできております。
私も学校の存続を願う地元自治体や住民の方々のお気持ちが理解できないわけではございません。
これまでも再編統合において、常に当初の段階では、地元において反対の声が大きいものでございました。
しかしながら、最終的には地元の皆様も大局的な見地からご理解をいただいてきたという経過がございます。
県立高等学校の再編整備は教育委員会の所管でございますが、このような計画の策定に当たっては、関係者の方々に十分に説明をし、そのご意見をお聞きしながら、しっかりと進めることが重要であります。
その上で教育委員会には、時代のニーズをしっかり把握し、全県的な視点に立って最善の計画を決定していただきたいと思っております。
A 島村和男教育長
まず、「『県立高等学校の後期再編整備計画(案)』への地元自治体や住民の声への対応について」でございます。
県教育委員会では、生徒数の減少をはじめとして、多様化する教育ニーズに対応するため、平成11年度から25年度までを計画期間とし、「21世紀いきいきハイスクール構想」を策定いたしました。
この計画の具体的な施策を示す推進計画は、これまで5年ごとに前期、中期と進めてまいりましたが、昨年度、後期の推進計画を策定いたしました。
11月5日に公表した後期再編整備計画案は、この推進計画に基づいて今年度検討したもので、案の公表後は計画の趣旨をご理解いただけるよう、地元関係者などを対象とする説明会を行い、ご意見をいただきました。
さらに、11月6日から12月6日までの期間において、県民コメントを実施したところでございます。
こうしたご意見とともに、地元自治体からいただいた要望等も、しっかりと受け止めさせていただきます。
今後、これらのご意見等を十分に参考にさせていただきながら、再編整備計画を策定してまいりたいと考えております。
次に、「前期、中期再編整備計画の検証について」でございます。
これまで再編整備計画によって開校した学校につきましては、継続的に状況の把握に努めております。
この結果によりますと、学校生活などについて生徒の満足度は全般的に高く、進路状況も良好であることなど、成果を上げております。
また、昼夜開講定時制独立校においても、中学校で不登校を経験した生徒の多くが学校に通えるようになったことなどの成果を上げております。
次に、「再編整備の対象校を選んだ理由や基準は何か」についてでございますが、昨年度策定した後期推進計画において、再編整備の方針について定めたところでございます。
この方針の中で、「生徒募集が困難な状況である」こと、「適正な学校規模を維持することが困難である」ことなど、再編整備を検討する条件等を示しております。
この方針に基づき、中学校卒業者数の動向や生徒募集の状況、特色ある学校のバランス良い配置などを総合的に勘案し、教育委員会での協議を経て、再編整備計画案をまとめたものでございます。
次に、「夜間定時制課程から排除される子どもが出ても仕方ないと考えているのか」についてでございます。
定時制の課程においては、従来からの勤労青少年に加え、不登校や中途退学を経験した者など、多様な学習歴を持つ生徒が増えております。
こうした新しいニーズに応えるため、再編整備計画により定時制教育の核となる昼夜開講定時制独立校を、これまで本県の南部、西部に設置し、来年度には北部地域に開校することとしております。
今回の後期再編整備計画案では、夜間定時制課程の配置バランスに考慮しながら、東部地域に昼夜開講定時制独立校を設置することとしております。
これにより、東部地域における定時制課程への就学の機会を確保できるものと考えております。
次に、「再編整備計画案は撤回すべきと考えるがどうか」についてでございますが、生徒数の減少や多様化するニーズに対応し、県立高校の活性化、特色化を図り、新しい時代に対応した魅力ある学校とするために、県立高校の再編整備を着実に推進してまいりたいと考えております。
所沢保健所の廃止を凍結し、改めて所沢市と協議を
Q 柳下礼子議員
私は、2月県議会の予算特別委員会で、そのやり方が拙速だと指摘させていただきました。にもかかわらず条例改正が可決されてしまいました。
その後も所沢市民から3万7千筆の署名が提出されたように、所沢市民は保健所廃止に納得していません。
知事は2月の予算特別委員会で、一般的には30万人の都市は自前のものを持っていると私にお答えになりました。しかし、自前の保健所を持つということは、半年やそこらでできることではありません。中核市の川越市も4年間ほど時間をかけて、県と市が丁寧に協議を重ねながら、県の人的な支援も受けて保健所を立ち上げたとのことです。
しかし、今回は半年前に突如移転計画が知らされ、あとは市長や市議会が意見を上げても、市民や関係団体から署名が提出されても聞く耳を持たない。これでは、あまりに地元軽視で、市との関係でも信義にもとるやり方ではないでしょうか。
所沢市が自前の保健所を持てるように、なぜ協議をされなかったのですか。そして、自前の保健所ができるまでの間、保健所を存続して、所沢市民には一切の不自由はかけないというやり方がどうしてできなかったのですか。知事、お答えください。
ところで、保健医療部長は、仮に所沢保健所がなくなっても所沢市民には一切不便をお掛けしないと私におっしゃっていました。そこで、保健医療部長にお聞きします。
所沢市では、「障害や難病をお持ちのお子さんなどの公費負担医療の新規申請の受け付けを所沢市に出張してやってほしい」と要望していますが、県に伺ったところ、「新規申請の方はいつ来るか分からないからできない。狭山へ行ってほしい」ということなんです。これでは、一番苦労されている方々が保健所廃止の影響を被ることになるのではありませんか。
市からの要望は全面的に受け止めるべきであります。さもなければ、所沢保健所の廃止は撤回していただきたい。
A 上田清司知事
このたびの保健所の再編は、新しい保健医療圏に合わせて、各保健所の所管区域や位置を見直したものでございます。
昨年10月に、関係する市や町、関係団体に、保健所再編の概要をご提案いたしました。
それ以降、再編に伴う住民サービスや関係団体の活動に支障が生じないように対応策について、協議を重ねてまいりました。
その結果、所沢市を含めて関係者のおおむねのご理解はいただけたものと報告を受けております。
2月定例会での私の答弁は、中核市制度の主旨を踏まえてお答えを申し上げたものでございます。
今後、所沢市から保健所設置に向けての自発的な申し出をいただければ、県といたしましても最大限の支援をさせていただきます。
A 石田義明保健医療部長
保健所の狭山市への移転に伴う市民への保健医療サービスの低下を招かないでほしいとの所沢市からの要望を受け、現在、所沢市と調整を重ねております。
その結果、公費負担医療の継続申請など、件数が多く、申請者の健康状態への配慮が強く求められる業務につきましては、保健所職員が定期的に市の庁舎などに出向いて受け付けを行うこととなりました。
お尋ねの新規申請につきましても、所沢市内での受け付けが可能となるよう引き続き調整してまいります。
小児初期救急医療体制の整備について
Q 柳下礼子議員
新型インフルエンザ患者の9割が20歳未満だということです。小児科医の高齢化や不足が問題になっているところにインフルエンザの大流行で、第一線の医師は多忙を極めています。タミフルやリレンザの初期投与に効果があるという報道が行き渡っており、連休には休日診療所にも患者が集中しています。
私の住む所沢の市民医療センターでも、休日に500人もの子供が押し寄せて、患者は5時間待ち、当番医はへとへとという状況も生まれました。これから年末年始にかけては、休日診療所への患者の集中が予想されます。
そこで、県として、各保健所が地域の医師会や市町村と連絡を密にしながら、年末年始の休日夜間診療所の体制を開業医と勤務医が協力し合って強化できるよう対策を講じていただきたい。
また、重症化事例を想定して、元旦や2日も含め、年末年始の搬送先を確保していただきたいと思いますが、以上2点について、保健医療部長よりお答えください。
所沢市市民医療センターは、近年、小児初期救急医療体制強化のために大いに努力しています。小児科医師を確保し、地元医師会の協力も得て、24時間小児初期救急医療を週4日間実現しました。これによって、新型インフルエンザの大流行という状況下で、輪番病院の埋まっていないこの圏域の二次救急医療がどれほど助かっているでしょうか。
私は、かねてから24時間の初期救急医療にも県の支援をと主張してまいりましたが、ここで改めて、所沢市市民医療センターなど市町村の初期救急医療への支援を行うよう求めるものですが、併せて保健医療部長よりお答えください。
A 石田義明保健医療部長
まず、年末年始の診療体制ですが、新型インフルエンザの流行に伴い、診療体制が薄くなる年末年始の混乱が懸念されます。
このため、年末年始に診療を行う休日夜間急患センターや在宅当番医の時間延長やスタッフの強化などが必要と考えます。
そこで県といたしましても、体制強化に必要な財政支援も用意し、12月4日付けで各市町村と医師会に初期救急医療体制の充実を要請いたしました。
次に、重症患者につきましては、原則として2次輪番病院や救命救急センターにおいて、受け入れることになります。
本県における新型インフルエンザの入院患者は、12月9日までで291人となっておりますが、いずれも適切な入院治療が提供されております。
年末年始におきましても、引き続き適切な入院治療が行われるよう、公的病院や各地域の拠点病院に働き掛けてまいります。
次に、初期救急医療への支援についてでございます。
救急医療体制充実のためには、2次救急、3次救急だけでなく、その基盤となる初期救急医療体制の整備、充実が不可欠でございます。
初期救急医療体制充実のためには、医師などの医療人材の確保をはじめ、開業医の協力が不可欠でございます。
まずは市町村が主体となって、初期救急の充実に努めることが重要でございます。
県といたしましては、開業医による支援の拡大を図ることなど、必要な支援を検討してまいります。
子どもの健やかな成長のために、待機児童解消と保育環境の改善を
Q 柳下礼子議員
今日の厳しい経済情勢を反映して女性の就労希望が増え続け、保育所の待機児童が激増しています。4月1日段階の待機児童数は、全県で1,509人と公表されていましたが、10月1日段階では、2,684人に千人以上も膨れ上がっています。
来年度の保育所開設予定は32カ所、1,400人分と聞いていますが、これでは待機児童の解消にはまだ追いつきません。
保育所増設の障害の第一は、公立保育所に対する建設費も運営費も補助が一般財源化できなくなったために、公立保育所が増設されなくなったこと。第二の理由は、民間保育所向けの安心こども基金で建設の補助は拡充されたものの、土地取得のための補助がなく、社会福祉法人の力だけでは自己資金を確保できないこと。この二つの問題があります。
そこで、知事に伺いますが、国に対して公立保育所への補助を復活し、待機児童解消対策を公立保育所で行えるようにすること、安心こども基金の中に土地取得の補助や土地賃貸料の補助の項目を加えること、この二点を要望していただきたい。
また、県が独自にできる対策として、待機児童数の多い自治体に対して県有地などを無償あるいは安価で貸与するなど、遊休地や遊休施設を有効に利用するべく検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。
ところで、国では都市部の増え続ける待機児童対策のために、施設の水準を落として施設数を確保しようという動きがあります。地方分権改革推進委員会の勧告を受け、政府は、東京都など一部地域で、全国一律となっている認可保育所の設置基準を独自に定めてよいとする方針を明らかにしました。
認可保育所の設置基準は、戦後間もない1948年に定められたもので、2歳児の場合、子ども6人と保育士1人に7畳の広さでよいとする非常に劣悪な水準です。このような最低限の水準をさらに緩和し、地方任せにするということは、子どもの成長、発達の権利を脅かし、保育の質の低下を国が公認するようなものではありませんか。
そこで、福祉部長に伺いますが、現在、東京等となっている適用地域の中に埼玉県の自治体は含まれているのでしょうか。また、このような規制緩和は撤回するよう国に要望していただきたいと考えますが、お答えください。
A 上田清司知事
まず、現在「東京等」となっている適用地域の中に埼玉県の自治体は含まれているのかについてでございます。
保育所の最低基準につきましては、現在、児童福祉法により全国一律に定められております。
今回、厚生労働省が面積基準について、東京など「一部の地域」に限り、地方自治体の裁量で定められるとする対応方針を示しております。
しかし、この「一部の地域」に関し、東京以外の自治体名は明らかにされておりません。
次に、このような規制緩和を撤回するよう国に要望することについてでございます。
現時点では、規制緩和の内容について正式に国から通知や説明はなく、埼玉県が適用地域に該当するかどうかも分からないことから、まずは情報収集に努めてまいります。
A 武島裕福祉部長
まず、公立保育所への補助についてでございます。
公立保育所については、運営費は平成16年度から、施設整備費は平成18年度から税源移譲と地方交付税対応により一般財源化されたところでございます。
これは、市町村が自ら責任を持って保育を実施するという考え方から、一般財源化されておりますので、公立保育所への補助の復活は難しいものと考えております。
次に、安心こども基金において土地の取得費や賃借料を補助対象とすることについてでございます。
安心こども基金では、お話のように土地の取得費や賃借料は補助の対象外になっています。
国の見解では、土地の価格が全国一律でないこと、補助制度になじまないことによるものだと聞いております。
また、土地取得への補助については、法人の恒久的な財産の形成につながりますので、好ましくないと考えています。
さらに、安心こども基金は、平成22年度までの期間限定でありますので、土地を購入したり賃借をしてから施設を整備し、完了させることは難しいのではないかという状況でございます。
従いまして、現段階での要望は難しいと考えます。
次に、県の遊休地や遊休施設を有効に利用するべく検討することについてでございます。
まずは、保育の実施主体であります市町村が、自己の所有している遊休地や遊休施設を有効活用するのが第一ではないでしょうか。
県とすれば、市町村から相談があれば、その時点で考えるべきだと思っておりますので、まずは、市町村が実行することだと考えます。
男女共同参画社会の実現へ県は更なる努力を
Q 柳下礼子議員
国の男女共同参画基本法が施行されて今年で10年、県の条例制定から9年8カ月、男女の共同参画は緩やかに前進しているとはいえ、国際的水準で見れば、依然重大な遅れがあります。
GEM、これは女性が積極的に経済活動や政治活動に参加し、意思決定に参画しているかをはかる指標ですが、109カ国の中で57位と、経済的に発展した国の中で著しく立ち遅れています。
職業分野を見れば、男女の賃金格差は、一般職で女性は男性の7割にとどまり、特に女性の半数を占めている非正規労働者の場合、男性一般職の5割程度。家庭では、妻がフルタイムで就労している場合でも、75パーセントの家庭で家事のほとんどが妻の方に委ねられています。
近年の特徴では、貧困が女性に重くのしかかってきていることです。母子世帯数は年々増加し、全国で75万を超えていますが、その年間就労収入は100万円未満が約3割、200万円未満も加えると7割と、父子世帯の2割弱に対して母子家庭の貧困は深刻です。解消されない男女の格差に対して、国連女性差別撤廃委員会は、勧告の中で日本政府を批判し、女性差別撤廃条約の完全実施に基づく差別の是正を強く求めています。
そこで、知事に伺いますが、こうした日本の状況を改善するためにも、全国で最初に男女共同参画推進条例を策定した本県が、男女差別解消や男女共同参画社会の意義の啓発普及において、全国の先頭に立つべきと考えますが、いかがでしょうか。
さて、この取り組みを担う中核施設として、本県では埼玉県男女共同参画推進センター「ウィズユーさいたま」があります。私も、先日視察させていただきました。
2万7千点に及ぶ女性問題の貴重な資料、書籍の収集や多様な保育付き講座が実施されています。経済的に困難な女性の就労支援のためのパソコン講座は大人気で、定員の2倍以上の応募があるそうです。
また、センターにはさまざまな相談が寄せられています。専任の相談員が対応し、弁護士、医師等による専門相談も行っています。相談員8人体制で、年間5,400件余りの相談に対応しています。かなり充実した取り組みとなっているようですが、残念ながら8人の相談員が全員非常勤です。相談業務には専門性が求められるので、すべての方が非常勤では継続性の保障がありません。相談員の常勤化を検討していただきたいのですが、県民生活部長に伺います。
男女共同参画の推進に当たっては、広範なNPOや女性団体との連携が欠かせません。埼玉県男女共同参画推進条例も、多数の女性団体の協力の中で全国に先駆けて成立いたしました。そういう経緯からも、女性団体との連携や協力など大いに重視していただきたいと考えます。例えば、ウィズユーさいたまで定期的に県内の重立った女性団体との懇談会を開くなどご検討いただきたいのですが、併せて県民生活部長よりお答えください。
A 上田清司知事
本年7月には国連の女子差別撤廃委員会において、日本の女性の地位向上や男女共同参画の取り組みが十分には進んでいないことを指摘されております。
私も国際的レベルから見ると、給与格差や企業での管理職の割合など、女性の社会参画は、まだ十分とは言えない状況にあるという思いを持っております。
男女共同参画社会とは、男女がその個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野に対等に参画できることであります。
私は2期目の公約で、「女性のチャレンジ支援」を掲げ、女性のライフステージに応じたさまざまなチャレンジをする支援をウィズユーさいたまを活用して実施しております。
特に、今日の女性の子育てや雇用を取り巻く環境は厳しく、女性の自立を一層困難にしております。
そこで、子育て期の女性の就業率を表す、いわゆるM字カーブの解消のため昨年5月、女性キャリアセンターをウィズユーさいたまの中に開設をいたしました。
一方、男女共同参画の意義を市町村や企業に伝え、地域社会への意識啓発を図ることが必要であります。すでに、県内66の市町村で男女共同参画に関する計画を策定済みであります。引き続き全市町村で策定されるように働き掛けていくつもりでございます。
また、企業のご協力をいただきながら、子育て支援に向けた各種事業の充実を図ってまいりました。
とりわけ、ワークライフバランスの推進、子育て応援宣言の拡充、パパ・ママ応援ショップ事業については、埼玉県が8都県市をリードしてきたと私は自負しているところでございますので、これからも施策を積極的に実施して、さまざまな分野で女性の社会進出を支援し、男女共同参画社会の実現に努めていきたいと考えております。
A 後閑博県民生活部長
まず、相談員の常勤化についてでございます。
ウィズユーさいたまでは、8名の非常勤の相談員が交代で休日や祝日を除いた毎日、10時から夜の9時まで相談に当たっております。
相談内容は多岐にわたっており、相談員には幅広い知識とともに、カウンセリングや助言などの相談技術が求められ、高い専門性が要求されます。
また、勤務体系が1日2交代制の変則勤務ということもあり、むしろ非常勤のほうがふさわしく、常勤の職員では難しいと考えます。
次に、女性団体との懇談会についてでございます。
ウィズユーさいたまでは、実施事業や運営などについて、団体や利用者からご意見やご要望をお伺いする「利用者懇談会」を毎年、定期的に開催しております。
さらに、男女共同参画に関する県の事業についての説明会も毎年、実施しております。
今後とも、女性団体のみならず利用者を含めた県民の皆様からのご意見、ご要望を踏まえまして、連携や協力の拡大を図ってまいります。
八ッ場ダム建設の中止について
Q 柳下礼子議員
八ッ場ダム建設について、わが党は早くから一貫して無駄と環境破壊の計画であるとして、市民団体と協働しながら、国会や県議会の中でもその中止を求めてまいりました。知事は、あくまでもダム建設を推進する立場ですが、わが党は、改めてその中止を求めるものです。
まず、利水上の必要性についてです。
知事は、先の9月議会での答弁でも、県営水道の水利権のうち、約3割が八ッ場ダム建設を前提とする暫定水利権であることを理由に、建設の必要性を強調されておりますが、本県は、農業用水合理化事業にこれまで総額2,160億円、企業局だけでも903億円に上る多額の事業費を投入して、八ッ場ダム建設で得る水利権量を上回る都市用水を開発しています。
知事は、8日の浅野目議員の質問に対して、冬場でも平成8年と9年に渇水が生じていることなどを挙げ、「暫定水利権を安定水利権に振り替えただけでは、利根川の水の供給能力の向上にはつながらない。渇水対策としては改善されないのではないかと思っている」と答弁されましたが、冬場で渇水が起きたのは、過去20年間でこの2回だけです。取水制限率10パーセント、家庭にはほとんど影響の出ない程度のものでした。
知事も平成16年2月県議会で、農業用水の転換水を安定水利権として国に認めさせるべきだというわが党議員の質問に対し、「各都道府県は要望してきたが、河川管理の一元的な管理権を持つ国が、この点については全く微動もしない硬い態度でいる、どうにもならないという状況だ」という趣旨の答弁をされているわけですから、ダム建設に固執するのではなく、水利権の見直しを国に迫るというのが、県として、まず取るべき態度ではないですか、お答えください。
なお、県は、上田県政になってから2003年と2007年の二度にわたって水需給見通しを見直し、2015年時点の水需要を2割以上も下方修正しています。この削減量は、水源計画で予定している非かんがい期における八ッ場ダムからの取水量にほぼ匹敵するものであります。
私は、2007年の見直しでもまだ甘いと考えます。なぜなら、過去10年間における本県の一日最大給水量は、渇水があった2001年の日量最大292万7千トンをピークに年々下降線をたどり、2007年度には271万5千トンにまで落ち込んでいるからです。2015年には、本県の人口が現在より減ることが確実な情勢の中で、なぜ一日最大284万トンもの水需要を見込まなければいけないのでしょうか。
八ッ場ダムについては、利水上もその必要性が薄れていると考えざるを得ません。八ッ場ダムの建設を継続するよりは、節水型の社会をつくることに施策の重点を移すべきではありませんか。知事の見解を求めます。
次に、治水上の問題についてです。
11月27日付けの東京新聞に、「『八ッ場』前提崩壊」、「最大流量は過大」という見開きの記事が掲載されました。知事はご覧になったでしょうか。
この内容は、昨年12月議会でわが党の山川議員が取り上げた質問とほぼ同じ内容かと思います。このときの質問で山川議員は、住民訴訟原告団が情報公開で入手した利根川浸水想定区域図の試算資料と、利根川水系河川整備基本方針との矛盾をただしました。これに対し知事は、「毎秒1万6,750立方メートルと毎秒2万2千立方メートルという二つの流量は、八斗島より上流の治水施設の状況が現状と将来と異なる前提で算出されている、群馬県が埼玉県のために水浸しになって犠牲になるという前提で初めて成り立つ議論だ」とお答えになりました。
そこで、知事に伺いますが、利根川水系河川整備基本方針に掲げた毎秒2万2,000立方メートルという流量は、知事が答弁されたように、八斗島地点より上流の河川について、将来的な河道の断面等を想定し、それらが完成した時点で200年に一度の雨が降った場合八斗島に流れてくる流量という認識で間違いないのか、改めて確認をいたします。
A 上田清司知事
まず、水利権の見直しについてでございます。
ダムなどによる水源を確保しないまま、暫定水利権から安定水利権に代わるだけでは、利根川の水の供給能力の向上につながらず、渇水対策に役に立たないものだと考えていることは既にご承知のとおりでございます。
また、ダムなどの水資源開発施設の裏付けがなく安定水利権を認めるためには、これまでの費用負担を行い、水源を確保し、安定水利権を得てきた利水者との公平性の関係から調整の問題があると考えます。
こうしたことから、水利権の見直しは、現実的には困難ではないかと考えております。
次に、八ッ場ダムの建設を継続するよりは、節水型社会をつくることに施策の重点を移すことについてでございますが、県では「埼玉県長期水需給の見通し」を策定して水道水の需要を予測し、安定水源の確保に努めております。
この長期水需給の見通しは、「ゆとりとチャンスの埼玉プラン」において、将来人口を下方修正したことや国の水資源開発基本計画の改訂状況を踏まえて、平成19年12月に見直しを行いました。
見直しに当たっては、昼間人口や本県の開発動向などを考慮し、全国的に一般的な基準等を用いて適切に算出しております。
当然ながら、県民生活に直結する水の確保に関することであるため、過去10年間の統計データにより一定の安全度を確保するようにして、1日最大給水量を算出しております。これは危機管理でございますので、そのようにしております。
その結果、長期水需給の見通しにおける水道水の需要は、人口の減少や節水機器の普及を見込んでも、目標年次である平成27年度において、一日当たり284万立方メートルが見込まれております。
現在、県営水道では水利権を取得し、市町村水道を通じて県民の皆様に水道水を供給しております。
県営水道全体の水利権のうち、八ッ場ダムの完成を前提とする暫定水利権は、約3割を占め、県民約160万人分に相当する水量でございます。
このため、県の水資源施策の優先度としては、八ッ場ダムの完成による安定水源の確保が第一だと考えております。
次に、利根川水系河川整備基本方針に掲げた毎秒22,000立方メートルという流量は「八斗島地点より上流の河川について将来的な河道の断面等を想定し、それらが完成した時点で200年に一度の雨が降った場合、八斗島に流れてくる流量」についてでございますが、柳下議員の認識のとおり間違いございません。以上です。
Q 再質問 柳下礼子議員
一つは、水利権の問題です。
水利権の問題で、知事はお答えの中で、ダム等による水源を確保しないまま暫定水利権を安定水利権に変えるという点では、利根川の水の供給能力の向上につながらないという、そういう考えに立っているのかと思いますけれども、公平性の観点から、暫定水利権を安定にするということもなかなか難しいというふうなお考えのお話がありましたけれども、そこでお伺いしますけれども、江戸川を含む利根川の農業用水と工業用水と水道用水の水利権を合計しますと、夏場のかんがい期は毎秒262立方メートルです。これに対して、冬場の非かんがい期は毎秒76立方メートルということで、夏場の約3割に減少しているわけなんですね。これは農業用水の取水量が激減するからです、ご存じだと思いますけれども。
国交省がダム建設への参入を前提に、非かんがい期、冬場における暫定水利権を認めているのは、冬場は農業用水の取水量の減少によって利根川の水利用の面で余裕があるからではないでしょうか。渇水が起きた当時に比べて、今はもう水は余っています。水道用水の供給量も減って、それに加えて冬場というのは、夏場に比べてさらに水道水の需要も減ることを考えると、これ以上利根川の水の供給量を増やすためのダム建設は必要でないというふうに考えます。
それからもう一つ、二つ目の問題として、治水の問題です。
再度知事にお伺いしますけれども、八斗島の基本高水流量、これが2万2,000立方メートル。これはどういうことかというと、八斗島の上流部の将来的な河道の断面を想定して、それが完成した場合の流量だとしますと、八斗島上流部で数キロメートルにわたる河川の改修、遊水地などの計画が必要ですけれども、その計画があるというふうにつかんでいるのかどうなのか。
私たち共産党が国とか群馬県に問い合わせた結果では、ないというふうに伺っているんですね。ですから、2万2,000が八斗島に流れてくるということは、それだけの流量があるということは、それだけのね、5,000からをカットするか、あるいは水で流しちゃうかと。
あそこのところは、ご存じのように、吾妻渓谷は私もしょっちゅう行っている、群馬県出身ですからよく分かっていますけれども、吾妻渓谷そのものがダムの役割も果たしているわけなんですね。それで、上流については河岸段丘になっておりますから、5千もあふれた、そういうふうな実績というのはどこにも残っていないんです。ですから、前に山川議員の質問に対して、下流のために群馬県が水浸しになっちゃうというふうな答弁をされたと思いますけれども、それはないんですね。
この点、以上二点について、私の認識に間違いないというふうに答えたので、お願いしたいというふうに思います。
A 上田清司知事
まず、後段部分が皆さん分かりづらかったと思いますので、こちらの方からお答えします。
実は、国に問い合わせても返事がないとか、群馬県からないという話かもしれませんが、河川整備基本方針を策定する時には、社会資本整備審議会に意見を聞かなければならないことに河川法に定められております。
そこで、利根川水系河川整備基本方針の策定計画の過程においても、この審議会からの意見を聞くのですが、当然この審議会のもとに設置されている河川整備基本方針検討小委員会には、群馬県の知事が委員として入っています。
その上で、この八斗島の流量毎秒22,000立方メートルが、八斗島の上流の将来の河川改修をすることを前提にして、国から説明を受けて、それに群馬県知事も基本的に同意をしているわけです。
その上で将来河川を改修しようという意思をはっきり持っているのです。綿密な計画はできていませんが、改修しようという意思はできているのです。
にもかかわらず、埼玉県が改修しないことを前提に流量を少なくしたら、群馬県だけが水浸しになれという話ですから、そいうことは埼玉県としてはできないわけです。
当然、群馬県だって将来、河川改修をしながら水が溢れないような体系を作るというのが前提となっていますから、その上で私たちは、きちっと毎秒22,000立方メートルが、将来的に河川改修がされるので流れてくるということを前提に私たちもその整備をするという考え方に立っているということをしっかりご理解していただきたいと思います。
それから、冬水は余っているのではないか、だから、利根川に余裕があるので、ダムを造らなくとも、そんなに心配しなくてもよいのではないかというご質問ですが、ご承知のとおり、今年の9月、普通は秋の長雨というくらいに年間を通じて一番雨が多かったのですが、宇都宮、前橋は113年間、観測史上の中で降水量が一番少なかった。埼玉県の熊谷市も2番目に少なかった。こういう事態も起きていますし、冬水は決して余っておりません。
従いまして、東京葛西用水が流れております草加市の市内に入っていきますとドロドロになりますので、埼玉県としては川の再生事業を展開していますから、わざわざ、井上直子議員が理事長を務めていらっしゃいます葛西用水の水を少しでも流してほしいということで、ある意味では内部留保が必要なのですが、わざわざ少し水を流していただいているくらいに状況としては、冬水は余っていないのです。
山は雪になりますし、川の流水量は減るのです。そしてその間にダムを通じて貯水した水を放水して、河川の正常な機能を維持しているのです。
一年中同じ量の雨が降るのであれば、水利用の面で余裕ができるでしょうが、現実にはそうではないのです。そいうことであれば、スパッと物事を割り切る前原国土交通大臣がとっくの昔に言っているはずです。簡単だったら、安定水利権に変えます、これでOKですと答えていますよ。それができないので、彼は今苦しんでいるのではないですか。
Q 再々質問 柳下礼子議員
利根川水系の河川整備方針では、基本高水流量の毎秒2万2千立方メートルのうち、ダム群で毎秒5,500立方メートルをカットして、残りの1万6,500立方メートルを堤防や遊水地等で対応するということになるわけですよね。これは分かりますね。知事は、上流ダム群で5,500立方メートルをカットできるとお考えですか。
知事は、ダムを造らなかったら群馬県は埼玉県のために水浸しになると、だから計画にはないけども、その考え方はあるとおっしゃいましたけれども、いまだに計画はありません。
それで、改修は大分進んでいるんですね、利根川の改修というのは。それで、河道の改修などで対応するのは、毎秒1万6,500立方メートルなんです。今後改修計画を立てれば、実現可能としても、上流のダムで調節する5,500立方メートルは、八ッ場ダムができたとしても毎秒1万6千立方メートルに過ぎないんですね。だから、残りの3,900立方メートルの流量はどのようにして調節できるとお考えですか。今後も八ッ場ダム級のダムを何基つくらなければならないのかという話になるんですね。ですから、ダムを大量につくる治水対策から脱却すべきなんです。
ダムを造るということが前提になって、今までの国交省は暫定水利権と言ってきましたけれども、暫定水利権を、ダムを中止したところでも、これが安定にならなかったというところはないんです。ですから、前原大臣も、暫定を安定にするということは当然言っているわけです。水が余っているわけですから。余っているわけですから、暫定を安定にするということは簡単なことなんですよ。今まで37年間も暫定で水がもらえないということはないわけですから。
以上、お答え願います。
A 上田清司知事
暫定水利権を簡単に安定水利権に変えられないと言うことは、再三再四説明しておりますし、だからこそ前原国交大臣はそれを言えない状況になっているわけであります。
それから、何十年も暫定水利権でOKだったとおっしゃいますが、埼玉県だけが取水制限のパーセンテージが高かったときもあります。それはまさに暫定水利権だからこそ取水制限のパーセンテージが高かったのです。つまり安定水利権を得てないということはそういう目に遭うということなのです。これは理解してください。
それから、河道の整備が毎秒16,500立方メートルが限界であるからこそ毎秒5,500立方メートルの水はダムで調節しようという考え方に立っているわけであって、従うってその部分に関してしっかり対応しなければならないということを群馬県側も理解をしておるからこそ、私たちと一緒に作業をやっているわけであります。
何ら計画を立てていないからと言って、今、計画を立てるほど財政的な余裕とかがないことが前提となっていますから、将来においてそのことをわれわれが封殺するようなことはできないわけですから、そこは待つしかないのです。
ただし、それは前提になっているからこそ、一緒に八ッ場ダムの建設もやっているわけですから、それでも分かるのではないですか。何が分からないのかよく分かりません。