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知事提出議案及び請願に対する柳下礼子議員の反対討論

 第93号議案「埼玉県税条例等の一部を改正する条例」及び第97号議案「埼玉県労働会館条例を廃止する条例」に対する反対討論
 議請第5号「義務教育費国庫負担制度の堅持を求める請願書」、議請第6号「細菌性髄膜炎ワクチンの公費による定期接種化を早期に求める請願書」、議請第7号「診療報酬等のオンライン請求に関する意見書提出を求める請願書」及び議請第8号「県政調査費の領収書について全面添付を求める請願」について、審査結果に反対し採択を求める討論

 

 まず第93号議案「埼玉県税条例等の一部を改正する条例」は、地方税法等の一部改正に伴い、個人の県民税について新たに住宅借入金等特別税額控除を設けるとともに、上場株式等の配当や譲渡所得等に係る税率の特例措置の延長などを行うための条例改正です。
 わが党は、2006年の税源移譲により所得税が減り、所得税の住宅減税だけでは特別減税を十分受けられない県民に対して、翌年度の個人県民税で税額控除する措置を講ずることには賛成です。
 しかし、配当割・株式譲渡所得割の軽減税率の適用期限を1年延長することは、大資産家を優遇するものであり、認められません。これによる税収減は今年度予算ベースで約24億3,400万円と見込まれています。
 また、市町村に交付する個人県民税に係る徴収取扱費交付金の算定の基礎となる金額の特例を現行の納税義務者1人当たり4,000円を3,300円に引き下げることにも賛成できません。市町村へ事務が移管されてまだ2年、事務の電子化もまだ完了していない段階での交付金の大幅引き下げは、市町村との信頼関係を損ないかねず、行うべきではありません。よって、第93号議案には反対するものです。

 

 次に、第97号議案「埼玉県労働会館条例を廃止する条例」についてです。
 労働会館は、勤労者をはじめ広く県民の行う会議や集会などの用に供し、県民の福祉の増進をはかることを目的に昭和40年に建設されたものです。平成17年度からは指定管理者制度が導入されましたが、北浦和駅から徒歩5分という地理的条件にも恵まれ、昨年度も約28万人の県民が利用しています。
 会館では、行政書士や社会保険労務士、医療事務、宅建取引主任者といった職業資格取得のための講座や外国語取得に係る講座なども会館の事業として開催されており、720人が受講しています。
 県は廃止の理由に、築43年が経過して施設が老朽化していることや耐震強度が不足していること、近くに類似の施設が整備されていることなどを挙げていますが、施設の耐震性については昭和63年に劣化診断を行っただけで耐震診断は行われていません。耐震診断をするまでもなく耐震性に問題があるということですが、耐震診断をキチッと行って、耐震補強による存続の可能性も追求もしないまま廃止を決めることは認められません。県庁の本庁舎も建設から半世紀以上が経過していますが、建て替えではなく、耐震補強による存続を決めているではありませんか。
 また、近隣に同様の施設が整備されているといいますが、今日の深刻な雇用危機のなかで職業訓練や研修のための施設や会場の必要性がますます必要とされています。大宮駅西口のビルに設置されたヤングキャリアセンターには多くの若者が職を求めて相談にきています。緊急求職者サポートセンターも同じビル内にありますが、場所も狭く家賃も高いと聞いています。
 この際、耐震補強を行ったうえで、これらの施設についても労働会館に移して、県有財産の有効活用をはかる方策を考えるべきではないでしょうか。
 以上の理由から、第97号議案についても反対するものです。

 

 続いて請願について討論を行います。
 議請第5号「義務教育費国庫負担制度の堅持を求める請願書」について委員長報告では「国から地方へ権限を移譲し、真の地方分権を確立するためには・・・義務教育についても最終的には一般財源化することが必要である」という意見をもとに不採択としていますが、わが党は採択を主張します。地方交付税が削減され続け財政調整機能が低下しているなか、自治体の財政能力の格差が拡大しています。2006年度から進められている一般財源化がさらに進めば、自治体ごとの教育格差をもたらし、教育の機会均等の原則を崩しかねません。全国あまねく安定的に教育予算が確保されるためには義務教育国庫負担制度を堅持するとともに、3分の1に引き下げられた負担率を2分の1に復活させることこそ必要だと考えます。
 次に議請第6号「細菌性髄膜炎ワクチンによる定期接種化を早期に求める請願書」について、審査結果報告では「ヒブワクチンについては昨年5月すでに要望している」「七価ワクチンについては、国において慎重に検討されているところである」として不採択とされていますが、わが党は採択を主張いたします。
 ヒブワクチンは世界のほとんどの国で定期接種化され、アジアで導入していない国は日本と北朝鮮のみです。七価ワクチンも世界74カ国で導入され、アメリカなど8カ国で定期接種化されています。このように日本はすでにこの対策で大幅に遅れをとっているという現状認識が必要です。逆に言えば、日本以外の多数の国々で社会的実験がすでに行われ、圧倒的効果が証明されているのです。従って日本小児科学会もワクチン定期接種を強く要望しているのであります。
 わが国では細菌性髄膜炎に毎年約1000人が罹患し、約50人が死亡、200人が障害を負っていると言われています。すでに他の国で「過去の病気」とされるような疾患によって命を落とす。あるいは障害を負ってしまうということは、本人や保護者にとってあまりにも無念で残酷なことではないでしょうか。
 不採択の理由として委員長報告では、全国衛生部長会から昨年すでに要望が出されていることなどを挙げていますが、「国の承認手続きを見守る」という立場ではなく、本県議会として積極的に国に実施を求めるという立場を表明し、県をあげてワクチン接種の促進のために全力を挙げるべきと考えるものです。
 次に、議請第7号「診療報酬等のオンライン請求に関する意見書提出を求める請願書」について委員長報告では不採択ですが、わが党は採択を主張いたします。
 2011年4月からオンライン請求完全義務化が実施された場合、60才以上の医師の23%が「廃業する」と回答したアンケート調査の結果は重大です。小児科をはじめとした地域医療がこのような中高年の医師によって担われている現実を直視した場合、オンライン完全義務化にこだわるあまり、さらなる医師不足を招くようなことほど愚かなことはありません。
 請願者もオンライン化自体を否定しているわけではなく、実態に合わせ無理のない推進を要望しているのであり、本請願については採択すべきものと考えます。
 続いて議請第8号「県政調査費の領収書について全面添付を求める請願」について、委員長報告は「領収書等証拠書類の提出を要しないのは、あくまで会派の自主的な調査研究活動に支障を及ぼす恐れがある場合に限っており、使途の透明性の確保と会派に期待されている調査研究活動の独立性・自立性の尊重という2つの要請にこたえるものとして妥当と考えられる」との意見に基づき不採択とされています。
 本請願の趣旨にも述べられていますが、これまで領収書添付をしてこなかった8都県も茨城県と本県をのぞき全面添付に移行しています。東京都は本年4月から領収書全面添付が義務づけられ、個人情報をのぞき、誰でもが閲覧できるようになっています。都議会の会派でできることが、なぜ本議会の会派ではできないのか、請願者同様、理解に苦しむものです。政党や会派の自主性を犯すような事例や調査研究に支障を及ぼすような前例が、すでに全面公開に踏み出した議会で生じているという情報には接しておりません。

 なお、委員長報告では、全国議長会の前弁護士に確認したところ、本規程の改定について「適正」とのお墨付きをいただいたので問題ないという趣旨の説明もありましたが、問われているのは、本規程が法規に照らして適正であるか、ないかという問題ではありません。問題は選挙で選ばれた私たち議員には、税金の使い道について県民に対する説明責任があるという点にあります。私たち県議会を構成する者が県民の信頼にこたえるため、自ら積極的に調査費の使途を全面公開するのは当然であり、本請願については採択すべきものと考えます。

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