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福祉保健医療委員会における柳下礼子議員の質疑(要旨)

〈2009年7月6日)

〈議案質疑〉

 

◆福祉部関係

 

柳下礼子議員

 第87号議案のうち、まず、社会福祉施設生活環境改善事業について伺う。
1 今回の補正により、小規模な修繕にも助成することとしているが、平成23年度までの計画である。平成24年度以降も、引き続き助成が必要であると考えるが、国への要望も含めて県の見解はどうか。
2 老朽化して改修が必要な施設はどれくらいあるのか。また、この予算ですべての施設が改修できるのか。
3 ぜい弱な社会福祉施設を助成対象にするとしているが、どのような基準となっているのか。
4 補助基準額の上限額及び補助率はどれくらいか
5 昨年度、既に改修した施設や今年度、改修を行っている施設は助成の対象となるのか。

 次に、障害者自立支援特別対策事業費について伺う。
6 各事業者は、福祉・介護職員の処遇改善計画を作成して県に提出することとしているが、具体的にはどのような内容なのか。
7 交付額は、交付率を乗じて得た額となっているが、具体的な交付率の数字は示されているのか。
8 事業者の新体系への移行の実態はどのようになっているのか。また、事業者が移行できない場合の課題について把握しているのか。
9 新体系への移行に伴い、経営が厳しくなり、収入が減少した施設への助成について、平成23年度までの計画で、予算措置しているが、平成24年度以降の見通しはどのようになっているのか。
10 障害者自立支援法が施行され、利用者の負担が重くなったとの声を聞く。利用者負担について、現状は障害が重い人ほど負担も重い応益負担となっており、もっと根本的な制度の見直しを図るべきと考えるが、どうか。

 次に、介護職員処遇改善特別対策事業費について伺う。
11 本県の介護職員の定着率はどれくらいか。
12 平成21年4月の介護報酬改定において3%引き上げられ、これに伴い、介護職員の月額賃金が2万円は上がるといわれていたが、実際に賃上げはされたのか。
13 介護報酬の3%引き上げによる影響について、実態調査を実施しているのか。
14 今回の介護職員処遇改善交付金により、どれくらいの賃金引き上げを見込んでいるのか。
15 事業者は処遇改善計画を作成することとなるが、その周知はどのようにするのか。
16 介護職員処遇改善特別対策事業は、平成23年度までの計画となっているが、平成24年度以降はどうなるのか。

 最後に、子育て支援特別対策事業費について伺う。
17 川越市、川口市、所沢市など待機児童が多い地域が固定化しているようであるが、本県の待機児童の状況について伺いたい。また、そのうち、低年齢児の待機児童の状況はどうか。
18 自治体が公立保育所の整備に消極的になっていると思うが、県の保育所整備の方針について伺いたい。
19 児童福祉法第24条を守るべき立場として、県は、市町村に対し、公立保育所の増設を働き掛けるとともに、国と自治体の責任で対応策をとるべきである。また、国は、早急に保育の需要の調査を行い、短期・中長期な保育所整備計画を持つことが必要であり、現行制度の下、国、自治体の明確な責任で、安心して子どもを預けられる体制整備をしていくべきと考えるが、県の見解はどうか。

 

社会福祉課長

1 この事業の財源は、地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用したものである。国への要望については、今年度の実施状況を踏まえ、今後、検討していく。
2 対象施設は358施設である。
3 措置費で運営している施設、保育所、障害者施設である。
4 補助基準額は、入所施設が400万円、通所施設については100万円である。事業者が1/4の費用負担をするので、補助額の上限は、入所施設300万円、通所施設は75万円である。
5 すでに修繕が終わったものは対象外となる。今年度中のものについては、なるべく対象とするよう要綱作成にあたり配慮したい。

 

障害者自立支援課長

6 処遇改善計画の内容については、介護職員1人当たりの賃金改善の見込額や処遇全般に関わる賃金体系、人事制度、教育研修、職場環境について計画を作成することとなっている。
7 交付率については、各報酬額の中に見込んでいる人件費の割合を勘案して、国が定めることとしている。例えば、居宅介護は5.2%、生活介護は3.5%となっている。
8 新体系への移行状況については、平成21年4月1日現在、42.86%である。移行できていない施設については、アンケートを実施し、状況を把握した上で個別に対応していきたい。
9 基金による事業は平成23年度までであり、平成24年度以降については、新たな報酬改定などの状況を踏まえ、必要に応じて国に要望していきたい。
10 利用者負担については、当初の一律1割負担から、低所得者に対しては1/2、さらには1/4に軽減するという措置が行われている。また、利用者負担のあり方を応益負担から応能負担に変える障害者自立支援法改正案が現在国会に提出されているところである。

 

介護保険課長

11 本県の介護職員の離職率でいうと23.1%である。
12 2万円という数字については、国が介護報酬改定後の増額分を全体の職員数で単純に割り出して、試算した金額である。今回の介護報酬の改定は、全体の報酬の底上げでなく、各種加算制度の充実が主であるため、必ずしもすべて3%アップする仕組みにはなっていない。また、介護職員の雇用形態、勤続年数、事業所の経営状況など、それぞれ状況が異なるため、賃金の引き上げ額もそれぞれ異なることとなる。
13 実態調査については、5月末から6月上旬にかけてアンケート調査を実施したが、改定後の介護報酬が事業者に支払われるのが6月末であったことから、介護報酬改定による3%アップ分が職員給与に実際に反映されたのか、状況を正確に把握することができなかった。
14 この基金の活用により、国は介護職員1人当たり1万5千円の賃上げにつながるとの試算を示している。
15 処遇改善計画の詳細な内容については、まだ国から示されていない。7月中に国から示される予定となっていることから、国からの通知があり次第、事業者へ周知を図っていきたい。
16 事業の終期である平成23年度は、介護保険事業の第4期計画の末期と一致しており、第5期計画に向けた制度の見直し時期と重なるので、今後、国に対し、新たな財源の確保や費用負担の見直し、報酬改定について必要な要望をしていきたい。

 

子育て支援課長

17 平成21年4月1日現在、本県の待機児童数は1,509人であり、前年度に比べ293人増加している。低年齢児の待機児童数は、1,509人の待機児童のうち、0歳児の占める割合が142人、9.4%、1歳児が653人、43.3%、2歳児が399人、26.4%となっている。50人以上の待機児童がいる市は8市あり、待機児童全体の56%を抱えている状況となっている。
18 安心こども基金では、財政力の弱い市町村の負担や、設置者の負担もかなり軽減され、整備しやすくなっている。この基金を活用してもらえるよう市町村をまわり案内をしているところであり、市町村でも意欲的に取り組んでもらえるものと考えている。例えば、さいたま市は待機児童数が177人であるが、前年度より42人の待機児童を減らしており、新座市も22人減らしている。このように、特に待機児童が多い市については、強い意欲が見られると考えている。
19 保育所整備に関する県の方針としては、認可保育所を整備していくことが最も基本的な対応であると考えている。さらに、安全こども基金ができ、財源的にも予算が確保できているので、引き続き市町村に働きかけて、保育所の整備が進むよう支援していきたい。
また、現行制度の下で、国、自治体を挙げて保育所を整備していくことについては、国で安心こども基金をつくり、新待機児童ゼロ作戦を進めており、その気持ちは県も共通だと考えている。

 

柳下議員

1 待機児童の56%を8市で抱えている状況の中で、認可保育所の整備だけでは無理がある。保育所整備の費用が一般財源化され、市町村の財政が圧迫されることから、公立の保育所を整備することにちゅうちょしているのではないか。児童福祉法第24条で、 明確に国と自治体の責務がうたわれていることから、この点をしっかり受け止め、待機児童を解消していく必要があると考えるが、どうか。
2 保育所の基準は昔のままであり、児童が満杯で詰め込まれている実態がある。保育の質の確保のため、県として、保育所の基準を変えることも含めて、国に働き掛けていく必要がある。特に、低年齢児が大半を占めている現状から、家庭保育室について県独自でも助成をしていくべきと考えるが、どうか。
3 今後、介護職員の賃金に関する実態調査を実施していくとのことであるが、いつ頃実施し、いつまでに調査を終了させる予定なのか。また、事業者が作成する処遇改善計画の内容が、未だに示されていないのは、いかがなものか。国に催促すべきではないか。
4 グループホームの整備に当たり、必要な職員を定着させるため、職員の確保について、県はどのような取組を行っていくのか。

 

子育て支援課長

1 保育の実施主体は市町村であり、市町村は次世代育成支援行動計画に基づき、子育てについて行動計画や整備計画を作り、各地域のニーズに応じた対応を考えている。県としては、市町村の意向を尊重し、支援していきたい。
2 認可保育所の整備を基本としながらも、認可外保育所を認可保育所に移行させたり、家庭保育室や認定こども園の整備など、様々な方法で保育サービスの提供を行っている。

 

介護保険課長

3 実態調査については、8月頃に調査を実施し、9月頃にとりまとめをしたい。また、この基金事業については、これまでも国の情報提供が遅れがちであり、県としても機会を捉えて早めの対応をお願いしている。

 

障害者自立支援課長

4 グループホームの整備費については、平成20年度から補助制度が始まった。グループホーム新設の整備費やアパートなどの借上げ費用の補助を行っている。グループホームは、障害者自立支 援法の中の福祉サービスとして報酬が支払われており、県としては、生活ホームの基準以上のものが確保されるよう、県の単独事業で運営費の上乗せ補助を行っている。これらの活用により職員の定着につなげていきたい。

 

◆保健医療部及び病院局関係

 

柳下礼子議員

1 新型インフルエンザ対策に関連し、国が指針を改定したが、内容はどのようなものか。また、国の指針によれば、すべての医療 機関で初期対応をすることとしているが、本県ではどのように対応するのか。
2 新型インフルエンザワクチンについては、7月から製造を開始し、年内に2,540万人分を製造予定と聞いているが、接種体制や接種対象者について、どのように考えているのか。
3 関西地域では、感染拡大を実際に体験した。意見交換などを行い、教訓を生かしたらよいと思う。改定された国の方針では、第2波に備え、感染した重症患者の入院先は、自治体レベルで考えるとされている。行政の責任で、一定の病院の一病棟を空けるような対策が必要と考えるが、どうか。
4 備蓄薬を一斉に放出した際、タミフルなど買占めの心配はないのか。

 

疾病対策課長

1 6月19日に改定された国の指針に基づき、入院措置については、重症患者を除き、自宅療養措置に切り替えた。また、発熱外来についても、国の指針に基づき、終了する方向で考えており、その後は、院内感染に気をつけながら、すべての医療機関で診ていただけるよう、現在、県医師会等と調整を進めているところである。
2 ワクチンについては、6月26日に国の担当者会議において、12月までに2,500万人分を製造するとの説明を受けた。一方で、基となるウイルスの増殖の多少によって変更になる可能性もあるとの説明も受けている。
また、ワクチンの接種については、ワクチンが有効であり、安全であるか、まだ情報を把握できておらず、また、実施主体がどこで、どのような法的根拠に基づいて実施するかも不明であるので、今後、情報収集に努め、対応を検討していきたい。
3 重症患者への対応が今後の対策の中心となる。関係団体やこれまで入院患者を受け入れていただいた医療機関、さらに専門家との検討の機会を設け、意見を整理して対策を考えていきたい。
4 タミフルの買占めの問題については、備蓄薬を一度にまとめて放出した場合、買占めの懸念もないとは限りませんので、薬の不足の状況を見ながらバランスよく適切に放出できるよう調整していきたい。

 

柳下議員

 国の指針の改定により、すべての医療機関で診ることになったが、他の県に比べ、本県の準備が遅れているようであるが、医師会と調整する中で、何か問題が生じているのか。

 

疾病対策課長

 外来と入院の問題がある。まず、外来については、支障があって準備が遅れているわけではなく、調整に時間を要しているものである。国の指針に基づいて、調整して、しかるべき時に、診療体制を移行したいと考えている。
 次に、重症患者の入院については、医療関係者の中にも、いろいろな意見を持っている方もいるので、重症患者の対策について、専門家の意見を取り入れ、限られた医療資源の効率的な活用について、検討していきたい。また、自治体単位での対策については、各地域ごとに医療体制について考える場を設けて検討していきたい。

 

柳下議員

 医療機関の中でも、いろいろな意見があるとの話だが、具体的にはどのような話があったのか。

 

疾病対策課長

 4月末から5月にかけて、新型インフルエンザの情報が増えていく中で、望ましい診療体制については、限られた医療機関の外来で対応した方がよいとの意見もあったし、すべての医療機関で対応した方がよいという意見もあったということである。

 

〈請願審査〉

 

柳下議員

 議請第6号について、採択を求める立場から意見を述べる。
 細菌性髄膜炎は毎年約1,000人もの乳幼児がかかる病気である。初期には診断も難しく、重篤な状態となって初めて分かる恐い病気である。死亡率は5%、後遺症の残る率は20%といわれている。しかし、すでにワクチンができ、世界保健機構(WHO)は1998年に世界中のすべての国々に対して、乳幼児へのヒブワクチンの無料接種を推奨している。肺炎球菌についても七価ワクチンが世界77か国で承認されている。アメリカでは発症率が約100分の1に激減したといわれている。日本では、ヒブワクチンは2008年12月にようやく接種できるようになったが、まだ任意接種のため、4回接種で約3万円もかかり、子育て世代には大きな負担となっている。細菌性髄膜炎から子どもたちを守るためにも公費による定期接種の実現は急がねばならない。国に対して公費による定期接種化を要請することとともに、乳幼児が接種できる七価ワクチンの早期承認についても要請することが必要である。国が実施していない段階でも、県として公費助成を実現し、子どもの命を守り、子育て世代を応援すべきである。当面、ヒブワクチンについて、乳幼児がいる世帯に周知徹底することは当然である。
 以上の理由から、議請第6号については、採択を求める。

 

柳下議員

 議請第7号について、採択の立場から意見を述べる。
 診療報酬等の請求については、2008年4月以降オンライン請求に順次移行しており、2011年4月以降は、原則として全医療機関等に義務化される。これにより、医療保険事務全体の効率化が図られる一方で、オンライン請求に必要な新たな機器、ソフトウェアの導入、ネットワーク環境整備などの関連費用や請求に係る操作業務などで新たな負担が生じるため、地域医療の現場では大きな問題となっている。保険医協会のアンケート結果でも医科23%、歯科17%が「廃業する」と回答している。政府の閣議決定では、廃業する医師は「多くないと考えている」としているが、オンライン請求義務化により、高齢開業医の廃業が進めば、全国的に一次医療の崩壊が加速する可能性がある。
 地域医療の後退につながらないよう、診療報酬等のオンライン請求については、小規模医療機関等への十分な配慮を図り、義務化を撤回するなど、完全義務化に向けた取組を再検討し、無理のない推進を図るべきである。
 以上の理由から、議請第7号について、採択を求める。

 

〈行政課題〉

 

◆福祉部関係

 

柳下礼子議員

1 児童養護施設おお里の処遇困難ケースについて、立正大学と共同研究を実施しているとのことだが、具体的な内容について伺いたい。
2 児童養護施設おお里の改修工事によりすべて個室になるのか
3 保護者がいない児童や虐待を受けている児童が増えている中で、上里学園の入所者数が少ないようであるが、利用状況はどうか。
4 児童養護施設職員の常勤、非常勤の割合はどうなっているのか
5 奥武蔵あじさい館の障害者や母子世帯の利用状況について伺いたい。
6 伊豆潮風館の改修について、今後の見通しを伺いたい。

 

社会福祉課長

1 個別のケースについて、グループ討議して研究発表する形で実施している。
2 現在、18室あり、改修後は34室になる。5割が個室になる予定である。
3 140人の定員であるが、所在地が県北部の上里町であり、また、地元学校との調整もあり、なかなか定員一杯まで入れられない状況である。
4 上里学園、おお里、いわつき、それぞれに常勤職員を配置している。その他に、非常勤職員もほぼ同数配置している。

 

高齢者福祉課長

5 奥武蔵あじさい館の利用者の内訳については、平成20年度の実績で、高齢者73.3% 障害者10.6% 母子1.3%である。工芸教室やホタルの観察など、いろいろ企画し、周知しているところであるが、今後、多くの方に利用していただけるよう指導していきたい。

 

障害者福祉推進課長

6 開設してから20年経過しており、老朽化が進んでいる。平成21年度については、屋根の防水工事や展望台の改修工事を予定している。今後も、非常用発電設備や構内の再舗装など修繕改修 計画を立てている。いつまでもきれいな建物として利用できるよう努めていく。

 

柳下議員

 奥武蔵あじさい館について、核家族化が進む中で、高齢者も子どもも施設の中で、接する機会が持てれば、双方に良い効果が期待できる。ぜひPRを強めていただき、母子世帯も含め、利用者増を図っていただきたい。(要望)

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