(09年3月27日)
第1号議案、第18号議案及び第70号議案に対する反対討論
日本共産党県議団を代表して予算関連の第1号議案、第18号議案及び第70号議案議案に対する反対討論を行います。
最初に第1号議案「平成21年度埼玉県一般会計予算」については、以下の理由により反対であります。
第一の反対理由は、知事部局一般職員で170人、教育局職員等で33人もの職員定数を削減する予算となっていることです。とりわけ、農林部は89人という大量の定数削減で、穀物や食糧の世界的高騰や汚染米問題などを通じてわが国の「農業再生」が叫ばれているなかで、こうした大量の職員削減を強行することは、埼玉農業の振興に対する県の基本姿勢を疑わせるものであり、生産者や消費者を失望させるものです。農業は国の基本であり、国民にとって命の源であります。真に食料の自給率向上を願うならば、今回の大幅な農林部職員の削減は到底認められないものであります。
第二の反対理由は、アメリカの金融危機に発した未曾有の経済不況で中小企業の倒産や失業が増大するなど県民生活がかつてない困難に直面しているにもかかわらず、在宅重度心身障害者手当に新たに年齢制限を導入したり、県立定時制高校の教科書給与・夜食費補助を廃止するなど、行政の支援を最も必要としている方々への支援を打ち切ろうとしていることです。
第三の反対理由は、県民の健康と命を守るうえでの「危機管理機能」を担っている福祉保健総合センター・保健所の統廃合を進める予算となっていることです。
本県の1保健所当たりの所管人口は東京都についで全国第2位の42万465人です。また、人口10万人当たりの保健師の数は、市町村の保健師を合わせても12.5人で全国平均の18.8人に比べ6.3人も不足しているのが現状です。
職員を増やさず、分室の廃止によって1保健所の体制を充実するだけでは、きめ細かな対人サービスはもとより、危機管理の拠点としての機能も十分果たせないことになります。また、人口30万を超え、国立病院や大学病院といった中核的な医療機関もある所沢市や越谷市から保健所をなくすことは、感染症対策などの危機管理の上からも絶対に認められません。ちなみに、所沢市議会は19日の本会議で「所沢保健所の存続を求める意見書」を全会一致で採択したことを申し添えるものです。
一方、福祉事務所ですが、これまで10ヶ所あった福祉保健総合センターが廃止され、4ヶ所の福祉事務所が30町村の生活保護事務などをカバーすることになりますが、ケースワーカーの配置は東部中央が国の標準配置数に比べ2.4人分、同様に西部も2人分足りません。福祉保健医療委員会での審査でも明らかなように、生活保護受給者が今年の1月は前年度同月比で89%増と激増しており、失業による受給者が明らかに増えています。生活に困窮する人たちへの親身な支援が大切になっている時に、福祉事務所を4ヶ所に統合することは職員の労働強化と住民サービスの低下を招くものであります。
第四の反対理由は、八ッ場ダム建設や利根川スーパー堤防など、事業の効果に対して疑問が持たれている国直轄治水事業に対して多額の負担金を計上していることです。
特に八ッ場ダム事業については、治水面でも利水面でもその必要性が疑問視されており、事業の凍結を含めて根本的に見直すべきであります。
第五の反対理由は、吉見工場や児玉工場で派遣社員の大量「雇い止め」を行ったカルソニックカンセイに対して大規模研究施設立地促進補助の初年度分として約1億円を計上していることです。
本社機能の誘致が「本県の経済の活性化や雇用の創出に貢献する」というのが産業立地促進助成費支出の名目ですが、実際に起こっているのは雇用の破壊ではないでしょうか。非正規社員を景気の調整弁のように使う企業に対して県民の税金を投入することは到底賛成できません。
以上の理由により第1号議案には反対です。
次に、第18号議案「平成21年度埼玉県水道用水供給事業会計予算」と第70号議案「平成20年度埼玉県水道用水供給事業会計補正予算(第1号)」は関連しておりますので、一括して討論致します。
第18号議案では、水道水源開発施設整備事業費として八ッ場ダム建設関連39億6,900万円の負担金が計上されていますが、第1号議案に対する反対理由でも述べましたように八ッ場ダムについては本県を含め首都圏の水需要が下降線を辿っているように利水面でもその必要性が薄れてきているというのが実態であります。八ッ場ダム建設については国に対して中止を含めて見直しを求めるべきであります。
また、第70号議案では、八ッ場ダム建設の事業期間を平成22年度から27年度に5年間延長する継続費の変更が行われていることから反対であります。
以上で私の討論を終わります。