日本共産党埼玉県議団 あなたの願いを県政にとどけます
県政トピックス 政策・提案 県政調査費 子どもの笑顔が輝くまち 事務所ニュース 資料室 リンク集
HOMEへ   前へ戻る

資料室

INDEXへ戻る

福祉保健医療委員会における柳下礼子議員の質疑(要旨)

 (09年3月12・13日)

 

〈福祉部関係〉

 

柳下礼子委員

1 現在の福祉保健総合センターでの生活保護の受給実態とケースワーカー1人当たりの担当件数はどうなっているのか。ケースワーカー1人当たり65世帯が基準になっていると思うが、それを超える状況があるのかどうか。また、新しい福祉事務所になった場合、生活保護に対する体制はどうなるのか。
2 格差と貧困が広がる中で、派遣切りなどが大きな問題となっているが、生活保護に関する最近の状況はどうなっているのか。また今後の見通しはどうか。
3 福祉は、困ったときに身近なところですぐに相談できることが必要である。生活保護を受給した後も、病気などいろいろな問題が出てきたときに、寄り添いながら精神的・経済的な支援を継続して行っていくことが重要である。福祉事務所の再編・集約によってサービスが低下しないよう、職員が出向くなどして対応する とのことだが、継続的な支援を行うことはできるのか。
4 越谷児童相談所の支所を草加市に置くことは、大変結構なことであるが、児童虐待は、量的に増えているだけでなく、質的にも難しくなっている。こうした中で、児童相談所の職員は、夜遅くまで頑張っている。児童相談所については、50万人に1か所整備するという国の基準に合わせて設置を進めていくべきだと考えるが、今後の見通しはどうなっているのか。

 

福祉政策課長

1 生活保護の受給世帯は増加傾向にあり、平成20年12月現在、10センター合計で3,037世帯となっている。また、センター全体のケースワーカーは43人であり、1人当たり70.6世帯を担当している。ケースワーカー1人当たり65世帯というのは、国が示している県の担当標準世帯数であり、市の福祉事務所では80世帯が標準とされている。
 次に、4つの福祉事務所になった場合の体制については、国のケースワーカー標準配置数や生活保護世帯数の状況を踏まえ、平成22年4月の条例施行に向けて人事当局に要求していきたい。
3 職員の体制をきちんと整備していけば、継続的な支援ができるものと考えている。

 

社会福祉課長

2 生活保護を開始した主な理由をみると、失業を理由としている人の割合が平成20年度第1四半期で13.8%、第2四半期12.9%、第3四半期15.5%と増えている。また、派遣社員の中には失業給付などの様々なセイフティネットがうまく機能しなかった者が多い。このようなことから、町村部の保護申請は平成20年12月の対前年同月比で81.6%増、1月で89.1%増となっている。新聞等の報道によると、国においても、生活保護に直接流れてこないようにするため、失業保険の在り方等を検討しているとのことなので、今後の見通しに関しては、それらも踏まえる必要があり、このまま伸びていくかは分からない状況である。

 

こども安全課長

4 児童虐待相談が量的、質的に変化する中、職員のモチベーションの維持やメンタルヘルスを含めた健康管理は、大変重要な問題である。こうした意味からも児童相談所の職員体制の強化や児童 相談所の再編・整備は重要な課題と考えている。このため、児童相談所の職員を計画的に増員したいと考えており、平成21年度には、12人の専門職を増員することとしている。
 人口50万人に1か所という児童相談所の設置は、あくまで目安であり、どの程度の規模が適正なのかは難しいが、児童虐待相談の動向などからも、児童相談所の再編・整備を検討すべき時期にあると考える。市町村合併など外部的な要因なども含め、今後の再編・整備の在り方を検討していきたい。

 

柳下礼子委員

 ケースワーカー1人当たりの担当世帯数が70.6世帯と、国の基準である65世帯を大きく上回っている状況で問題がないと言うのはおかしい。失業に伴う生活保護の申請件数が伸びていく中、緊急性も求められており、スーパーバイザーや現場の公的扶助ワーカー、その他職員を増やしていく必要があると考えるがどうか。このままだと労働強化につながるのではないか。

 

福祉政策課長

 10センターを4事務所に集約することにより、効率的に職員配置ができるものと考えている。世帯数に基づいて何人必要かをしっかり積算した上で、必要な人員配置を要求していきたい。

 

柳下委員

 平成22年4月の福祉事務所設置時には、ケースワーカー1人当たりの担当数を65世帯以下にすると約束できるのか。

 

福祉政策課長

 職員配置について確約できる権限は、福祉部にはない。国が示しているのは「基準」ではなく「標準」である。また、都道府県での標準担当世帯数は全国一律に65世帯となっており、県によって人口密度などの条件が違う中で、埼玉県における町村部の65世帯が厳しい数字なのか判断は難しい。市の標準である80世帯に近いのではないかとの考えもある。いずれにしても、65世帯という標準があるので、それを守ることができるよう職員配置をしていく方向で努力したい。

 

柳下委員

1 福祉事務所や児童相談所の再編・集約に当たっては、利用者の立場から見た計画を考えてもらいたい。(要望)
2 児童相談所について、人口50万人に1か所というのは、飽くまで目安と言うが、管轄人口がその倍以上になっているにもかかわらず、平気でいるという感覚はおかしい。職員の増員など、努力していることは承知しているが、児童虐待で幼い命が失われるなど、痛ましい事例がたくさんある中で、児童相談所をもっと住民に身近な場所に増やしていく必要があると考えるがどうか。

 

福祉部長

2 児童相談所については、南児童相談所の移転や定数の増加など、いろいろと対応している。そもそも、児童相談所における児童虐待の取扱件数はない方が良いわけで、児童虐待が増加している状況に対応することはもちろんであるが、児童虐待を防止するという観点からも、児童相談所の機能強化に努めていきたい。
1 福祉事務所についても、必要な定員は確保していきたいと考えている。厳しい中でも福祉部の定数は増えており、これからも福祉事務所と児童相談所の機能強化を図っていきたい。

 

柳下委員

 平成20年度一般会計補正予算について、幾つか質問する。
1 在宅重度心身障害者手当支給費については、6,288万7千円の減額補正となっているが、根拠は何か。所得制限の導入も影響しているのか。
2 心身障害者小規模授産施設助成費については、1億3,072万円の減額補正となっているが、この理由は何か。
3 市町村地域生活支援事業費については、1億2,702万8千円の減額補正となっているが、この理由は何か。また、事業費の50%を国が補助することとされているが、確実に国から補助金は交付されているのか。

 

障害者福祉課長

1 平成20年度の当初予算額については、過去の支給実績の伸び率を参考に計上したが、市町村あてに所要額を照会したところ、当初の見込みを下回ったため減額補正をするものである。なお、過去の伸び率として、平成18年1月に導入した所得制限の影響がない平成14年度から17年度までの平均伸び率4.5パーセントを使用した。
 また、所得制限を導入した影響としては、導入する前と比較して、受給者の約25パーセントが手当の対象外となったものである。
2 県単独事業として補助している心身障害者地域デイケア施設については、当初192か所を見込んでいたが、16か所が障害者自立支援法の新体系の事業所に移行したことなどから、補助対象が当初の見込みより18か所減少したものである。
3 市町村地域生活支援事業の内容としては、障害者自立支援法に基づき市町村が独自に行う事業で、社会参加を支援するものが多い。事業の財源は国が50%、市町村及び県が25%ずつ負担することとされている。しかし、国の財源難などから平成20年度は当初の50%に対して36%しか交付されていない。当初予算編成ではもう少し多く交付されると見込んでいたが、国の補助率が下がったため、減額補正をお願いするものである。なお、県では、国に対して50%を交付するよう要望している。

 

柳下委員

1 在宅重度心身障害者手当支給費については、所得制限の影響で受給者の約25パーセントが手当の対象外となったとのことだが、現在の不況の中で、在宅の重度障害者はますます大変になってくる。所得制限を導入したことについては、一度検証を行うべきだと考えるがどうか。
2 市町村地域生活支援事業費について、国が50%負担すべきところを36%しか補助していないというのは、本当におかしな話である。引き続き国に対して強く要望するとともに、全国知事会などでもこの件について要望してもらいたい。(要望)

 

障害者福祉課長

1 この手当は県単独事業であるが、毎年度あらゆる角度から検証している。引き続き、経済状況も含めてあらゆる角度から検証していきたい。

 

柳下委員

1 経済危機の中で家計が急変し、働きに出なければならない母親等が大変増えており、各自治体の保育所の入所申込が激増しているとのことである。子育て支援課に保育所の入所申込者数と不許可になった件数を確認たところ、市町村に聞かないと分からないと言われた。これから子育て支援を進めていくためには、実態を把握しておく必要がある。そこで、私の事務所でも8自治体に状況を確認したところ、認可保育所の入所を断られた人は昨年の2,657人に対し今年は3,704人に増えている。認可保育所の入所を断られた人は家庭保育室に直接申し込むことになるが、8自治体の家庭保育室の定員を合わせると1,400人になる。さらに、残った2,304人はベビーホテルや駅前保育などの補助のない劣悪な施設に入所することになる。県は、保育対策緊急整備事業で7億6千万円、認可保育所16か所分を計上しているが、1か所100人としても1,600人にすぎない。そこで、以下3点について質問する。
(1)予想を超えた保育所待機児童の状況を県は把握しているのか。もし把握していないなら市町村に問い合わせて、申込者数と不許可になった件数を把握すべきと考えるがどうか。
(2)認可保育所に入れなかった場合、家庭保育室に入ることになるが、保育料が非常に高い。市町村では独自に認可保育所に準じた形で保護者の負担軽減を実施しているところもあるが、県も新たな補助制度を創設するなど、保護者支援を早急に検討すべきと考えるがどうか。
(3)待機児童数に見合う数の整備ができるよう、認可保育所の予算の増強を図る必要があると考えるがどうか。それが当面難しいなら、家庭保育室の定員を増やしたり、認可保育所として成長できるよう補助を検討すべきである。
(4)家庭保育室新設のための補助は、駅前施設以外は対象にしていないが、それ以外にも補助できるようにすべきと考えるがどうか。
2 発達障害者ライフステージ一貫支援事業費では、サポート手帳を作成するとのことだが、全体的に精神関係の障害者問題は、非常に対応が遅れてきたと思う。発達障害者は早期発見が重要であるとともに、成人になっても支援が必要であると考えるが、今後、市町村と連携しながらどのように事業を進めていくのか。
3 心身障害者地域デイケア施設助成費と生活ホーム事業助成費が、前年度に比べ増えている理由は何か。
4 障害者就業・生活支援等事業費について、障害者就業・生活支援センター事業費7か所分が計上されている。川越市内の国の機関である西部地域障害者雇用支援センターでは、障害に合わせた就労支援を行い、就職後も職場と連携しながらフォローしている。工賃も一般の人と同じくらい支給されており、周りの人にとっても励みになっている。西部地域障害者雇用支援センターがなくなることは大変残念であり、困ることであるが、今後、障害者就業・生活支援センターが、どのような役割を果たしてくれるのか説明してもらいたい。
5 放課後児童対策事業助成費について質問する。
(1)先ほどの放課後児童クラブの指定管理に関する質疑の中で、「安定した経営と良質なサービスが得られるよう市町村にお願いした」との答弁があったが、分割に際しては、児童が引き続き同じ指導員と関われるよう継続性を確保することが必要である。保護者や指導員の希望を十分聞いて、合意した上で分割を行うよう市町村に強く指導してもらいたい。
特に、ハッピースマイルの問題では、良いサービスが受けられるとのことで預けたら、それがなくなってしまって、今度は受け皿として学童保育が一杯になってしまったというケースもある。そういった点も踏まえて、よろしくお願いしたい。
(2)71人以上の児童クラブには、運営費補助が出ないということだが、年度途中に希望者が増えて71人以上になった場合はどうなるのか。

 

子育て支援課長

1 質疑に対して順次答弁する。
(1)保育所待機児童については、日ごろの業務を通じて市町村の状況を把握しており、今後、増えそうなことは肌で感じている。待機児童対策は市町村の待機児童数をベースに考えていくが、実態に近いものを知りたいとのことで、市町村に申込状況の照会を行った。現在2次募集をしているところが多く、最終的な数字ではないが、参考値として、対前年で2,700人弱増加していることが分かった。その中身であるが、全70市町村のうち54市で増加しており、特に200人以上増えている市が3市あった。例年、待機児童が多いところは5〜6市あるが、そこでは申込件数も伸びている。
 今後も待機児童数は把握していくが、できるだけ早く調べたい。毎年、市町村とヒアリング等を行い対策を協議しているが、特に増加している市町村については、随時、状況を把握して、できるだけ早い段階で働き掛けていきたい。
(2)家庭保育室の整備については、市町村で助成の上乗せをしているところが、さいたま市と川越市を除いて39、保護者へ助成をしているところが21ある。県としては認可保育所の整備を基本としているが、その補完として家庭保育室でも受入れができるよう予算を確保していきたい。また、国の社会保障審議会少子化対策特別部会において、認可外施設に対する助成など保育制度の見直しが検討されているので、その動向も踏まえ予算の確保に努めていきたい。
(3)認可保育所の予算の増強については、今回、保育所整備を中心とした安心こども基金ができて、約50億円を積み立てている。そのうち認定こども園を含めた保育所整備については、約39億円の枠が設けられている。基金は平成22年度までなので、積極的に活用するよう市町村に働き掛けていきたい。
(4)家庭保育室の開設整備の支援については、従来から、駅前に限らず柔軟に対応している。また、予算上は対象件数を5か所としているが、予算の枠内で、これまでも6〜7か所補助した年度もあった。今後も予算を有効活用して、整備を進めていきたい。

 

障害者福祉課長

2 発達障害者については理解が進んでおらず、障害者自立支援法の見直しでは、法の対象に含まれることを明記することとなった。県では、これまで二つの検討委員会を設けて、発達障害者に対する支援の在り方等について検討している。一つは、支援体制の整備に関するものである。もう一つは、モデル事業として発達障害者に対する有効な支援方法の検討を行うものであり、昨年度から今年度にかけて、幼稚園や保育園での支援手法の開発等を検討している。こうした中で、委員会の保護者代表の委員からは、乳幼児期から成人期までの一貫した記録の必要性が訴えられている。年齢によって学校などの関係機関が変わる中で、これまでの治療や教育の履歴が整理されていれば、理解が円滑に進むものと考えられる。サポート手帳については、いくつかの県で先行して導入しているが、本県では、医療機関への受診を円滑にするための機 能や関係機関が支援内容等の情報を共有するための機能を併せ持った手帳を考えている。
 今後の進め方としては、平成21年度の前半に試行を行い、市町村や関係団体と連携を図りながら、年度末までに必要とする人に配布していきたい。
3 県単事業である心身障害者地域デイケア施設助成費と生活ホーム事業助成費については、財政状況が厳しい中、平成19年度には単価の引き下げを行った。しかし、厳しい就労環境が続く中で、今回、障害者自立支援法の報酬単価が5.1%引き上げられることを踏まえ、同法の網が掛かる施設ではないが、考え方や環境は同じであるので、予算の増額をお願いするものである。
4 障害者就業・生活支援センターについては、産業労働部と連携して整備を進めているが、10か所の障害保健福祉圏域に1つずつ設置することを目標にしている。これまでに6圏域に設置されており、平成21年度にも新たに1か所設置することとしている。障害者就業・生活支援センターは、就業面、生活面での支援を行っており、大変有効で実績も上がっている。設置の調整は産業労働部が国の労働局と連携して行っている。福祉部としても、福祉的なサポートの部分で、産業労働部と連携して設置を進めていきたい。

 

少子政策課長

5 質疑に対して順次答弁する。
(1)分割によって新たな児童クラブを設置した場合、どこに運営を委託するかなどについては、市町村がそれぞれの地域の実情に応じて判断することになる。運営主体が変わるケースと変わらないケースがあるが、県としては、子どもを中心に考えて良質なサービスを確保してもらうよう市町村にお願いしていくほか、指導員の研修を充実していきたい。
(2)年度途中で児童数が増えた場合についてであるが、交付申請は年度当初に提出してもらうが、入所児童数は年間を通じた平均人数で判断をすることになっている。例年、児童数は4月から夏休み頃まで増えて、その後減っていくのが通例であり、各市町村の担当者はそれを見込んで補助金の交付申請を出している。しかし、昨今の経済事情等を考えると、例年以上に年度途  中で増加することも考えられるため、交付申請に当たっては、児童数の増加を十分見込んで申請をするよう、各市町村に話をしていきたい。

 

柳下委員

1 発達障害の関係では、県の頑張りに期待している。いくつかの県では、すでに先行してサポート手帳を導入しているとのことだが、内容はどのようなものか。
2 保育所の関係では、いろいろ答弁してもらったが、申請者の数と不許可になった数については、例えばどこかに入ってしまったということであれば、待機児童数の実態と離れていくことになる。県としては、今後、市町村と連携して実態をリアルに把握するという理解でいいのか。特に待機児童が増えているところについて、随時、状況を把握していきたいとのことだが、特定のところだけでなく全般的に対応してもらいたい。

 

障害者福祉課長

1 サポート手帳には2つの性格がある。平成20年3月31日現 在の状況であるが、医療サポート手帳のような内容で作成している県は、群馬県、千葉県、大阪府、鳥取県、広島県の5府県であり、それ以外のライフステージを通じて記録を残すような内容で作成している県は、宮城県、栃木県、静岡県の3県である。そのほか、検討中は幾つかある。

 

子育て支援課長

2 例えば、自治体が助成している家庭保育室に入所していれば、待機児童数としてはカウントしていない。もちろん、そうした状況を把握した上で、市町村ごとの家庭保育室での受入人数の報告等も受けており、そういうことを踏まえて待機児童数をとらえ、把握しているつもりである。
また、「特に入所希望が多くなっている市町を中心に働き掛けていきたい」とは申し上げたが、もちろん全市町村を対象として対応していきたい。

 

柳下委員

 さいたま市大宮区でも派遣村が開かれるが、こういうときにワンストップで生活保護を受けたいとう人が来た場合、県は基本的にはさいたま市で対応すべきと考えているようだが、県としても県営住宅を提供するなど暖かい姿勢を見せてくれるよう要望したい。(要望)

 

〈保健医療部・病院局関係〉

 

柳下委員

1 第28号議案の後期研修医研修資金貸与条例について、特に小児科は女性医師が多いが、研修資金を貸与された女性医師が、妊娠や出産のため産前・産後に勤務できない場合には、免除期間等の計算はどうなるのか。
 また、重要なのは、埼玉の医療に魅力を持ってもらい、定着に結び付けていくことであり、これを契機として、いかに信頼関係を築いていくかということである。定着に向けた環境づくりに、どのように取り組んでいくのか。病院の協力等を含めて見通しを伺いたい。
2 第27号議案の保健所の再編について、自民党の元県議も所沢保健所の建替問題では頑張ってこられたが、所沢保健所は、保健所発祥の地として看護師の教科書にも載っている。記念碑だけを狭山に持って行けばよい、また、公園にあるからよい、というものではない。予算要望の際に上田知事と直接話したが、所沢が保健所発祥の地であることを承知していなかった。伝統ある保健所を簡単に廃止することについて、どのように考えているのか。
 また、関係市に説明をしたと言っているが、納得はしていない。市議会でうちの議員がこの問題を取り上げた際に、騒然となってどよめいて、今市議会では大問題となっている。食品衛生協会の事務所も置かれているが、この移転について大変怒っている。上から押し付けるやり方で、決めてから1年を掛けて準備するというものではない。移転しても迷惑を掛けないよう対応すると言っているが、移転自体が迷惑に決まっている。所沢と越谷について は、移転先より人口も多いわけで、大きいところから小さいところに移転するというのは納得がいかない。住民の合意と納得があってこそ、県民主人公の県政だと思うが、その点を明らかにして もらいたい。
3 第57号議案について、重度心身障害者医療対策助成費が2億 3,257万9千円の増額補正となっているが、この制度の行政効果をどう考えているのか。また、増額の理由について明らかにしてもらいたい。
 次に、後期高齢者医療対策費が14億9,112万1千円の減額補正となっている点について、「医療費の伸びが見込みを下回ったことによる減」とされているが、病人が減ったという理由な ら問題ないが、病気であるにもかかわらず我慢しているという現状があるのか、確認したい。
4 第47号議案について、国立大学の独立行政法人化では、いろいろな有識者が問題点を指摘している。神戸女学院教授で、第6回小林秀雄賞を受賞した内田教授は、「2004年に国立大学が法人化され国から切り離されて経営重視の運営組織になり、大学は生き残りに走り、金にならないものは切り捨てられてるようになった」と述べられている。教育は1年で効果が現れるものでは ない。国立大学の独立行政法人化では、多くの学者が日本の教育の未来を危惧する発言をしている。そこで、次の4点について質問する。
(1)なぜ今、埼玉県立大学を県から切り離して経営論理を導するのか。
(2)なぜ長い目で見なければならない学問・教育分野が、1年間で評価されなければならないのか。
(3)独立行政法人化に当たって、教授や職員の身分はどうなるのか。もし非公務員になるのであれば、身分保障はどうなるのか。
(4)学生や教授などの関係者から意見聴取を行ったのか。

 

医療整備課長

1 女性医師が、産休や育休などやむを得ない理由で休職した場合には、返還を猶予する規定を設けており、復帰してから貸与期間の1.5倍に相当する期間勤務すれば返還を免除することになる。また、後期研修医を周産期母子医療センターへ誘導し、定着させるためには、医療機関の魅力をアップさせることが大事である。例えば、指導する医師を充実させたり、研修プログラムを魅力あ るものにする必要がある。研修プログラムの策定については、補助制度があるので、各医療機関にはこの制度の活用を勧めていきたい。

 

保健医療政策課長

2 所沢保健所は、昭和13年に開設された農村保健館がその前身となっており、これにはアメリカのロックフェラー財団の援助があったと聞いている。昭和16年に所沢保健所と改称され、同39年に現在の位置に移ってきたという歴史と伝統のある保健所だということは承知している。保健所は、人が支える組織であり、建物よりも、保健所で働く職員あるいは保健医療部の職員が、歴史と伝統のある所沢保健所の精神を踏まえて、今後とも県民の保健水準の向上に取り組んでいくことが重要と考える。
 また、地元の合意についてであるが、確かに所沢市議会の状況は聞いている。この4月には、市と県の協議組織を立ち上げたいと考えている。
 なお、近々食品衛生協会から要望書が提出されると聞いており、その内容にも的確に対応していきたい。
4 質疑に対して順次答弁する。
(1)平成16年に地方独立行政法人の制度ができ、全国76の公立大学のうち、この4月の時点で46大学、率にして61%が法人化されている。この背景としては、看護・福祉系大学の増加や、18歳人口が10年前の8割の水準にまで落ち込んだことにより、大学間競争が激しくなっていることが挙げられる。そのため、法人化によって、理事や理事長など、しっかりと大学の経営を行うための専担組織を作り、厳しい大学間競争を生き抜いていこうとするものである。
(2)学問・教育の分野は、長い目で見なければならないという指摘はもっともである。実は、公立大学法人については、単年ごとの評価もするが、知事が大学の運営や教育についての中期目標を示すことになっている。この期間は、通常の地方独立行政法人の場合は2年から5年であるが、公立大学法人の場合は6年とされている。長い目で見て、適切な運営を行ってもらいたい。
(3)現在、大学の教職員は210人ほどであるが、希望する人は引き続き公務員の身分を離れて公立大学法人の職員となる。また、事務職員については、業務の継続性もあり、当面は県からの派遣を考えている。公立大学法人の教員については、公務員としての身分保障はなくなるが、一般の労働法が適用になるため、労働3権は保障されることになる。ちなみに、福利厚生のうち、年金と医療保険は引き続き共済に加入できる特例がある。
(4)現在、公立大学法人化を進めるに当たって、大学側と県庁側で構成する埼玉県立大学法人化推進会議を設けている。その下部組織として、組織運営の関係、目標評価の関係、財務予算の関係、人事労務の関係の4つの専門部会を設けており、それぞれ9人の委員のうち、6人が大学側の職員である。このように大学側の意見や考えを取り入れながら法人化を進めている。

 

国保医療課長

3 重度心身障害者医療対策助成費については、対象者の数が毎年伸びており、平成19年度は13万3千人、20年度は13万4千人となっている。多くの障害者の方々が自己負担なく医療を受けることができるということで、この制度の行政効果は十分上がっていると考えている。
 また、増額した理由としては、本年度から後期高齢者医療制度がスタートしたが、これまでは65歳から74歳までの障害者は、医療負担が1割となる従前の老人保健に加入してもらっていた。この場合、市町村と県の負担は1割の半分で、5%ずつでよかったが、後期高齢者医療制度では保険料の個人負担が生じたため、これまで障害認定を受けることで旧制度の対象となっていた65歳から74歳までの方が、保険料負担を嫌って後期高齢者医療制 度に移らず、国民健康保険にとどまったままになっている。これにより自己負担割合が1割から3割に増え、その自己負担金を助成する重度医療の助成額が増加したものである。
 それとは逆に、後期高齢者医療では、障害認定者は平成19年3月で2万7千人いたが、現在では1万8千人にまで減っている。また、障害者は比較的医療費が高い傾向にあるため、単価の高い障害者が移ってこなかった分、後期高齢者医療全体の単価も77万7千円が77万2千円と約5千円見込みより下がった。これらにより、後期高齢者医療対策費が減額となったものである。
 最後に、受診抑制の件であるが、少なくとも後期高齢者医療制度は老人保健制度と同じであり、一切サービスに変化・格差はないため、そのようなことはあり得ないと考えている。

 

柳下委員

 確認だが、65歳から74歳までの障害者は、後期高齢者医療制度に入るかどうかを選択できるという理解でよいのか。後期高齢者医療制度に加入することを強制してはいないと思うが、その点を確認したい。

 

国保医療課長

 強制は一切していない。その結果が9千人の減に表れたものである。

 

柳下委員

1 厚生労働省の方針では、後期高齢者医療制度に対して、県の財政支援を要請していると聞いている。2月20日付けの国保新聞では、「全国高齢者医療等課長会議で、後期高齢者医療制度の健診事業の推進について都道府県の財政支援を要請した。平成20年度は東京都の6億6千万円など11道府県が計11億3千万円補助をしており、国も平成21年度予算で16%増の35億2千万円を国庫補助するなど精一杯の支援を説明して理解を求めた。
 多くの広域連合は県の財政支援を強く要望している」と報道されている。この点について、今回の予算編成ではどのような配慮を行ったのか。
2 衛生研究所費には、同研究所の吉見高校への移転に関する予算が計上されているが、吉見高校の地元では、施設を自分たちで利用したいという意向があると思う。また、同校もかなり古くなっているので、施設を改修してもすぐに建替えの時期になってしまうと考えるが、これらについてどのように認識しているのか。

 

国保医療課長

1 74歳までの方については各保険者が特定健康診査を実施する ことになっているが、75歳以上の健康診査は努力義務とされている。ただし、国は後期高齢者医療広域連合に対して、健診に係る経費の3分の1を補助しており、実際に本県の広域連合も2億8,400万円ほどの補助金を受けている。県としては、平成21年度においても限られた予算の中から、後期高齢者医療制度のために418億円を予算計上しており、昨年度より34億円ほど多く広域連合に配分している。基本としては、健康診査事業は、国庫補助と高齢者の保険料により実施することが財政的なスキームである。厳しい財政状況の中で、県は必要な財政負担を行っており、現段階では県費による補助は考えていない。

 

保健医療政策課長

2 旧吉見高校についてはグラウンドと体育館を地元の人たちが利用している。県として体育館は使う予定がないため、引き続き利用してもらえると考えている。ただし、グラウンドについては、職員の通勤用の車両などが入ってくるため、今後、地元との調整が必要になる。
 また、吉見高校の施設については、昭和51年の建設で既に30年が経過している。教育局のさいたま桜高等学院も、昭和40年代に建てられた旧衛生短大の施設を改修して使用している。新築の方が望ましいのは確かだが、厳しい財政状況であり、今ある資産をできる限り活用していくということで理解をいただきたい。

 

柳下委員

 後期高齢者医療制度への財政支援については、広域連合からも意見書が出されている。この点をどう検討して、どう判断したのか。京都府や奈良県、滋賀県なども財政支援しているが、電算機器の整備などに使っている。財政支援のための予算をきちっと組む必要がある。本県は当然やるべきとされている一般的なことしかしていない。意見書のほかにも、「高齢者健診における県の補助制度の創設についての意見書提出を求める請願」も広域連合で趣旨採択されているが、県はどのように考えているのか。

 

国保医療課長

 広域連合の健診事業については、今年度13億3千万円ほど予算措置している。財政スキームとしては、すべて国からの補助と保険料で賄うこととされており、平成20年と21年の保険料は、その形できちんと算定している。他県の状況については、額はそれほど多くないが、15団体で補助をしていると聞いている。本県としては、保険料の中にきちんと積算されていることもあるので、厳しい財政状況の中では、基本的なところに予算をきちんと確保することを優先した結果、そこまで財源が配分できなかったものである。

 

柳下委員

 厳しい財政状況という点では他県も同じである。後期高齢者医療制度については、参議院で廃止法案が可決し、衆議院では継続審議になっている。現に制度が運営されている状況にあって、高齢者の人たちが広域連合に請願を出して趣旨採択されたり、すべての市町村が県に財政支援を求めていることに対応すべきである。他県ができて、なぜ埼玉はできないのか。

 

国保医療課長

 後期高齢者医療制度が始まってから、県の負担は大幅に増えている。平成19年度までは、医療費の8.3%、額にして約345億円の負担であったが、後期高齢者医療制度がスタートしてから、高齢者の保険料軽減や80万円を超える高額医療費等について、県が一定の財政負担をする必要が生じたため、県の負担は64億円も増加している。交付税で手当てされているという議論もあるが、予算のパイが厳しい状況にあって、県に求められている財源を確保していくことが優先されるので、現状ではなかなか難しい。

 

柳下委員

 それについては納得できないが、次の質問に移る。
 乳幼児医療費の助成制度について、昨年、助成対象を就学前までに拡大したことにより、市町村にも弾みがついて、中には中学校卒業まで拡大したり、現物給付する自治体も増えている。この点について、各市町村の現状を明らかにしてもらいたい。

 

国保医療課長

 乳幼児医療費の助成では、平成20年1月から、通院についても小学校就学前までに対象を拡大している。すべての市町村が県と同じレベルまで対象を引き上げており、ある意味で県のレベルが、県の最低水準となっている。自己負担が必要なところもあるが、これで本県では、基本的に小学校就学前までは、通院・入院ともすべて無料となったものである。市町村の現状については、細かく把握していないが、現物給付や年齢拡大も幾つかの自治体で実施しているのは事実である。

 

柳下委員

 東京や茨城、群馬など全国36県で現物給付になっている。雇用状況が悪化している中で、給料日前だと子どもが蜂に刺されても医者に行けないという話も聞いた。県として制度の拡充を検討すべきと考えるがどうか。

 

国保医療課長

 現物給付にした場合、実は3点問題がある。1点目は、医療費が増えることで、国民健康保険の国の負担金が15%減らされることである。2点目は、財源に余裕がある健康保険では、上乗せして給付しているケースもあるが、この付加給付が出ないことである。3点目は、レセプトを支払基金で審査してもらう際の審査支払手数料が1枚111円掛かることである。県全体で試算したところ、福祉三医療で20億円、乳幼児だけでは5から6億円もの負担増となった。

 

柳下委員

 それは、対象を中学までに拡大した場合の試算を含んでいるのか。

 

国保医療課長

 現物給付のみの試算である。乳児医療の対象を拡大した場合の試算としては、更に中学校までで約22億円、小学校までで約17億円の負担増となる見込みである。

 

柳下委員

 自分の住んでいる市町村以外の病院に掛かる場合もあるので、子育て世代の母親たちからも、全県的に現物給付を実施してもらいたいとの話を聞いているが、そのような声は届いていないのか。

 

国保医療課長

市町村が独自の判断で実施しているものであり、市町村の職員と話をする機会も多いが、全県に拡大してほしいという要望は聞いていない。

 

〈討 論〉

 

柳下委員

 第25号議案、「埼玉県福祉事務所設置条例」、第27号議案、「埼玉県保健所条例の一部を改正する条例」、第47号議案、「公立大学法人埼玉県立大学の定款を定めることについて」反対し、討論を行う。
 第25号議案と第27号議案は、関連しているので一括して反対の理由を述べる。この議案は、現在ある10福祉保健総合センター、13保健所、13分室を再編整備して13保健所にするというものである。福祉保健総合センターと分室を廃止し、所管区域を見直すと区域を広げ、所沢と越谷の保健所を廃止し、保健所発祥の地である所沢保健所を狭山市へ、越谷保健所を草加市へ移転するという計画である。その問題点は、第1に、保健所の所管人口が増大し、対人サービスの低下が懸念される。本県の1保健所当たりの所管人口は東京都に次いで全国第2位の42万465人、今回の分室廃止によって、職員を削減することによって、対人サービスはもとより、保健所機能の低下は避けられない。第2に、保健・医療・福祉の連携の推進を妨げる縦割り行政の弊害を増幅することである。全国保健所長会の提言でも「母子、老人保健、結核、感染症、精神、難病などすべての業務分野において予防から治療、地域ケアに至るまで総合的なサービスが必要とされる中で、医療行政を中核的に担いながら、保健・医療・福祉の連携を推進することが保健所固有の業務としなければならない」と指摘している。精神、難病についても、市町村が担う保健福祉サービスと保健所による医療面を中心としたサービスが一体となって利用者本位のサービスとなるのである。第3に、保健所に期待される機能の強化に逆行していることである。集約することによって機能強化すると言いながら、さらなる専門職員の削減を行おうとしていることである。専門職員は市町村の保健センターの充実などを理由に年々減らされてきた。市町村の保健センターでは、保健所の代替はできない。第4に、住民から遠ざかる福祉事務所では、町村の生活保護事務や母子・寡婦事務、介護保険法の施行事務、福祉施設整備・運営事務などのきめ細かいサービスに支障が出てくることは明らかである。広域をカバーする4か所の福祉事務所で、公的扶助ワーカーの1人が受け持つ件数も今でさえ、65人の基準を超えているのに、遠い地域に、少ない人数で走り回るという状況も生まれ、県民サービスは低下し、職員には労働強化という結果を招くことになるだろう。まして、格差と貧困が広がっているこの厳しい政治、経済状況の下で、県民の合意と納得もない中で強行することに県民は納得しないだろう。以上の理由から断固反対である。
 第47号議案については、2004年に国立大学が法人化され国から切り離されて経営重視の運営組織になった経緯を見ても、今なぜ県立大学を県から切り離して、経営論理を導入するのか、独立法人化しなければならないのか納得できない。長い目で見なければならない学問・研究・教育の分野が、1年間で経営評価されなければならないのか。県立大学は、医療・看護・福祉などの分野の学問研究、教育の発展のために、県民の強い要望で作られたものであり、学生、教授などの意見も十分聴取しない中で、法人化すべきではない。よって反対である。

 

〈請 願〉

 

柳下委員

 議請第2号、「後期高齢者医療広域連合への県の財政支援を求める請願」について採択を主張し討論する。この請願の趣旨は、後期高齢者医療制度が2008年4月実施されて10か月が過ぎ、保険料の負担増、年金からの天引き、健康診査の努力義務化など、不安の声が全国に広がり、本県でも高齢者をはじめとする多くの県民、地方議会から、廃止、撤回、見直しなどの意見が広く上げられ、昨年、廃止法案が参議院で可決され現在開会中の国会の衆議院で継続審査となっている。我が党もこの法案を速やかに可決・成立するよう全力を挙げているが、この制度が実際に運営されている中では、県の財政支援は、被保険者の保険料の負担の軽減は、市町村の共通経費負担金の軽減になり、県民の健康増進につながるものである。他県でも京都府の3,200万円をはじめ、奈良県、滋賀県等が財政支援をしている。埼玉県後期高齢者医療広域連合から、電算機器の整備、75歳以上の健康診査への財政支援を切望している。また、「高齢者健診における県の補助制度の創設についての意見書提出を求める請願」を趣旨採択もしている。よって、この請願を採択することを強く求める。
 議請第3号「乳幼児医療費助成制度の拡充に関する請願」について採択を主張し討論を行う。乳幼児医療費助成制度は、昨年より助成対象年齢を就学前までに拡大され、各市町村でも、中学校卒業まで無料化の拡大や、現物給付の自治体も増えて、大きく前進してきた。しかし、小児科や産科が減り、他の自治体の病院へ通院・入院する子どもも増えて、経済的に大きな負担になっている。近県でも、東京都をはじめ群馬、茨城など全国36県で現物給付になっている。雇用状況が急速に悪化し、特に子育て世代の生活状況は大変厳しく、ある母親は「給料日前には子どもが蜂に刺されたけどお金がなかったので我慢させた」と話していた。こうした若い家庭の子育てを励ますためにも、中学卒業までに拡大すべきと思う。請願の採択を強く求める。

 

〈調査事項に対する意見〉

 

柳下委員

 第1号議案について「否」とする立場から意見を述べる。
 第1に、保健所等再編推進整備費、福祉保健総合センターの廃止、分室の廃止、所沢保健所、越谷保健所の移転、福祉事務所の設置などの関連予算について反対である。第2に、在宅重度心身障害者手当5,000円を65歳以上の新規手帳取得者には支給しないということは、同じ障害者でありながら、年齢で切り分ける差別は、長い間苦労してきた高齢者に対する差別であり、福祉の原点から見ても認められない。精神障害者への手当の支給拡大は当然のことであり、このことをもって、新たな65歳以上の人を排除する思想は、障害者の中に分断を持ち込むものであり、県民の納得は得られない。現在支給されている65歳以上の人にとっても納得を得られないだろう。障害者の方は「全面参加と平等」の立場から「自分は除外されなかったから良かった」などと考えない。障害があっても、人間として豊かに生きたいという願いを励ますのが行政の役割ではないだろうか。第3に、後期高齢者医療広域連合に対する県独自の健診推進などの財政支援の予算措置がないことに反対である。厚生労働省も後期高齢者の健診率向上に向けて財政的支援をするようにと言っている。第4に公立大学法人化準備費について反対する。第5に衛生研究所の再編事業費移転に係る調査・設計の予算については、現在の場所での建替えを求める。審議の中にあったように、移転先の吉見高校も築30年を迎えている中で、改修してもしばらくすれば、また建替え問題が出てくる。吉見高校については地元の人が全面的に利用できるようにすべきである。
 あと4番の公立大学法人化準備費について、少し付け加える。審議の中で、県の説明でも「大学間競争が激しくなってきている」、「しっかりした経営を行うため」、「生き抜いていく必要がある」とのことだが、独立行政法人化になれば2004年に国立大学が法人化され国から切り離されて、経営重視の運営組織になったのを見れば明らかである。この独立行政法人化の道は、大学は生き残りをかけて金にならない分野については切り捨てていく」という競争原理に走ることにつながることは明らかである。以上で反対である。

up