日本共産党埼玉県議団 あなたの願いを県政にとどけます
県政トピックス 政策・提案 県政調査費 子どもの笑顔が輝くまち 事務所ニュース 資料室 リンク集
HOMEへ   前へ戻る

資料室

INDEXへ戻る

予算特別委員会における柳下礼子議員の総括質疑

(09年3月9日)

 

柳下礼子委員

 日本共産党の柳下礼子です。初めに4月から行われる介護報酬改定についてお伺いします。
 その待遇があまりにも過酷なために、介護労働者が定着せず、介護施設が慢性的な人手不足に陥っていることから厚生労働省は介護報酬の見直しをおこないました。これによって介護労働者1人当たり月2万円の賃金アップができると宣伝されてきました。ところが、予定されている報酬改定案が明るみになると、これでは増収どころではないという施設側の悲痛な声も出始めました。
 特に、都市部の通所介護やグループホームなど小規模施設が大変です。通所介護施設の月間延べ利用者900人以下の小規模施設においては、報酬引き下げが行われます。
 ある所沢市内の施設では、何とか減収は免れたが、月の増収が10万円程度、30人の労働者で2,300円の賃金アップができるかどうか、こういうお話しでした。
 今回の報酬増の目的は、介護労働者の待遇改善にあったはずです。事業所によっては、待遇改善ができなくなるというのはおかしいと思います。このような事業所がどのぐらいあるのでしょうか。報酬改定の影響を調査していただきたいのですが、いかがですか。

 

上田清司知事

 今回の改定でありますが、優れた介護人材を安定的に確保して、サービスの質の向上を図るという取り組みそのものを加算するという、人そのものを加算するという形でとっていないところから、そうした事例が起きたんではないかというふうに思っております。加算そのものを事業所の規模によって加算されるということではなくて、介護福祉士の配置比率が高いとか、あるいは夜勤職員を基準を上回って配置している場合は加算しようじゃないかとかいうような、そういう部分にしか加算していませんので、逆に言うとそういう配置が薄いところはですね、報酬の改定にまでつながっていないようなきらいがあるようなことも伺っております。
 ただ介護報酬の改定の数字そのものはですね、現時点において事務方が把握しているというふうに私の方には報告がきておりません。一応、県としてはですね。2月25日と26日に事業者説明会を実施して、今回の介護報酬改定が職員の給与水準の向上に反映するようにですね、働きはかけております。
 調査そのものは県としてはやっておりませんので、今のところは報告はあがっておりません。

 

柳下委員

 確かに、今度の報酬については、基本報酬の底上げではなく、加算の新設・見直しというのが中心になっております。それで、さきほど私が述べた施設なんですけれども、特養や大病院との併設ではない施設、小さいわけです。こういった小さい施設というのは非常に地域に密着しているんですね。そういう面でなくてはならない存在、地域包括支援センターなんかも兼ねているわけなんですね。職員の皆さんは2万円の賃金アップだと、これが大分宣伝されましたから、楽しみにしていたんですけれども、こうした施設で待遇改善できないと、これはおかしいというふうに思うんですね。今すぐ調査できないにしてもでですね、こういった矛盾が出てきたらおかしいということでは早期に報酬改定の影響について、利用者への影響とか、事業者への影響だとか、あるいはなかにはね、良かったとか、そういう所もあるかもしれません。いずれにしてもやはり先ほどの知事の答弁でも、実態をリアルにつかんで、そして対応するという点でも、調査を行っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

上田知事

 国が1億円かけて民間の4千事業所を調査するということは聞いております。それを参考にすべきだとは思いますが、いま柳下委員が言われますようにですね、事例の話しはそれなりに入ってくると思いますので、そういう事例の話しをある程度集約してですね、県として把握できる分は把握してまとめておきたいと思います。

 

柳下委員

 ぜひ県内の実態をつかんで、報告をしていただきたいというふうに思います。

 次ですけれども、同じ通所施設でも、こんどは月間延べ利用者が900人以上の大規模な施設、この報酬増によって増収の可能性はあるんですけれども、増収増が利用料の引き上げにつながるわけですね。利用抑制が起こる可能性もあるわけです。本当に増収になるのか疑問視されています。報酬改定を行うなら、利用料に即連動しないように、利用料の減免制度が充実されなければならないというふうに思います。既に、埼玉県内、知事もご存知かと思いますけれども、63の市町村において利用料の減免制度が実施されています。こうした市町村を国や県が支援する、さらに利用料の減免が実現する可能性も広がるというふうに思うんですね。そういう面で、本当に市町村、頑張っているところを応援していくという点で、私としては県として独自の利用料減免制度を検討するお考えがありますかということをお聞きします。

 

上田知事

 この点は詳細な内容ですので、いったん福祉部長から答えた後に、もし追加で質問があればお答えします。

 

福祉部長

 介護労働者の処遇改善は、本来介護報酬など介護保険制度のなかで解決されるべき問題であると考えております。そのため独自の補助を設ける考えはございません。県としては先ほども知事からご答弁申し上げましたとおり、介護報酬改定が介護労働者の処遇改善にできるだけ結びつくよう事業者に助言してまいりたいというふうに考えております。

 

柳下委員

 いま部長は独自に利用料の減免制度を検討する考えはないと。私は検討して欲しいというふうに申し上げたわけですけども、県はですね、「国への要望」で「見直しに当たっては、利用者や県・市町村の過剰な負担増にならないよう十分配慮すること」これを要望しているわけですね。
 現在、国・県・市と施設の負担による利用料の減免制度がありますけれども、施設の負担が重い制度です。ぜひ、国に対しても利用料の減免制度充実を要望していただきたいと思いますけれども、これは知事からお答えしていただきたいと思います。

 

上田知事

 社会保険制度であります介護保険の低所得者対策としては、基本的には社会政策としてオール日本で考える政策だというふうにも私は思っております。どこかの県が低所得者が救われるとか救われないとかという課題、あるいはどこかの市だけが救われるとか救われないという課題よりも、オール日本で、ナショナルミニマムとして低所得者に対してですね、国が責任をもって救うという仕組みが本来のものだと思っておりますので、それをなんと言うんでしょうかね、温情的なというような形にすると社会政策の根幹が崩れやすくなってしまいますので、やっぱりナショナルミニマムはキチッと国が抑えるということをですね、国に対して要求するということの方が私は大事じゃないかなと思っております。

 

柳下委員

 いま知事が仰ったように、これは国の介護保険に対する公費負担を削ってきたわけですね。そういう面では大変になってきているわけなんです。ですから国に対して要望していくというのは当然なんです。ですけれども、いろんな社会保障制度が国が不十分なために、運動を起こしてね、自治体ぐるみでやって前進したということもあるわけですから、引き続き県が実施については検討していただきたいし、国へも強く要望してほしいということについては、そういうお考えでよろしいわけですね。
 では次にいきますけれでも、いま中小施設のお話しを申し上げましたけれども、病院や特養ホームと通所施設というのは、併設が多いわけなんですね。病院も、特養も併設の通所施設やグループホームが赤字ではやはり困るわけなんです。 
 このように、施設側がこれほど不安を抱いているという点では、報酬改定が本当に労働者の賃金まで波及するのか、これは非常に疑問です。一番いいのは、介護労働者の賃金に直接上乗せするということが、一番良いわけなんです。これは一石二鳥、三鳥と、よく知事が言いますけれでもね、雇用効果もあるわけです。かつて、県は民間社会福祉施設の職員に処遇改善費という、わずかですけれどもボーナスに上乗せして補助を行っていたんですね。これがすごく現場の励みにもなっていたんです。今こそこうした賃金上乗せ補助が求められると思いますけれども、これについて検討する考えはないでしょうか。知事よりご答弁をお願いします。

 

上田知事

 一番のポイントはですね。介護労働者の賃金がその職務の困難さと比べて十分じゃない、これが一番の問題ですよね。だからこの介護保険制度のなかでキチッとですね、介護労働者の賃金というものをですね、報酬というものをやっぱり位置づけると基本的に。それがもう何よりも大事でですね、何かで上乗せをするとかという考え方でいくと、今度、制度の定着が逆に自治体まかせになってですね、本来、国がこれをキチッとしてナショナルミニマムとして編み出した一つの制度ですから、キチッとやっぱり国がですね、世間並みの介護報酬を確保する、これが一番大事だというふうに思っています。もちろん、介護保険制度は市町村が運営主体ですから、市町村がそれなりの判断のなかで上乗せされているのは分かるんですが、県までそれに乗っかってしまうとですね、国のだらしのなさを認めることになってしまいますので、せめて私は県はやっぱり市町村が困っているじゃないかというようなことをですね、広域団体として強く求めていきたいと思っています。

 

柳下委員

 次の質問にいきます。
 次に在宅重度心身障害者手当について伺います。県は低所得の重度障害者の方に月5,000円の補助を行ってきました。この手当について、県は、このたび精神障害者への支給拡大に踏み出しました。私たちは精神障害者への支給は当然のことと、これまでも要求もしてきました。しかし、問題はこれと一体に65歳以上の新規手帳取得者にこの手当を支給しないという点です。
 この措置によって県の試算では、3年後、新たに手当を支給される方が、1,861人。一方今後は手当支給から閉め出される人が1万699人とされています。同じ低所得の重度心身障害者でありながら、64歳以下で障害を得た方には、毎月手当を支給し、65歳以上で障害者となった方には支給しない、その違いはなんなのでしょう。65歳とした理由をご説明下さい。

 

上田知事

 一番の理由はですね、ご承知のとおり、年齢ですね、人の体力とか個体差というのは違ったりするわけでありますが、しかし一定のもののなかでは、例えば自動車の免許であれば18歳からでも可能だ、あるいはアルコールなんかは20歳あるとかですね、それぞれ個体差はあるんですが、年齢の部分で平均点な数値を出していかないけないというようなことで、65歳以上の高齢者については、身体の障害に限らず、疾病や加齢に伴い介護等を要する状態にある方が多くいるという形でですね、またこれらの方々が基本的には介護保険制度などによる様々なサービスを利用している現状があるということで、総合的に支援ができるという形で、65歳以上の新規手帳取得者については、対象外にしたということでございます。

 

柳下委員

 いまのお答えはですね、年齢、個体差は違うけれども、加齢に伴う介護を要する人がいると言いましたけれども、例えばですね、64歳で手帳2級になった人もいます。一方65歳で超重度の障害を負う方もいらっしゃいます。後者のほうが本人や家族の経済的な負担は当然重いわけです。それでも65歳には支給しないということなのか。あくまで年齢で切ってしまうということは、知事仰ったように障害者の福祉なんですよね、この手当はね。そういう面で、知事はですね、このご挨拶のなかでも、「障害のある人もない人も分け隔てることなく共に生活できる社会の実現をめざす」障害のある人の中で、65歳以上の人を差別するって、これは納得できません。お答えを願います。

 

上田知事

 これは人として差別をするということではなくてですね、年齢で一定の線引きをさせていただく、そして、そのこと自体でですね、その方々に何か不利益がないような違う形でフォローアップするという仕組みだというふうにご理解を賜りたいと思います。

 

柳下委員

 障害者手帳を取得した方のなかには、例えばポリオに起因する肢体不自由のようにね、加齢とともに重度化していく傾向の方がいらっしゃいますよね、こういった場合は手帳の等級変更を行うわけです。私なんかも関わってきましたけれども、65歳前に3級で、65歳以降2級に重度化してしまった場合、このような方にも、手当は支給されないと事前に担当者から説明を伺っておりますけど、これはあまりにもむごいというふうに思うですけれども、病気の特質としても、こういう方を対象とする余地はないのでしょうか。これも一律に65歳は全部だめなんだということですか。知事よりご答弁を願います。

 

上田知事

 いま申し上げましたようにですね、その部分で救うことが可能でない部分は、違う仕組みの中でカバーをさせて頂くということでございますので、ぜひこの点はご理解賜りたいと思っています。

 

柳下委員

 つぎにですね、いま、知事がお話ししていた別の制度で救うと言いますけれでも、こういった考え方がですね、福祉の原点の「みんな誰もが全ての国民に保障されている権利」ですね、社会保障としての原点です。これに65歳以上は駄目だよということは、この原理・原則、社会保障の考え方から絶対に受け入れることができません。もしこういう考え方が、県の福祉の他の、例えばですね、県の医療などの助成制度に適用された場合には、年齢差別が導入された場合には、これは大変なことになるわけですけれども、こういうものを他にもやっていくと、導入していくんだとこれからはと、そういうお考えですか。私は、絶対にすべきではないというふうに考えますけれども、知事よりご答弁をお願いします。

 

上田知事

 他の制度のなかの枠組みで救えるものは、そういうこともあるのかもしれませんが、そうてない場合には、安易にですね、そうした仕切をしていくものではない、このように思っております。

 

柳下委員

 では、これは、これだけで広げないということで確認してよろしいですね。

 

上田知事

 そこまでは申し上げておりません。制度は、常にですね、いいものがあればどんどん導入していくというような変化がありますので、未来永劫というような形で言うつもりはありません。ただ、いま申し上げましたように、今の制度で救われるものがあれば、年齢で仕切ることでですね、そういうこともやぶさかではないと思っておりますが、そうでない場合には、安易に広げるものではない、こういう考え方です。

 

柳下委員

 次に、福祉保健総合センター・保健所の再編問題について伺います。
 今回の再編にあたって、市町村や保健所が関係する団体などに事前に計画について説明を行い理解を求めたのでしょうか。また、行ったとすれば、いつ頃でしょうか。

 

上田知事

 基本的には、今回の再編プランについては、昨年の秋の段階から関係する市町の首長や医師会、歯科医師会、食品衛生協会など関係団体に説明を行って、理解を求めております。
 大勢としては再編を受け入れて頂いておりますが、保健所が移転してしまう所沢市、越谷市からは今年に入りまして市長名で方針を見直せないかという趣旨での要望書が提出されました。また、その要望書に対しては、県の考え方について私の名前で送らせて頂き、その後のリアクションがないところをみると、大方ご理解を頂いているんじゃないかと、渋々でしょうけれども、このように思っております。
(持ち時間40分)

up