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暮らしの安心・安全対策特別委員会における柳下礼子議員の質疑(要旨)

柳下委員

(1)国の助成制度が変わり、耐震補強に対する補助率が1/2から2/3に上がったが、市町村有建築物の耐震化の状況はどうなっているのか。
(2)平屋の保育所には、補助金が助成されないと聞いているが、耐震診断と耐震改修の補助制度の概要について伺いたい。
(3)ハザードマップの作成状況、県及び国の補助制度の内容について伺いたい。
また、ハザードマップを作成済み、作成中、未作成の市町村はいくつあるのか。
(4)自主防災組織に対する助成は、補助率が1/2で、補助基準額が30万円ということであるが、組織の立上げの時の1回限りと聞いている。可搬式ポンプなど資機材が古くなっても、なかなか買ってもらえない状況にある。地域防災における自主防災組織の役割を考えれば、継続的な活動を支援していくため、助成金の増額など助成制度を充実していく必要があるのではないか。
(5)徒歩帰宅訓練を実施しているが、全員が一斉に帰宅するとなると、道路が大変混雑し、相当危険な状況となる。靴や着替えを職場のロッカーに用意しておくなど、現地に留まれるような対策も重要である。このことについて、県としてどのように考えているのか。
(6)国民保護訓練を坂戸市で実施しているが、予算額はいくらか。また、県や市の職員の参加人数は何人か。
(7)国民保護訓練では、大規模テロを想定したと言うが、地震や水害など自然災害は、ある程度想定できるが、テロは 実際に想定はできないのではないか。アメリカのような諜報機関を要する国でも同時テロを防げなかったわけで、防災計画に基づく訓練とテロを想定した訓練とでは、全く質が異なる。テロは無くしていく方向で考えていくべきで、住民同士がお互いに監視し合うような意識を芽生えさせるのはおかしいのではないか。

 

財務課長

(1)公立小中学校の耐震化率は、平成20年4月1日現在で56.1%である。今年6月に地震防災対策特別措置法が改正され、大規模な地震により倒壊の危険性が高いIs値0.3未満の建物の耐震補強に対する補助率が、1/2から2/3にかさ上げされた。
 この耐震補強は、平成24年度までに行う方針が国から示され、県内全ての市町村はこの方針により積極的に取り組んでいる。

 

建築指導課長

(2)県では多くの県民の方々が利用する建築物について、耐震診断や耐震補強に対する補助制度を平成19年度に創設している。平 成19年度においては、補助要件を3階建てかつ延床面積1,000㎡以上としていたため、保育所のような規模の小さい建築物は対象にならなかった。そのため、平成20年度は、補助要件を2階建てかつ500㎡以上まで引き下げた結果、保育所については2件の利用があった。
 補助制度の概要については、耐震診断が補助率2/3で補助限度額300万円、耐震補強設計は、補助率2/3、工事は15.2%の補助率で、設計と工事を合わせて1,300万円を補助限度としている。なお、市町村の地域防災計画で避難所として位置付けられた避難施設に該当する場合は、工事に対する補助率が2/3となり、設計と工事を合わせて4,400万円の補助限度となる。

 

河川砂防課副課長

(3)洪水ハザードマップは、平成19年度末までに34市町で作成済みである。今年度は、14市町で作成中であり、今年度末までに合計48市町で作成済みとなる。平成21年度は8市町で作成することとしており、平成21年度末までに作成義務のある56市町すべてが作成済みとなる予定である。
 補助制度についてですが、ハザードマップは作成主体が市町村であり、費用負担が大きいことから、国の補助制度が創設されている。補助率は1/3である。また、県でも市町村が作成する洪 水ハザードマップを支援するため、調査に対する補助制度を設けている。これにより、国が1/3、県が1/3、市町村が1/3の負担割合となっている。

 

消防防災課長

(3)地震ハザードマップを作成済みの市町村数は15、作成中は35、未作成は20である。
 補助制度については、県では補助率1/2、補助限度額350万円であり、県の補助制度は今年度までで終了である。このため、補助率1/2の国土交通省の補助金があるので、未作成の市町村については、この制度を活用し、作成するよう働きかけていく。
(4)自主防災組織は立上げただけでは意味は無いので、継続した活動を支援できるよう、助成制度のあり方を検討していきたい。
(5)帰宅困難者対策については、むやみに帰るなとPRしている。帰宅困難者対策啓発用リーフレットでも「早く帰りたい、でもちょっと待って」を一つのキーワードとして、まずは、自分自身の安全を家族に伝え、併せて家族の安否を確認する。また、いろんな情報を得た上で、必要があれば会社に留まるよう呼びかけている。一斉に帰宅するとなると、1㎡当たり6人がぎゅうぎゅう詰めで移動することとなり危険な状況となるので、徒歩帰宅訓練の参加者には徹底的にPRするとともに、県政出前講座でも普及を図っている。

 

危機管理課長

(6)国民保護訓練の平成20年度予算額は、3,374千円である。主な内訳としては、避難所設営の委託料、住民避難用のバス賃借料である。参加した県職員は69名、市職員は66名である。
(7)テロは、非日常的であり、想定することは難しいが、過去に地下鉄サリン事件や、本年、川越市でピストル立て籠もり事件が発生しており、発生しないことに越したことはないが、テロに備えることは必要である。

 

柳下委員

 坂戸市で大規模テロ発生を想定して訓練を実施した理由は何か。

 

危機管理課長

 国民保護実働訓練は毎年実施しており、市町村に訓練の実施について照会を行ったところ、坂戸市が希望する旨回答してきたものである。また、坂戸市の訓練では、各所で事件を起こしてきた武装グループが爆弾を持って立て籠もったため、周辺住民が避難するという状況を想定したものである。

 

柳下委員

 忙しい職員を多数動員し、多額の予算を使ってまで実施する必要があるのか。費用対効果を検討する必要があるのではないか。多額の予算を使って、この訓練により得られた効果は何か。

 

危機管理課長

 予算の使い方については今後検討していきたい。効果であるが、訓練には、幼児から高齢者まで約200人の市民が参加したが、参加した市民からは「国民保護法についての理解が深まった」、「実際自分が歩ける距離が分かって良かった」などの感想が寄せられており、こうした訓練により参加者に危機管理意識を持ってもらえたと考えている。

 

柳下いいん

 危機意識をあおることはまずいと思う。地震や水害は自然災害なので防ぎようがないが、テロやミサイル攻撃は、憲法に則って戦争のない社会をつくっていくよう国際的にも働きかけていくべきであり、テロを想定した訓練は予算の無駄遣いである。自然災害と同じように捉えてはいけないのではないか。これは、提言である。

 

柳下委員

<意見・提言>

(1)地域の救援活動に必要な消防力の強化を図るために、市町村への財政支援を強化するとともに、消防団や自主防災組織との連携を有機的に図るための施策を推進していくこと。
(2)地震ハザードマップ未作成の22の市町村に対し、県として技術的な支援を行いながら、早期に作成するよう支援すること。
(3)小中学校の耐震補強について、景気対策の前倒しとして早期に実施すること。
(4)平屋の保育所など、すべての公共施設が対象となるよう耐震化補助要件の引き下げを行うこと。

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