議第6号議案「米国の北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除並びに経済制裁の一部解除に反対する意見書」に対する反対討論
日本共産党の柳下礼子です。
日本共産党議員団を代表して議第6号議案に対する反対討論を行います。
北朝鮮が6月26日に核計画の申告を六か国協議議長国の中国に提出し、これを受けてアメリカ政府は、テロ支援国家指定の解除と「対敵通商法」の適用中止の手続きに入りました。
この動きについて、アメリカのブッシュ大統領は、北朝鮮による申告書の提出は非核化に向けた積極的な一歩であると歓迎し、中国、韓国、ロシアもこの動きに強い支持を表明しています。
国内には、「核兵器に触れていない申告は実効性のないパフォーマンスだ」とか、「テロ支援国家指定の解除で、拉致問題解決の有力カードを失った」といった議論もありますが、こうした議論は六か国協議の進展と今回の申告との関連を見誤ったものであります。
2005年9月の六か国協議の共同声明は、朝鮮半島の非核化と並んで「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」をうたい、そのために六か国協議は「北東アジアの平和及び安全のメカニズム」の構築をめざしています。共同声明の立場で、朝鮮半島の非核化と平和の枠組みづくりのために外交努力を重ねることが必要であり、米朝両国が、これまでの敵対的な関係から脱することは、北東アジアの安全保障にとっても重大な出来事と言うことができます。
核計画の申告書提出を前にした6月11日と12日に日本と北朝鮮との間で実務者会議が開かれ、北朝鮮政府が拉致問題解決に向けて再調査を約束するなどの前進が見られましたが、こうした北朝鮮の変化は、核計画の申告を控えていたことと無関係とは言えません。そのことは、アメリカのライス国務長官が、「先の日朝協議は、拉致問題で米国が北朝鮮に督促したことに少なからず負っているといって差し支えないと思う」と語っていることでも明らかであります。
拉致問題を含めた日朝間の懸案処理をすすめるのは日本政府ですが、そのために、六か国協議の参加国、そして国際社会全体の理解と共感を得ることが不可欠です。それには、六か国協議の主要課題である核問題に日本が率先して取り組むことが求められています。その点で、仮に日本が核問題の解決に熱意がないと見られるならば、それは拉致問題での他国との連携に障害をつくるものにならざるをえません。
核兵器問題と拉致問題を含めた日朝間の諸懸案との関係について、わが党はある課題が先行して前進した場合、それはその他の課題の前進の妨げになるのではなく、促進することになりうるという立場をとってきました。今回の核計画の申告書提出は、日朝間の諸懸案を解決する上でも、前向きな影響を及ぼしうるものと私たちは考えております。
以上申し上げた趣旨から、今回の意見書案には同意しがたいということを申し上げ、日本共産党議員団を代表しての私の討論を終わります。