第94号議案及び第102号議案に対する反対討論並びに議請第1号、議請第5号及び議請第6号について審査結果に反対し採択を求める討論
日本共産党の山川すみえです。
日本共産党議員団を代表して、第94号議案及び第102号議案に対する反対討論並びに議請第1号、議請第5号及び議請第6号について審査結果に反対し採択を求める討論を行います。
最初に、第94号議案「埼玉県税条例の一部を改正する条例」は、地方法人特別税の創設に伴う法人事業税の税率引き下げを行うとともに、地方税法の一部改正に伴い、自動車の環境に及ぼす影響に応じた自動車税の税率の特例措置の延長などを内容としたものでありますが、わが党は以下の理由により反対するものです。
まず、地方法人特別税の創設に伴う法人事業税の税率引き下げですが、これは都道府県間の税の「偏在を是正」するため法人事業税のうち2兆6千億円程度を地方法人特別税として国税に組み替え、都道府県に改めて地方法人特別譲与税として国から再配分するものです。これによって本県では、総務省の試算ですが、平年度ベースで310億円程度の増収が見込まれるということであります。しかし、これは都道府県の間での調整に過ぎず、地方全体として税収の増収につながるわけではありません。本来地方の固有財源である法人事業税の45%分を国税に変えて再配分することは、国から地方への税源移譲という地方分権の流れにも反するものと言わなければなりません。
さらに看過できないのは、今回の特別税の導入が「税制の抜本的改革までの暫定措置」とうたっているように、消費税増税への橋渡しを狙いとしていることにあります。
特別税の導入を決めた昨年末の与党税制大綱では、今度の措置を「消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの暫定措置」としており、地方法人特別税の「2・6兆円規模」は地方消費税を念頭にその1%相当というのが総務省の説明であります。
将来の消費税増税につなげようというのが政府の狙いであり、今度の措置は到底認めることができません。
反対の第二の理由は、証券税制の見直しで、上場株式等の配当・譲渡益に係る軽減税率を平成20年12月31日をもって廃止するとしながら、平成21年と22年の2年間、100万円以下の配当及び500万円以下の譲渡益については従前通り3%の軽減税率を維持するものとなっていることです。
金持ち優遇という批判の強い証券税制の軽減措置については、例外を設けることなく全廃すべきであります。
以上が、第94号議案に対する反対理由であります。
次に、第102号議案「専決処分を求めることについて」は、軽油引取(ひきとり)税の税率について、1キロリットル当たり1万5千円を特例によって3万2100円に引き上げる措置を向こう10年間にわたって実施することなどを内容とするものですが、いったん廃止された軽油引取税の特例措置を復活することには賛成できません。
そもそも、特例措置は道路財源確保のために暫定的に導入されたものであり、これをさらに10年間続けることは県民の理解を得られないと考えます。しかも、原油高騰による石油製品の大幅値上げは県内中小企業の経営や県民生活を直撃しており、こうしたなかで軽油引取税の暫定税率を復活することは断じて認められません。
よって、第102号議案については反対です。
続いて請願の討論に移ります。
議請第1号「義務教育費国庫負担制度の堅持を求めることについて」は、委員長報告では不採択でありますが、わが党は採択を主張致します。
請願理由にも述べられておりますように、義務教育費国庫負担制度の国の負担割合が2006年度から従前の2分の1から3分の1に引き下げられ、これによって地方が負担する3分の2の財源は税源移譲と地方交付税による調整に委ねられることになりました。しかし、頼みの地方交付税は臨時財政対策債を含めても年々削減される一方で、自治体の財政格差が広がるなかで、教育水準の格差も拡大し、「教育の機会均等」の原則を揺るがす事態となっています。
憲法第26条は、「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利」を宣言し、「義務教育はこれを無償とする」と規定していますが、憲法で「無償」が決められているのは、義務教育以外にありません。憲法に明記された教育に対して国が負担金を出すのは当然であり、国の負担をやめれば財政力の弱い地方の教育が大きな打撃を受けることは明らかであります。
政府は、負担率の削減にとどまらず、税源移譲と引き換えに義務教育費国庫負担金制度そのものの廃止を狙っており、請願を採択のうえ、政府に対して制度の維持と国庫負担率2分の1の復活を内容とする意見書を本議会として提出すべきであります。
次に、議請第5号と議請第6号は関連しておりますので一括して討論いたします。
両請願とも、後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書の提出を求める内容で、委員長報告では不採択でありますが、わが党は、両請願の採択を強く主張致します。
委員長報告で不採択の理由としてあげているのは、「後期高齢者医療制度が、高齢者も若者も皆で応分の負担をすることで医療保険制度を維持するために制度化されたもので、その枠組みはしっかりと守らなければならないということ」、「国が低所得者への配慮を含めた制度改善策を打ち出しているので、不都合であれば制度の改善で対応すべきというもの」であります。
しかし、この制度をつくった政府のねらいは、高齢者を別枠の医療保険に囲い込み、高い負担を押しつけ、診療報酬も別建てにすることで、安上がりな差別医療を押しつけることにあるということです。実際、厚労省の試算でも2015年度には、医療費全体の削減額3兆円のうち2兆円を、2025年度では、8兆円削減のうち5兆円を、75歳以上の医療費削減で「捻出」するとしているのであります。
高齢者も若者も皆で応分の負担ではなく、国の負担を減らして国民全体に負担増を押し付けようというところに、この制度の狙い、本質があると言わなければなりません。
世界のどこにこのような後期高齢者医療制度などという制度をつくった国があるでしょうか。命と健康にかかわる医療に、年齢での差別と高齢者への新たな負担増を持ち込み、長年社会に貢献してきた高齢者に苦しみを強いる、これほど“人の道”に反した政治はありません。だからこそ、国民からの厳しい批判を受け、福田政権は一部凍結を余儀なくされたのではありませんか。
また、政府与党は保険料の一部を軽減する「見直し」で「保険料『9割軽減』が実現」などと宣伝し、圧倒的多数が軽減になるかのように描いていますが、わが党の小池晃参議院議員の質問趣意書に対する政府答弁でも、今回の見直し案によって保険料が負担増から負担減に変わる人は、約65万人、制度の対象者約1,300万人のうちわずか5%程度に過ぎません。しかも、保険料は2年ごとに見直され、75歳以上の人口が増えれば自動的に値上がりする仕組みになっています。長寿の人が増えるだけで、保険料が値上げになるのです。そのうえに医療技術の進歩などで一人当たりの医療給付費が増えれば、もっと値上がりする仕掛けになっているのであります。
従って、委員長報告にあるような、「不都合があれば、制度の改善で対応すべき」という次元の問題ではなく、制度の理念と制度の根幹が問われていると言わなければなりません。だから自民党内からも堀内光雄元総務会長のように「うば捨て山だ」という怒りや、中曽根元首相のように「名前が機械的で冷たい。至急元に戻し、考え直す必要がある」という声があがっているのであります。
この制度の害悪は一部「見直し」などで解決できるものではなく、憲法25条の生存権、憲法14条の「法の下の平等」を踏みにじる稀代(きだい)の高齢者「差別」法は撤廃する以外に道はありません。
よって、議請第5号及び議請第6号については、採択を強く主張致します。
以上で、日本共産党議員団を代表しての私の討論を終わります。
ありがとうございました。