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福祉保健医療委員会における柳下礼子県議の質疑(要旨)

〈福祉部関係の審査〉

(2008年3月7日)

付託議案に対する質疑
柳下議員は同委員会に付託された議案のうち、第33号議案「埼玉県心身障害者扶養共済制度条例の一部を改正する条例」と第60号議案「平成19年度埼玉県一般会計補正予算(第4号)」の福祉部関係について質疑を行いました。


柳下委員

(1)第33号議案について伺う。運用利回りが下がっていると思うが、その推移と原因はどうか。
(2)この制度の国と県の負担割合はどうなっているのか。国は、この制度に対する予算を増やしているのか。
(3)減免者は367人とのことであったが、全体に占める割合はどうか。また、減免者の推移はどうか。
(4)前回平成7年に改正があり、掛金が値上げされたが、加入口数は、その後どう推移しているのか。
(5)この制度は、任意加入ではあるが、通常の年金でも受給ができないような問題も出てきている。この制度では、親が亡くなって重度の障害者が一人残されるような場合もあり、兄弟でも分からないような場合もある。また、高齢者の割合はすでに高いが、今後さらに高まると思われ、支給漏れが生じる可能性も高い。支給漏れがないようにする抜本的対策に県としてはどう取り組むのか。また、加入者である親が亡くなった後、3年経過した場合はどう対応したのか。
(6)第60号議案について伺う。介護保険制度推進事業費は、6億5,522万6千円の減額補正となっている。主な原因は何か。例えば、療養型病床の老人保健施設への転換が思うように進まなかったようなことはあるのか。
(7)介護保険を受ける人は増える傾向にあると考えるが、予算は減額となっている。要介護認定者、介護サービス利用者の人数と伸び率はどうか。


障害者福祉課長

(1)障害者扶養共済制度の運用利率の推移について回答する。平成7年度に国が制度改正した際には、4.5%の運用利回りを想定していた。その後、経済情勢等の変動により、想定より下回る状況が続いている。この制度は、都道府県からの掛金を、独立行政法人福祉医療機構が、生保で運用する。保険収支の利率は、平成17年度以降1.62、1.38、1.38と低い水準となっている。このように、当初想定していたより運用利回りが下がったことが、今回の改正の要因になっている。
(2)共済制度あるので、基本的には加入者の掛金の運用で費用をまかなうのが基本であるが、平成7年当時過去債務が相当発生しており、運用が厳しくなったため、国と県が2分の1ずつで特別調整費を予算措置している。平成20年度予算では、3億1,600万円であり、その半分を国からの補助金でまかない、県が負担する分については地方交付税措置がされる。今回の改正に伴い、特別調整費は増額したが、それまでは同額であった。
(3)減免対象者の全体の中でも割合は、1,520人中367人であり、24.1%である。減免者の推移は、平成7年度816人、平成10年度920人、平成16年度689人、平成17年度720人である。
(4)加入者の口数は、1人2口まで加入できるが、平成7年度では5,440口、平成10年度4,815口、平成16年度4,707口、平成17年度3,865口という推移である。
(5)高齢者の加入者が増えることに対する抜本的対策であるが、せっかくの掛金がムダにならないよう、本人、市町村、関係団体などへ、取りうる手段をとって、まずは周知に努めていきたい。3年を経過したものについては、平成18年度、19年度ともに、受給はできなかった。


介護保険課長

(6)県の負担分としては、施設等給付費の割合が17.5%、その他の給付費が12.5%と施設等給付費の割合が高い。当初予算時には、施設等給付費の割合を49.9%で見込んでいたが、執行見込みでは46.2%であり、割合が下がっていることによる減額が約16億円、その他給付費は増えているので、差引の分だけについては、ご指摘の通り、療養型病床の転換が進まなかったことも要因であると考えられる。
(7)要介護認定者数は、平成18年12月162,409人、平成19年12月169,568人であり、7,159人4.4%増である。介護サービス利用者数は、平成18年12月129,511人、平成19年12月136,785人であり、7,274人5.6%増である。


柳下委員

(1)第33号議案について伺う。今回の掛金の値上げは、非常に大幅である。35歳未満では、3,500円が新規加入の場合、9,300円で2.6倍、60歳以上65歳未満の場合は、13,300円が新規加入の場合、23,300円で1.7倍である。特に35歳未満の場合などは、重度の障害者をかかえて、共済制度に加入しようと考えたとしても、これでは値上げ幅が大きすぎると考える。そこで、先ほど推移について質問したが、前回の改正以降も加入者が減っている。その原因の一つとしては、掛金の値上がりがあると思う。入りたくとも掛金が高くて入れないとか、掛金が高いのに給付は低いという声も聞かれる。地元の手をつなぐ親の会で聞いたときも、高くて入れないとのことであった。障害児・者をかかえる家庭にとって、すでに加入している人にとっても負担は耐え難いものとなっていると思う。加入口数は今後増えると考えているのか。前回の値上げ時に、委員会でも制度の普及を図るとの答弁があったと思うが、普及は図れるのか。
(2)運用利回りの利率が下がったことが値上げの原因であるとのことだが、運用については国の責任であり、障害者の責任ではない。利回りが低いからといって値上げするのはどうかと思うが、いかがか。


障害者福祉課長

(1)前回の改正後の数字をみると加入者はしばらく減少しているので、今回も掛金改正の影響は出るのではないかと予想される。今回の改正については、既加入者については、将来的な支給に係る分は公費を入れて掛金額を抑えている。新規加入者については、公費を注入せずに、保険数理の計算に基づき、将来制度維持ができるよう計算されている。また、年齢による改定率の違いは、若いほど掛金の支払期間が長くなることから、運用利回りの低下の影響を強く受けやすいことを考慮したものである。
(2)運用利回りの利率の低下については、確かに利率が低下したことは原因ではあるが、福祉医療機構内に運用に当たっての外部委員等を含めた組織を作って運用をどうするかについて検討し、毎年その状況を検証し、運用利率や公費の導入等について様々な角度から見直しを行っていくと、国から説明を受けている。


柳下委員

(1)既加入者に対する掛金は、新規加入者と比較すると抑えられてはいるが、障害者年金の額も少ないという実態の中で、障害児が1人残されたときに困るのではないか。また、最近ではハイリスク出産も多く、障害児も増えている。そう考えると、新たに共済制度に加入しようとする35歳未満の人も多いと思うが、この負担は大きい。国としても負担を増やして掛金の値上げを抑えていかなければ、制度維持が困難ではないかと考えるがどうか。
(2)第60号議案について伺う。介護保険制度で、療養型病床の転換が予想より進まなかったとのことであるが、当初、どの程度見込んでいたのか。


障害者福祉課長

(1)今回の制度改正にあたっては、昨年厚生労働省内に検討委員会を設け、現状の制度を維持することが決定したわけではあるが、この制度に対する国の役割や障害者の所得保障をどうするのかは大きなテーマであるので、県内の関係者、団体等の意見を聞きながら検討し、必要に応じ要望を行っていきたい。


介護保険課長

(2)療養型病床の転換については、平成23年度までの転換であるので、今年度は具体的な数値目標から給付額の率を算定したわけではない。特に県単の具体的な数字を基にした見込みを立てたわけではない。


調査事項である第1号議案のうち福祉部関係、第6号議案に対する質疑


柳下委員

(1)障害児・者生活サポート事業について伺う。この事業は、県の単独事業として自治体や利用者から歓迎されている。利用登録団体数、補助金の実績はいかがか。また、補助金の内、県費の支給額はいくらか。市町村事業の状況はどうか。
(2)障害児・者生活サポート事業は、予算が減額となっているが、事業の効果についてどのように考えるのか。今後の拡充の方向はどうか。
(3)特別保育事業について伺う。一歳児と乳児途中入所については、関係者から強い要望が出されていたが、人数、伸び率、予算について伺いたい。
(4)社会福祉施設利用者サービス推進事業について伺う。主な平成19年度実績と新年度予算の特徴は何か。1施設あたりの補助額はどのぐらいか。対象施設当たりの申請率はどのくらいか。
(5)パパ・ママ応援ショップ事業費について伺う。大きな店舗には県が普及を推進していくという役割があったが、広がりはどうか。どの店舗がサービスを行っているかが知られていなかったり、カードを見せてもサービスを受けられなかったこともあるように聞いている。掲示等は工夫するのか。効果はどう把握するのか。模範事例などはあるのか。
(6)介護サービス情報の公表事業について伺う。どのような形で情報を伝えるのか。予算の根拠や方法について伺いたい。
(7)精神障害者退院促進事業費について伺う。自立支援員は、誰がどのような形で行うのか。


障害者福祉課長

(1)障害児・者生活サポート事業は、県単独事業であり、公のサービスではカバーしにくい部分、例えば、移送や一時預かりなどを目的として行っている事業である。使い勝手がよいこともあり年々利用率は伸びている。県は、団体や市町村のニーズを把握して制度設計を行い、援助し、市町村は、現場でのニーズを把握し、実際にサービスを提供する団体を援助するものである。団体数は、実団体数で127団体、登録団体数で627団体である。平成18年度実績としては、県費の確定分が、9,594万7千円であり、市町村の支出額は、64市町村で、5億5,394万4,288円である。負担割合は、県、市町村、事業者が3分の1ずつであるが、実際は市町村が相当上回って支給している場合もある。
(2)来年度は財政状況が厳しい中で若干の減額となっているが、効果的に事業を展開していき、限られた予算の中で最大限の効果を発揮していきたい。
(7)入院している精神障害者の中にも、受入条件が整えば地域で生活ができるという方が、県の調査で1,300人ほどいる。そのうち65歳以下の850人について地域生活を進める事業を行っている。精神障害者は、病院を退院しても、地域とのつながりが少ないので、独り暮らしなどした場合は孤独に陥ったり、服薬等の管理ができないなどの事があるので、アパート等での地域生活を支援するために自立支援員を置くものである。自立支援員は、社会復帰施設職員や精神保健福祉士の資格を持つ方が中心である。予算としては、1回当たり1,500円の人件費である。


子育て支援課長

(3)一歳児担当保育士雇用費については、通常施設の基準では、児童6人に対して保育士1人であるが、一歳児は手がかかることもあり、県単で4対1になるよう、児童1人につき2万円の加配をして助成している。対象は私立保育園であり、県と市で2分の1を負担している。予算の伸びについては、保育所が増えていることもあり、平成19年度対象児童3,200人と見込んでいたところ、平成20年度は3,546人と見込んでおり、予算上は10.8%の伸びである。乳児途中入所促進事業は、乳児については年度当初空きが生じる傾向があるが、保育士を年度途中から採用するのも難しいので年度当初から乳児担当保育士を確保するために、乳児の空きの部分を助成するものである。この事業については、平成19年度対象児童を1,670人と見込んでいたところ、来年度は1,812人と見込んでおり、予算上8.5%の伸びである。


社会福祉課長

(4)社会福祉施設利用者サービス推進事業は、各施設の独自の取組に対して県単独で補助を行うものである。平成19年度の実績は、保育所及び措置施設を対象としており、357施設のうち保育所を中心として275か所に対して補助を行った。具体的内容としては、ボランティア受入のための取組、防犯カメラの設置などである。来年度も、基本的には今年度と同様の事業に補助を行う予定である。1施設当たりの単価は、今年度は1施設当たり30万円であったが、来年度は20万円の単価で補助を行う。申請率は77%であり、来年度は約320施設に対して補助を行っていきたい。


少子政策課長

(5)パパ・ママ応援ショップは、制度開始当初は個人店舗が多く、6割程度を占めていたが、県が中心となって開拓しているチェーン店舗の加盟も増えてきており、2月には55%程度がチェーン店となっている。サービスを受けられる店舗の周知については、ホームページで協賛店の状況を発信しているほか、各市町村でカードなどを配布する際に地元の商店については印刷物を配布するようお願いしているが、まだ浸透していないのが現状である。引き続き周知に努めるとともに、来年には携帯電話でも閲覧できるようにするほか、Webマップでも見られるようにしたい。従業員が制度を知らない場合はあまり多くはないが、そのような意見もある。そのような場合には、従業員への周知を店舗にお願いしている。また、店舗の掲示については、当初はステッカーのみであったが、ポスター大のものを希望店舗には配布している。事業の目的は、子育ての機運づくりであるので、明確な効果というのは把握しにくいが、県民の感想についても把握していきたい。来年度予算では、パパ・ママ応援ショップ賞を設け、模範店舗の表彰も考えており、そのような取組を通じて県民の声を聞いていきたい。同様事業は、全国37都道府県で実施されているが、国でも住民に対してどのような効果があるかについてアンケート調査を行っているようである。地元の商店については、市町村が中心となって開拓するが、開拓状況の色地図をつくるなどして、機会あるごとに県からもお願いしている。


介護保険課長

(6)介護サービス情報の公表は、りそな総研など5法人を調査機関とし調査した項目を県の社会福祉協議会を公表センターとして、ホームページで公開しているものである。平成20年度は、現在12サービスを対象としているものに加え、短期入所生活介護、介護予防事業など18サービスが追加されるため、現在活動している調査員約700人に対しての研修に係る費用と新たに対象となる4,600事業所への説明会に係る費用を計上している。


柳下委員

(1)介護サービス情報の公表は、行政の仕事だと考えるが、社会福祉協議会のホームページに載せてもらうには事業者が手数料を支払うのか。その手数料が高すぎるので値下げしたとも聞いているが、具体的な手数料はいくらか。
(2)パパ・ママ応援ショップは、割引率がまちまちである。また、対象者がよく来るような保育園や学童保育などにポスターを掲示するなどして周知することが必要だと考えるがどうか。
(3)特別保育事業については、予算も増額しているようだが、アレルギーのある児童に対する食事補助はどうか。
(4)社会福祉施設利用者サービス推進事業費の補助額が、1施設当たり30万円から20万円に減額されるとのことだが、施設に説明はしているのか。
(5)障害児・者生活サポート事業は、使い勝手がよく、県も単独事業として行っているが、市町村の利用も増えているため、頑張っている市町村の持ち出しが増えている。人口規模で上限を定めているが、その根拠はどうか。また、上限を無くして2分の1補助にして頑張っているところへの補助額を増やすようにしてはどうか。障害者1人当たりの年間利用時間はどのくらいか。
(6)精神障害者については、マンションに暮らしていても、入退院を繰り返しており孤独であるとの相談も多い。精神障害者退院促進事業は、そういった事に対応するものとは思うが、入院しなくても済むような施策を含めて考えているのか。退院可能精神障害者の調査との関係はどうか。


介護保険課長

(1)介護サービス情報の公表は、利用者がより良いサービスを選択するのに必要な情報を提供するのが本来の目的である。事業者が利用者に選択されることにより事業者側もメリットがあるため、事業者に調査手数料を求めているものである。調査手数料は、居宅サービスが4万円、居宅介護支援が3万6千円、施設サービスが4万5千円であり、その他に公表手数料として11,500円を支払っている。ご指摘のとおり、事業者にとって負担が大きいこともあるので、調査機関、実施機関の1年間実施した収支等も勘案して、今回手数料条例で平均25%の引き下げ案を提出している。


少子政策課長

(2)パパ・ママ応援ショップの割引については、県は補助しておらず、事業主の子育てを応援する気持ちによって行ってもらっている。そのため、割引の内容について県からは言いにくいところがある。しかし、割引を受ける側の立場となれば、割引の充実は望まれるところであるので、割引率だけでなく子育てへの対応も含めて優れた協賛を行っている店舗については、パパ・ママ応援ショップ賞を創設し支援していきたい。周知については、まだ不十分な面が多く、周知することにより協賛店も拡大するものと考える。そのため、今年度途中から、NPOや商工団体と連携し、イベントを行っている。近くでは、3月22,23日に加須のむさしの村でイベントを行う。また、フリーペーパー、ナックファイブの公告、サイトのバナー広告、映画のスポットCMなどでPRを始めている。


社会福祉課長

(4)社会福祉施設利用者サービス推進事業の施設当たり単価の引き下げについては、議会での審議、議決を経た後に施設に通知したい。この事業については、他の補助制度にないものについて、各施設の独自の取組に対して、きっかけづくりとして補助を行うものであるので、単価の引き下げはあるものの、引き続き取組を続けていきたい。


子育て支援課長

(3)アレルギー等対応特別給食提供事業については、民間の保育所でアレルギー児童を受け入れ、特別の調理員を加配しているような場合に、1所月額5万円の助成をしている。来年度については、減額となっているが、対象児童の人数を調査し、それに基づいて予算を計上しているので、こちらから削減したものではない。安心・元気!保育サービス支援事業は、メニュー事業となっており、市町村から申請するものであり、全体の伸び率は8.3%となっているので、一部の事業で不足が生じるような場合でも対応できると考えている。


障害者福祉課長

(5)障害児・者生活サポート事業は、限られた財源でもあるので、当面は維持することに努めたい。市町村規模別上限額は、一番小さい5万人未満が100万円であり、5段階に分けて補助額を決めている。人口規模によって需要も異なり、財源を考えても一定の整理は必要である。利用時間についても、年間150時間と設定しているが、同様の考え方に基づくものである。補助については市町村からも要望があるが、他の障害者施策も含め、総合的に考えていきたい。
(6)精神障害者の地域生活を支援する施策として、住まいの場としてのグループホーム、ケアホーム等の整備を進めている。また、相談支援体制も併せて行っている。市町村が、3障害の相談窓口とはなるが、県としても専門的な立場から相談等を受けて支援していきたい。


〈保健医療部・病院局関係の審査〉

(2008年3月10日)

付託議案に対する質疑

柳下議員は、同委員会に付託された議案のうち第35号議案「埼玉県後期高齢者医療財政安定化基金条例」に対する質疑を行いました。


柳下委員

(1)第35号議案について伺う。後期高齢者医療制度が4月から実施されるということであるが、全国的にやめて欲しいという声が聞かれる。その理由は、75歳以上の高齢者を後期高齢者として一括りしていることである。後期高齢者を他の保険制度から切り離した上に、保険料の負担増を高齢者に強いるものである。年金から保険料を天引きするが、保険料の滞納者からは保険証も取り上げることになる。診療報酬についても別立てにして医療内容にも差別を持ち込むなど、世界に例のない差別保険医療であり、私たちは反対している。実際に制度が開始された場合には、無年金や無収入の高齢者からも保険料が徴収される。そういう意味では軽減措置があるとはいっても、大変な事態が予想される。テレビでの報道では、ある医師が「公園に死者がゴロゴロ生まれるのではないか」といった発言をしていた。これまで保険料の負担が無かった扶養者についても、半年間凍結されたとはいえ、今後保険料が徴収されるので、現在の姥捨て山法だと言われている。東京都では、低所得者の負担を軽減するために保険料の所得割分を減免する制度を実施するが、埼玉県でも同様の制度が実施できるよう広域連合に対して独自の助成を行うべきではないか。すでに、広域連合から県に対して財政支援を何度も求めているが、この点についてどう検討しているのか。新年度予算では、義務的経費のみであり、私の認識では広域連合に対する財政支援についてはゼロ回答である。
(2)健診事業部門は、これまで老人保健で行ってきたが、この部分の保険料負担を軽減するための助成やこれまでの国保税より負担増となってしまう部分の差額を助成する制度についても検討すべきではないか。国は、国保税より高くなる人はいないと言っていたが、実際には独り暮らしの人でも3万円以上高くなるような方が続々と生まれているのでお聞きしたい。
(3)65歳以上の重度心身障害者については、自動的に後期高齢者医療制度に移される。本人が申請すれば現行制度に留まることができるが、そのような場合でも、医療助成制度の対象から外されることはないのか。


国保医療課長

(1)保険料については、7割、5割、3割軽減の制度がある。また、保険料減免の規定もある。県も制度については検討したが、60億円もの支出でもあるので、まずは制度を着実に実施していくという視点から今回は制度のみの視点で予算組みを行った。
(2)健診については、委員ご指摘のような補助はない。しかし、まったく何もしないという訳ではなく、人的支援の要望が出ていたこともあるので、引き続き広域連合に対して県職員2人を派遣している。
(3)障害者手帳がある以上は医療費助成から外れることはない。


柳下委員

(1)重度心身障害者は、障害者手帳がある以上は、医療費助成制度から外れる事はないという点については、各自治体で外されるのではないかという不安もあるので、各自治体に対して周知徹底を図って欲しい。(要望)
(2)今後、医療費も、人数も増えていく。公費が5割、若い世代からが4割、残りの1割が保険料ということでは、保険料が自動的に上がる仕組みとなる。そこで、広域連合は再三県に財政支援を要望している。将来の試算をしてみたことはあるのか。東京都でできて埼玉ではなぜできないのか。
(3)無年金の人からも保険料を徴収する仕組みとなっているのだから、せめて国保税より負担増となる高齢者に対して差額を助成するような県独自の方法はないか。


国保医療課長

(2)試算については現時点で行っていない。医療費が増えれば保険料が上がることは指摘のとおりではあるが、医療費の増加を抑えるために医療制度改革が行われているものと理解しているので、将来にわたりどの程度増加になるかは分からない。
(3)年額18万円未満の年金受給者に対しては、実際に行ってみて問題が出てきた場合には、実際に徴収を行う市町村を訪問して、きめ細かく対応していきたい。保険料減免等県単独の方法は考えられるが、現在のところ予定はない。


柳下委員

 条例案の提案趣旨は、後期高齢者医療制度が行えるようにするということである。私は、制度そのものが間違っていると考え反対している。なぜならば、74歳までは普通の診療報酬で医療を受けるのに、75歳になったとたんに、上限は6千円までの包括制になるということに対して合理的理由はないからである。がん患者の終末期医療や難病患者の終末期医療もある。入院にしても、在宅にしても、74歳まで普通の医療を受けてきたのに、75歳になったとたんに、死ぬまで保険料を取られて、医療の中身まで差別されることが問題である。今後、対象者が増えていくのだから、医療費が伸びていくのは当然である。そういった中で、75歳以上の保険制度が成り立つのか疑問があると専門家も指摘している。医療費が増えれば保険料も増えるのだから、徴収するのは市町村であり、事業を実施するのは広域連合であるということで、県は何もしなくてもよいのか。私は、後期高齢者医療制度の撤回・中止を求めているが、県としての独自の財政支援だけでも行うべきではないのか。やってみた上で財政支援についても考えていくということなのか。


保健医療部長

 後期高齢者医療制度については、様々な背景や議論があることは承知している。そのなかで大きなものとしては、高齢者の多くが国民健康保険に加入してされているということであり、そのために国保財政が非常に危機的状況になっていた。この度の制度改正により、一時的ではあろうと思うが、国保財政は改善される。その担い手はいずれも市町村である。国保財政の安定化が一時的にしてももたらされるので、今回の制度を動かしながら、国保の在り方をどうするかも含め一体的に考える機会を与えられたと考えている。後期高齢者医療制度だけの問題ではなく、国保も含めて議論すべきであろうと考える。新制度ができたからといって、その制度のみを財政的に支援すればよいというものではないと考えている。


柳下委員

 国保そのものの在り方も含めて考えるとの答弁であり、新制度によって安定しているとのことだが、実際には国保料の値上げが起こっている。そのような実態を考えると説明できるのか。


保健医療部長

 県内の国保保険者の赤字は、概算ではあるが数百億円である。今回の制度の開始に伴い、拠出金の国保分の割合が若干減り、社会保険からの拠出金の割合が若干増えるので、赤字が一時的に解消されるという状況が起きている。しかし、市町村ごとの保険者をみると、赤字黒字の差はあるので、値上げが必要な保険者もまだあろうかと思う。日本には、様々な保険者、保険制度があるので全体を見て整理をする必要がある。


柳下委員

 市町村ごとに赤字のところと黒字のところがあるとの話しではあるが、後期高齢者医療制度の保険料を市町村が払っていく。これまで老人保健制度でも、健診などへの補助金を県が支払ってきたわけだから、広域連合に対して財政支援をしたり、保険料が払えない人へ県が責任をもって対処したりすべきではないのか。


保健医療部長

 県の役割としては、基盤整備を行うこともあれば、必要な財政支援を行うこともある。当初予算においても、それなりの負担をしている。その他に、万が一財政破たんが起きたときの基金の設置について、国、県、広域連合が同じ割合で負担していこうということについて提案している。都道府県がまったく支援しないというような考えはない。必要な措置はしていると認識している。


柳下委員

 東京都などで独自に行っているなどの独自性の面で、埼玉県では2人を派遣しているとのことだが、その他に独自に行っているものはない。県として独自に予算を出すことについてどう考えるか。


保健医療部長

 東京都の考え方については承知していないが、この制度について、基本的には、それぞれが担うべき役割をきちんと果たすことによって制度運営がなされるべきであると考えている。従って、それ以外の補てんが必要であるということになれば、制度そのものの修正点について議論すべきである。今のところは、法が定めるそれぞれの役割のそれぞれが果たすことにより制度は運営できると考えており、必要な支援をしている。


柳下委員

 保険料徴収の時から問題があるかもしれないとのことであるが、年金からの天引きについては何月から始まるのか。10月からという話しも聞くが、10月からだとしたら、まとめて保険料を天引きされるのか。


国保医療課長

 4月から2か月単位で行う。


柳下委員

 納付書が送られるのが6月ぐらいではないのか。年金の給付月も毎月ではない。10月ぐらいからでないと準備ができない市町村もあるが、4月からの分をまとめて天引きするのか。


国保医療課長

 天引きは4月からであるが、通知は6月になるので、恐らく6月くらいから天引きされると思う。


調査事項に対する質疑
柳下議員は、調査事項である第1号議案「平成20年度埼玉県一般会計予算」のうち保健医療部及び病院局関係並びに第16号議案「平成20年度埼玉県病院事業会計予算」に対する質疑を行いました。


柳下委員

(1)市町村国保に対する財政支援について伺う。4月から後期高齢者医療制度が実施されるが、この実施に合わせて便乗して国保税を引き上げる市町村があるようだが、どのぐらいの市町村で引き上げを検討しているのか。
(2)市町村国保に対する特別助成費のうち、低所得者対策特別助成費をどのぐらい計上しているのか。
(3)小児救急医療体制について伺う。第二次小児救急医療圏の輪番制に穴が空く医療圏が増えているが、新年度は輪番制の確立に向けてどのような対策を講じるのか。所沢地区では、週3日しか輪番制が埋まっていないが、新年度は改善される見通しはあるのか。
(4)県は軽症者対策を強調しており、#8000を開始したが、つながらなかったという声を耳にする。どのような体制で行っており、年間どのぐらいの相談を受けているのか。相談のうち医療機関への受診を奨めた場合はどのくらいあるのか。
(5)県立がんセンターは、自分でも視察したが、老朽化が著しい。建て替えが決まったわけだが、特に水回りや空調がひどい状況であったので、県民の医療に対する要求を実現するためにも早めに整備する必要がある。整備方針案によると、建て替えの事業手法としてPFI方式も検討しているようだが、過去の事例を見ると問題も出てきている。どのように考えるか。


国保医療課長

(1)2月現在で22の市町村が国保税の値上げを検討している。
(2)低所得者対策特別助成費は、1,500万円計上している。


医療整備課長

(3)第二次小児救急医療については、軽症患者が殺到しているという状況があるので、地区の開業医が準夜間の時間に輪番病院に入って支援するというモデル事業を新年度に行う。所沢地区については、現状より悪くならない形で行っていきたい。また、所沢地区については、一次救急の充実により、二次輪番を守っていこうと市町村で話し合いを行っている。
(4)#8000は、1月末現在で相談件数は9,091件であり、1日平均では40件である。最近では、12月は66件、1月は48件と多くなっている。医療機関への受診を奨めたものは22%であり、74.5%が家庭での対応で済んだ。体制は2人体制で在宅で相談を受けている。


経営管理課長(病院局)

(5)がんセンターの建て替え手法については、来年度基本計画を策定するなかで検討していきたい。PFI事業は、経費を削減して良いサービスを提供することを目的としているが、先行事例では必ずしもうまくいかない事例もある。従ってPFI実施を前提とすることなく、可能性について調査していきたい。


柳下委員

(1)国保税については、22の市町村で値上げを検討しているとのことである。最近、国保税の滞納も増え、資格証や短期証を交付したりすることも増えている。値上げによってこのような状況に拍車をかけるのではないかと思うが、県としてはどのように指導しているのか。
(2)低所得者対策特別助成費は、1,500万円ということだが、市町村の活用状況はいかがか。
(3)所沢の小児救急体制ということでは、清瀬小児病院に1割程度行っているが、移転に伴い、週3日の輪番では大変な状況となる。清瀬小児病院に代わり救急を受け入れる北多摩北部センターは常勤医師が2人しかいないので、清瀬小児病院の替わりにはなれない。私も東京都に赴き、存続のお願いもしてきた。移転のさらなる延期について、東京都と協議するような考えはないか。
(4)#8000は、平日は4時間しかないなかで、1日平均40件の相談を2人体制で相談に応じきれるのか。相談の内容も小児に限らず幅広い内容とも聞いていることもあるので、体制を充実すべきと考えるがいかがか。
(5)がんセンターの建て替えについては、巨額の赤字を出している高知医療センターや近江八幡市民病院の例もある。総務省の公立病院改革ガイドラインにも、PFI方式について供用開始後の維持管理費の抑制を図る観点から手法の一つであるとしながらも、契約期間が極めて長期に及ぶことが一般的であり、同方式の採用を検討する場合には、契約期間中の事業環境の変化に対応したリスクの抑制に努めるなど相当慎重な準備と調整を重ねる必要があると指摘している。医療機器や施設については日進月歩であり、事業環境の変化が激しい病院において、柔軟性が少ないPFI方式の導入はなじまない。ガイドラインの指摘と併せて、どのような検討を現時点で行っているのか伺いたい。


国保医療課長

(1)昨年11月に、高齢者医療制度開始後の推計方法について市町村に対して説明会を行い、試算を提案した。その試算に基づき、値上げに至ったものと認識している。資格証については、滞納があった場合すぐに交付するのではなく、個々の事業を十分勘案して交付するよう指導している。
(2)低所得者対策特別助成費は、11市町村から申請があった。制度については、市町村課長会議等で説明し周知している。


医療整備課長

(3)清瀬小児病院は、都民のなかにも移転延期を望む声がある。しかし、本県は本県の体制を充実させていきたいと考えている。
(4)#8000は、休日午前9時から午後11時まで行っており、その平均は87件である。平日の夜間については30件弱平均であるため対応可能である。しかし、啓発の必要性は認識しており、企業やNPOに対して小児科医を派遣した急病の対応の啓発、乳幼児のいる家庭に対する救急対応ハンドブックの配布などを計画している。


病院事業管理者

(5)PFI等については、ご指摘いただいた事例以外にも詳細な情報を入手しているので、その情報を十分に検討し慎重に検討していきたい。


柳下委員

(1)公立病院改革ガイドラインの指摘についてはどのように受けとめているのか。
(2)低所得者対策特別助成費は、所沢市では345万5千円と県全体のかなりの部分を占めている。この制度は、医療費だけ考えれば治療を続けられるという制度で、国保の低所得者にとってすばらしい制度であるので、もっと活用して欲しい。11市町村からしか申請がないということは、申請がないところも多いということである。もっと、この一部負担金の減免制度を周知徹底してもらいたい。(要望)
(3)清瀬小児病院の移転にかかわらず、独自に体制を整えるということである。そうであるなら、週に3日しか輪番体制がとれない所沢地区の具体的見通しはあるのか。例えば、防衛医大に1日入ってもらうとか、(独)西埼玉病院、市民医療センターが協力するなど様々なことが考えられるが、展望がないと不安である。


病院事業管理者

(1)公立病院改革ガイドラインのPFIに対する指摘はもっともなものである。しかし、指摘事項の克服方法については一切触れられていないので、難しい問題が含まれていると認識している。


保健医療部長

(3)所沢の小児救急については、軽症患者が過度に集中したために輪番参加病院が撤退し、輪番制がとれなくなった事情がある。従って、現状のままで復帰は難しいので、話し合いを進め、保健所、首長、地区医師会の話し合いが行われるまでになった。いかに初期の対応をしっかりするかということが可能になれば、復帰も可能になると考えられるので、すみやかに行われるよう努めたい。


この後、柳下委員は付託議案のうち第33号議案及び第35議案に対する反対討論、調査事項の第1号議案に対して「否」とする立場から意見を行ったが、これらの討論・意見の内容については本会議での討論と重複しますので省略します。

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