周産期(産前産後)医療体制の充実を急げ
柳下県議が県当局に申し入れ
埼玉で唯一の総合周産期母子医療センターとなっている埼玉医科大学総合医療センターのNICU(新生児特定集中治療室)が常に満床状態で、救急搬送依頼の半分以上を断らざるを得ないという現状を受けて、日本共産党の柳下礼子県会議員は9月27日、県に対して周産期医療体制の整備を求める要請を行いました。宮山徳司保健医療部長が応対しました。
埼玉には周産期母子医療の中核となる総合周産期医療センター(NICU12床以上)が1カ所と地域周産期医療センターが5カ所指定されています。しかし周産期医療に不可欠なNICUのベッド数は6病院あわせても65床にすぎず、1ベッドあたりの人口は10.9万人と東京都の6.8万人と比較しても大きく立ち後れています。
このため柳下県議は県内でハイリスク出産(多胎児や高齢による危険な出産)が激増している現状に鑑み、この日の要請で@地域周産期医療センターとして来年設立が予定されている自治医科大学周産期医療センター(さいたま市)を早期に総合周産期医療センターとして整備することA総合・地域両周産期医療センターの増設や、NICUの増設計画を立てることB病院勤務の産科医不足解消のために県としての独自施策を講じること、の三点を申し入れました。
宮山部長は、「このままでは、奈良県の妊婦が死産したような問題が埼玉でも起こりうる」と状況の厳しさを認めました。また、総合周産期医療センターを開設する予定だった自治医科大学周産期医療センターが小児科医の体制が整わないことから来年はとりあえず地域周産期医療センターとして出発せざるを得なくなった経過を明らかにし、「このままでは、川越(埼玉医大)の方がパンクしかねない。自治医大にはなるべく早く総合センターとなるよう働きかけていきたい」と語りました。
患者受入まで13回の照会の例も
埼玉県、妊産婦の救急受入の実態調査まとめる
産科・周産期傷病者の救急搬送で現場での滞在時間が1時間以上のケースが昨年度5件発生し、受け入れ病院が見つかるまで10回以上照会したケースもあったことが27日、県消防防災課のまとめで明らかになりました。
これは同課が総務省消防庁及び厚生労働省の実態調査の依頼を受けて、県内36消防本部から平成16年から平成18年までの産科・周産期傷病者の搬送の実態を調査したもの。調査結果によりますと、この3年間で5,055件搬送したうち、92.4%は1回だけの照会で受け入れられていますが、1回以上断られるケースは年々増える傾向にあることが分かりました。また、受入照会が最も多かったケースは、平成17年で受入照会11回、収容までの収容時間が99分かかった例、平成18年で受入照会13回、所要時間62分という例が報告されています。受入に至らなかった理由で最も多いのは、「処置困難」で、その他「専門外」「手術、患者対応中」「医師不在」「ベット満床」という理由が上位を占めています。