序列化や過度な競争につながりかねない、学力状況調査結果公表
9月9日に柳下県議は、埼玉県小中学校学習状況調査の各市町村別結果の公表について、序列化や過度な競争につながりかねないとして、申し入れを行いました。
応対した高木宏幸教育局市町村支援部副部長は、「過度な競争につながらないよう、問題別設問別の回答率だけしめした。頑張っている取り組みを紹介して、学力を向上につなげたい」と述べました。
柳下県議は、「国連の人権委員会からも日本の教育が過度に競争的にならないようにと勧告を受けている。学校現場の大変さを解消してほしい」
とのべました。
申し入れの内容は以下の通り
埼玉県教育委員会
委員長 松居 和 様
教育長 前島 富雄 様
2010年9月9日
日本共産党埼玉県議団
団長 柳下 礼子
埼玉県小中学校学習状況調査の各市町村別結果の公表に関する申し入れ
8月26日埼玉県教育委員会は、「平成22年度埼玉県小、中学校学習状況調査の市町村別結果」を公表しました。県教委はこれまで、同調査について市町村別・学校別集計も行ってきませんでした。このたび、学校別結果の集計を行い、市町村別結果を公表したことは、公立学校の序列化や過度な競争につながる恐れがあり、到底許されません。
今のところ学校ごとの結果公表は「市町村の管轄であるから」という理由で県教委は行っていませんが、現状では市町村教育委員会によっては公表に踏み切らないとも限りません。
そもそも県教委は、本調査の実施にあたって「序列化や過度な競争につながらないように十分配慮すること」などとする「取扱い」上の注意を行ってきました。序列化や過度な競争につながる弊害を自覚しながら、市町村別結果の公表によって、県教委みずから市町村ごとの競争を煽る材料を提供していることを意味するものです。県教委は「点数を公表せず、問題ごとの回答率だけ公表した」「市町村ごとに分けて公表しているので、一覧して見ることはできない」などと、公表による弊害に配慮したかのように述べていますが、塾など業者が手を加えれば、市町村の順位一覧を作ることはたやすくできるものとなっています。
県教委は同調査の目的について、本県児童・生徒の学習状況を把握し、教育及び教育施策の改善を図ることとしておりますが、それならば抽出調査で十分目的を達成できます。このたびの結果公表は、県民各層の学校への理解を促し、協力体制を作るためと説明されていますが、塾や教育産業による勧誘の過熱化などの弊害を考えると、デメリットの方がはるかに大きいと言わざるを得ません。
しかも今回の調査では、「学校の勉強がすき・どちらかといえばすき」という中学生が、3割程度しかいないという事実も明らかになりました。いま県教委がなすべきことは、市町村ごとに競わせてテストの点数をあげさせることではなく、どうしたら多くの子どもたちが学ぶことの楽しさをつかめるのか、学校現場を中心にして考え合い、そのための条件整備を行うことです。
よって県教委におかれましては、今後市町村別結果の公表を一切やめるとともに、学校別の結果公表などを行わないよう市町村教育委員会に対して徹底するよう申し入れるものです。
以上