八ッ場ダムに沈むはずだった地域をめぐる
民主党政権に代わって、中止が宣言された八ッ場ダム。地元長野原町をはじめ、埼玉県など各県からいまだに「中止撤回」巻き返しが行われています。
11月13日、柳下県議は、改めてこのダムに沈むはずだった村を視察しました。
それでも、吾妻渓谷は美しい・・・
案内役は、国土交通省の現地事務所職員荒井さんです。
雨にけぶる長野原町。紅葉の鮮やかな色がにじみます。それでも吾妻渓谷は美しい!!たくさんの観光客が現地を訪れていました。
現在の国土交通省の姿勢は「本体工事は中止。しかし付け替え道や造成地工事は引き続き進めていく」というものです。
道路も、住宅地もほぼ完成
はじめに下流の松谷地区から、供用開始直前の国道一四五号線トンネルを通って河原畑地区へ・・・トンネルはほぼ完成状態でした。宅地造成地には真新しい住宅が建ち始め、中には居住が開始されていました。
上流の長野原地区対岸の横壁地区造成地や、鉄道のトンネルもほぼ完成です。
「供用開始はまだ10%にも達してませんが、実は難しい部分はほとんどこのように完成しているんです。」と説明されました。
出発点が間違っている
今回はダムの湖面予定の場所をぐるりと一周したことになります。そこここに、「ここまでがダム」という青いしるしと「ここまで水が来る予定」というオレンジのしるしが付けてありました。
改めて実感したのは、その広さです。国土交通省の広報施設八ッ場館も含め広大な地域が400戸もの家屋とともに水に沈みます。駅舎も線路も沈みます。沈む前にはこれらは樹木もともに全て撤去されます。途方もない作業量です。
これだけ開けた地域をダムに沈める計画こそが出発点で間違っていたのです。
間違った計画が、ここまで来てしまったから、最後まで間違いを貫き通すべきだという理屈はあり得ません。
今なら、まだ引き返せるのです。
使ってしまった予算=7割は、壮大な「勉強代」となるのでしょうか・・・