地域格差をなくして!「乳幼児(子ども)医療費助成制度」のいま

結婚して家族をもつとき、「どこに住むか」というのは、お二人やそのご家族にとって、重要なことですよね。

できれば行政による助成や補助、制度などが手厚いところに住みたい、と考える方も多いのではないでしょうか。

子どもが出来たら、なおさら気になります。

特に、何かとお金がかかる子育て中には、子どもの医療費に対する助成制度がどうなっているかは重要なポイントではないかと思います。

 

地域格差の大きい医療費助成制度

各種健康保険に加入している場合、乳幼児は2割、小学生以上は3割の自己負担額を病院の窓口で支払う、というのは国が定めていますが、都道府県ごとの独自の予算によって家庭の負担を減らすための施策が導入されています。

しかし、都道府県ごとの施策内容には差があり、一律ではありません。

 

差が出るポイントは、

・助成対象年齢

・所得制限の有無

・一部負担金の有無

・「現物支給」と「償還払い」の違い

「現物支給」→医療費助成制度に加入していることを証明する書類を窓口に提出することで、現金支払いの必要なく診療が受けられる助成方法のこと

「償還払い」→一旦自己負担額分を窓口で支払ったあと、領収書と申請書を添えて各自治体に申請することで、後日負担額分を返還する、という助成方法のこと

などがあげられます。

 

47都道府県で現在、一番手厚い助成制度を導入しているのは「鳥取県」。

鳥取県では、入院・通院共に「高校卒業(18歳に達する年度の3月31日)」まで助成、所得制限なく助成が受けられ、窓口での一部負担金はあるものの、「現物支給」のため負担はほとんどありません。

 

埼玉県の助成内容は?

埼玉を含め、首都圏では以下のようになっています。

都県によって大きく差があるのがわかります。

埼玉県と3都県で大きく違うところを、赤字で示しました。

 

入院時の助成が就学前までしかないこと、また助成方法が「償還払い」となっているため、窓口で一旦支払いをした上で申請をし、約1か月前後待ってからの振込となることから、他の都県より負担が大きいのがうかがえます。

 

これでは住民の不満の声が聞こえてきてもおかしくありません。

 

住民の強い願いや要望を受けて、埼玉県内では各市町村自治体が少しずつ“上乗せ助成”を行ったことで、すべての市町村で入院・通院共に中学卒業まで助成が受けられるようになり、さらには平成29年4月1日より、ついに全市町村の医療機関で、窓口支払いが廃止となりました。

 

※埼玉県HPより

 

一部の市町村では高校卒業まで助成が受けられるところもあり、住民の声に耳を傾け、住民が住みやすい街にするために、各市町村は独自で努力を続けています。

 

ただ、自身の住む市町村外の病院で受診した場合は、依然として、医療機関の窓口で負担金を支払った上で助成申請する「償還払い」となってしまいます。

 

住民からの願いを県へ~県内全域で「現物支給」を!

 

埼玉県としては、「経済的負担の軽減は償還払いでも十分実施できている(負担分を返金するから、実質負担はない)」ということに加えて、「医療費は増えていく一方、子どもの医療費がどのくらいかかっているかを住民に知ってもらうことが大事」という理由などから、現在のところ「償還払い」を「現物支給」にする予定はないという意向を示しています。

しかし、先出の3都県と比較しても、埼玉県が“遅れている”ことは事実であり、“上乗せ助成”でカバーしている、各市町村自治体の負担が大きいことも明らかです。

 

埼玉県を他県から移住したくなるような魅力ある県にしていくためにも、住民の願いを今後も県に対して発信しつづけていきたいと思います。